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マリーゴールド  作者: 公
1/4

足音

昼に食ったステーキが最高に美味しかった。




いつものメンツと食うステーキ...

まさに至福ッッーーーー!!



いや、てか別にステーキは元々美味いが。







私、《山吹ヤエ》は長女としてこのクソ田舎の港町で

生まれ育った。



やりたい事も特にない。

友達と一生ヘラヘラ出来ればそれで充分だった。




「ヤエ、就職先決まったー?」


「あーまーボチ²」



いや勝手に就職って決めつけんなよ、とか思ったけど確かにこのクソ田舎から進学するやつなんて滅多にいない。



大抵、地元の不良と子供作って専業主婦として一生を終えるか、早々に別れて子供を1人で又は親戚等と共に育てる。



「てかソロり神社でダンゴ食わん?」



この”地元”という檻はとても狭い。



「さっきステーキ食ったべ」



しかし他人との距離も近い為、とても過ごし易い。



「もーおやつ時間よ」


将来なんて全然分からない。


「あーだから」


この時間が一生続いてくれたら良いのにな...






最近ウチらは何故か駅前で食べるフラペチーノよりも商店街で食べる塩ジェラートだとか、神社の境内にあるダンゴ屋にハマっている。



理由は特にないけど写真撮ってうpるのがルーティン。

地産地消ここにきわめり!っと言った具合。



そんな風に、このクソ短いJKという名の青春(ブランド)を謳歌というか楽しんでいた。



この時期は特に金木犀がイイ感じに咲き誇っていて、ショーミ虫も少なくなって来たから割と1番好きかも。


涼しー風が髪を靡かせる、この感覚マジでたまらん。





「ねー見て見て」



「え、やば」

昨日TLで流れてきたグロいやつじゃん。



「めっちゃ人食ってるこのオッサン」




「え、てかこれマジでヤバくね?」




「最近の監視カメラめっちゃキレ〜わぁ」


外人のおっさんが肉塊を背に口を血まみれにしながらこっちを見ながら動画は終わる。


「え、てかそれ朝ショートで流れてきてマジ焦った」


「昼のステーキ出そ〜」


「超エグっ」




一応、お参りして帰る。

ぱんぱんっ



そしてクソデカ杉がある境内でちょっと写真撮ったりダンゴ食べたりしてたらもう夕方。



「え、明日学校行く〜?」




「まぁ行くしかなくね」




「ウチ明日2限、数Ⅲの菊池キショすぎて無理」




「あーめっちゃ見てくるし話しかけて来るよね」




「てか明日数Ⅲかよ。きも」




「グループに連絡板の写真貼ってあったけど、菊池の欄めっちゃ落書きされてる見て」



「やば」






そろそろ新駅に着く。





ここで皆とはお別れ。




え、寂し...




「じゃあ明日ね」

「ばいばーい」

「LINEしてー」




アヤノとホノカは下りに乗ってった。

ばいばいまたね。




「あれ、ヤエたそ今日バイト?」

「そー!だからリカと途中まで一緒」

「ガチ!?したらナカダ先輩見に行こ?」

「エグっ!それはアリすぎ」


リカは都会っ子だから毎日上り。ずる

去年卒業した大学生のショー先輩のバイト姿を見に行く為にパン屋に向かう。



「てか見てこれ東京」


「どーせアフィの転載動画でしょ」

なんか電車の中からめっちゃ人逃げてる。


「ゆーてさっきのやつよコレ」

「いや転載早すぎ」


「この人めっちゃ血ィ着いてるやばー」




〜次は陸前、陸前〜お出口は左側です〜


「あれ?てか、ここじゃね?降りよ!」




金木犀の匂い。

良き...あっ先輩のパン屋じゃん。



「ここ窓ついてて中見えるからイイよね」


「あれじゃね?」



推定身長183cm推定体重75kgの19歳・・・いや神か?



「ナカダ先輩まぢカッコイイ〜」

「アイドルならんの意味わかんなすぎでしょ」


あっ!手ェ振った!!





