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君の笑顔に含まれる、俺への憎しみは後どれぐらい残っていますか?

作者: 七瀬







俺は君が好きな男を殺してしまう。

俺の双子の弟だった!

まさか? “生き残った方が双子の兄貴の方だとは君も思わないだろう!”




俺の弟は、“自分の顔がもう一つある事を彼女に話していなかった。”

俺の弟は俺が大嫌いだったからだ!

子供の頃から、俺と弟は性格は真逆で何をやっても気が合わなかった。

顔を合わせれば喧嘩ばかり。

だから俺達の母親が俺と弟を10歳の時に引き離す。

まあ、結局は父親と母親が離婚した事から俺と弟の別の人生が始まった!

俺は父親に引き取られ、弟は母親が引き取った。

母親は俺が嫌いだった、だから弟だけ引き取ったんだ。

父親はしぶしぶ俺を引き取る事を了承する。




・・・その後は、父親は直ぐに“新しい奥さんを見つけ再婚した。”

父親の再婚相手とは、最初はまあまあ上手くいっていた。

それもふたりの子供が産まれる前はね。

子供が産まれたら? そりゃ自分の子供が可愛いに決まってるよ。

しかも? “初めての女の子。”

俺の事はもう、ほったらかしになる!

俺は16歳で家を出た。

まあ、そうするしかなった。

既に俺の居場所はもう、そこにはなかったしね。








 *





・・・それからは、住む込みの会社で毎日、仕事を頑張ったんだ!

小さな会社の社長は俺を“本当の息子のように可愛がってくれた。”

本当に社長はイイ人だったんだ。

社長の奥さんも俺を息子のように、いつも心配してくれた。



『凌ちゃん! ご飯ちゃんと食べてんの? 家に今日ご飯食べに

来なさい! これは命令だからね! ちゃんと来るんだよ。』

『・・・わ、分かった。』

『じゃあー後でね!』

『うん!』








・・・こんな小さな幸せも長続きはしなかった。

会社が倒産したんだ!

小さな会社は、もうけも少なく日に日に仕事がなくなり倒産。

社長は従業員に給料も渡せないと首つり自殺した。

借金だけが残って、社長の奥さんも社長の後を追って3か月後に自殺。

俺は途方に暮れる。

他の社員の人達は、最後の最後社長が仕事を他の会社にお願いして

働かせてくれるようにしてくれていたみたいだ!

俺もその中に入っていたが、俺は社長が居たあの会社が好きだったから、

そこへは行かなかった。




頼るところもなく、最初は転々として最後に想い出したところは?

弟だった。

俺は何十年ぶりかに、“双子の弟に会いに行ったんだ。”




・・・でも? 俺と会った弟は嬉しいどころか、

“なんでオレに会いに来たんだと”怒鳴りつけてきやがった!

俺はその言葉に、カッとなって近くにあった鉄パイプで弟の頭を殴り

つけてしまう。


まさか? これで弟が死ぬとは俺は思わずにね。

その後は、弟を山奥に埋めて俺は弟のフリをする事にした。

顔はそっくりだが、性格は真逆の弟に俺はなれるのか?

それに弟は、結婚を前提にしている彼女まで居たんだ!

俺は弟の彼女に何を話していいのか分からず、黙っていると、、、?




『どうしたの、勇ちゃん? 今日は大人しいのね。』

『・・・あぁ、ううん、』

『お腹空いたから? 何か食べに行かない?』

『ううん。』

『“何時もの所でいい?”』

『“何時もの?”』

『また、知らないふりして!』

『そこへ行こうか。』

『うん!』






俺はヒヤヒヤしながら、弟の彼女に着いていくと、、、?

何時もの所って? “昔からある喫茶店?”

いつも弟は彼女とここに食べに来るのかと思いながらお店の中に入る。



『よお! 勇ちゃん、元気だったか?』

『・・・あぁ、まあ、元気です。』

『なんか? 今日は変だぞ!』

『そうなの! 本人に言ってあげて! 今日の勇ちゃん、おかしいの!』

『・・・・・・』

『何時ものでいいか?』

『あぁ、うん!』

『“何だと思う?”』

『試してるのか?』

『“ひょっとしたら? 今日の勇ちゃんは勇ちゃんじゃないかもしれない

から、試すの! いつも勇ちゃんが頼む料理って何だと思う?”』

『おいおい! 彼氏なんだろう、試すのは良くないと思うな。』

『何?』

『“オ、オムライス”』

『・・・そ、そう! オムライス!』

『やっぱり今日の勇ちゃんはおかしいけど、本物の勇ちゃんみたいね!』

『そりゃそうだろうよ! 直ぐに作るから待ってろ!』

『・・・ううん。』








 *










・・・あれから半年。

俺は今も双子の弟になりすましている!

弟の彼女は、“俺を弟だとは思っていないかもしれない!”

顔は同じだが、性格の全く違う同じ顔の俺に違和感を感じているようだ!

いつ、弟の彼女にバレるか分からないが、このままバレるまで俺は弟に

なりすますつもりだ!

彼女が俺に向ける笑顔は、いつ憎しみに変わりどのぐらいその憎しみが

残るのだろうか?

“不安が何時も俺の頭を過る。”

俺は弟の彼女に指一本手を出していない!

俺の彼女ではないし、いつか俺の正体もバレるだろう。

その時までは、“俺は弟になるしかない!”




例え? 俺の正体がバレて俺が弟を殺した張本人だと彼女が知り、

心底、彼女が俺を恨むまで今の関係をやめないと俺は腹をくくっている!


最後まで読んでいただいてありがとうございます。

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