「そろそろ行くー?」

「とりまシュークリーム買ってこ」

「超アリ」



いや今日食ってばっかじゃんマジやばい。

まぁ明日死ぬかもしれんし、いっか。



「じゃあネ〜LINEしてェ〜」

「ばいばーい」



さて、これからバイト...なんて実は嘘。

駅のトイレで速攻着替えて駅のステンドグラスに

向かう。






27分後、スーツのおじさんがこちらへ走ってくる。


「ごめんごめん待った?」

168cm75kg47歳会社員。



あー私がクソ嫌いなジャンル。




「いえいえ大丈夫ですよぉ」



「あ、ちょっと喫煙所寄っていい?」



「OKですぅ」死ね。








「フー!」

「いやァ今新規プロジェクトの立ち上げでさァ」

「早く終わる帰るつもりがこんな時間になっちゃった」

「俺も昔東京にいた頃〜」



いや待て、まず謝罪だろおっさん。



とまぁこんな感じでおっさんは過去の話しかしない。

未来の話をするおっさんなんて、ついぞ会ったことがない。



クソつまらない昔話を煙草を吹かしながら語るおっさんを見ながら食べる奢りの1200yenステーキ。


てか夜もステーキかよ。

まーいいや。


「育ち盛りだからね!いっぱい食べて」


うざ。


「やったー」

「ありがとうございますぅ!おいしー」



店を出るとすっかり夜の陽気、かなり肌寒い。

カーディガン持って来といて良かった。


「寒いねぇ」

「そろそろ何処かで温まろうか!」


きも、死ね。






あぁ〜

シャワーのお湯あったけ〜


「フー!」いや折角浴びたのに煙草くさっ

「今日も最高だったよ!」


「いーぇー」


「でも他の人ともこんな事してるの?」

「やめた方がいいよ。まだ若いんだから」

は?きも、何コイツやば。


「フー!」

「俺は大丈夫だけど病気持ってる人もいるからね」

いや何の自信だよ。

お前なんて私からしたら金ヅルでしかねーから。


「勉強はちゃんとしてる?」

「勉強しとかないと将来ダメになっちゃうからねぇ」

「俺みたいに若い頃から云々〜」


勉強してその体たらくとか、説得力ねーんだよカス。

マジうぜー!






まぁ一応料金も設定してあって、1発3万・生5万。

それと別に1時間5000円〜ホ別。



こんな汚くて金を持て余してる昔話大好きゴミおっさんでもまだ²元気なのを見ていると日本の未来は明るい。





そんな風に考えないと普通に鬱で死ぬ。

てか金の使い道知らねーならウチらに無償で配れよ。





そんなこんなで3時間。

大体5万くらい貰える。



ぶっちゃけ普通にバイトしてる人が可哀想に思える。





「またね〜」



「ありがとうございましたぁ」死ねカス。







いやめっちゃ寒。

実はこのあとも約束がある。

その前に駅でケーキ買お。






〜次は陸前、陸前〜お出口は右側です〜







「先輩〜!」

というわけでショー先輩の胸に飛び込む。ぎゅ


「おっすー!お疲れ!!」


もちろん着替え済だし一昨日買ったGUCCHの香水つけてきたし駅中でケーキも買った....

我ながら完璧過ぎる。





「寒いね」


「ですね」


温かいのはお互いの手だけ。

でもそれで良い。


「ニュース観た?東京で暴動ヤバいらしいよ」


「ボードー?」


「何か色んな人が暴れて電車ずっと止まってる」


「へぇ、エグ〜!」


「てか明日バイト?」


「明日休みですよっ!」


先輩横顔もマジイケメンだなぁ〜


「朝学校送るよ」


あれ順番逆じゃね?

ま、いっか。


「じゃあ今日はどーします?」


「うち泊まってく?」


よっしゃ。


「アリですね!ケーキあるんですよ」


「いいねぇ。ちな今日親いないから」


「・・・いいよ」

少し意地悪かもしれないけど、とりあえず先輩の手を強く握ってみた。




見慣れた玄関に入った瞬間、

抱きついて舌を入れてきた。



いつもなら10万は取る。

しかし、超許す。




顔面偏差値が高いことは全てに勝るのじゃ!

私の中の賢者がそう言っている。




玄関でそのまま蹂躙された後に、

リビングに運ばれて19歳の若者に身を任せる。




この後はきっと2人でシャワーを浴びてスキンケアをして、玄関とか掃除してケーキを食べながら2階にある先輩の部屋の大きめなベッドでもう何回位して眠る。


もちろん、朝は王子様のキスで目覚めるの。






「ああ、最高ッ・・・」

我ながら完璧な人生過ぎて思わず声が漏れちゃうぜ。






友達には1度も言ったことは無いけど、

中田先輩とは2年前くらいに部室の中で関係をもった。



校内1のイケメンに愛されるのはマジで QOL 上がる。

友達といても優越感でどうにかなっちゃいそう。



あ、そういえば最近全然避妊してない。

ま、いっか。



その時はその時ってことで、

2人して夜のとばりの奥底へ沈んでいった。

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