魔法戦1 美人教師
中紗倉市。中紗倉南台中学校。
通称サクナン中。
サクナン生徒は、ほとんどが不良傾向なのが多々存在している。3割くらいは品行方正な存在も見られる。
ここ最近はまともな生徒が増えてる傾向だが、理由は新任教師が2年前に就いてからは不良生徒なんてほぼ目立たなくなった。
新任教師の名は福川里依邏。178cmの長身を持ち、上から88・54・86のナイスボディーを持つモデル並みのスレンダーな存在。オマケに小顔で薄白い肌。男性教師さえもメロメロになる美人だ。
西洋人系な瞳が女子生徒でもウケていて、学園中のマドンナとも言われるほど。
今年からクラスの担当教諭に就くらしく、一年から引き続き生徒は入れ変わっていない教室。問題生徒が少なくても8、9名ほど存在する。
受け持つクラスは2年4組。里依邏は、そんな問題生徒に屈せず、その美貌や容姿を武器に生活態度や悪習慣の修正はそんなに難しくなく無事に直したという。
「あの、先生は彼氏いるんですか?」
女子生徒の素朴な質問が突然投げ出され、間をおいてから応対した。
「うーん。学園中の男子生徒や男性教師が彼氏かな? 特定の人はいないからね〜」
「ウソ〜。絶対に一人や二人はいるよね〜」
「三浦さんだっけ? そんな憶測よりも、来年は高校受験よ。しっかりしないとね」
「ウッ。逆に揚げ足取られた。し、失礼しました!!」
職員室には里依邏一人になっていた。そんな放課後の事――。
「こういう日にはおそらく、アレが来そうな予感するわ。でも、ここは地球なのよ。アレが来る事はあり得ないわ」
突然、意味不明な一人事を吐き出す美人教師。自分の席から離れて、誰も一人っ子いない視聴覚室へと出向いた。
「気配がここに集中してるわ。まさか、魔法円からの顕現術?」
「レーラミエファーン・リワウス。いや、レーラ嬢、よくぞ見破った。お褒めしようではないか」
「ラッペス、貴様……抜け抜けしゃあしゃあとコチラまで顕現してきたな」
「そんな活気強くて勢い良く睨むなよ。それとも、別次元の住民に成り下がって別次元の連中と仲良く生きてて情が移ったか?」
「だったらどうするのだ、貴様」
「この別次元を蹂躪対象とみなし、手始めにレーラ嬢の住む範囲を根絶やしにするさ」
「好き勝手はさせない。させてたまるものか」
「顕現術が出来たという事は、次元坑道の魔法水脈という訳か?」
「魔法水脈を突きとめたラッペスにしては賢いな。そこは称賛するところだがな、地球支配については譲れない。譲らせはしない!!」
「魔法計画議会会場と議長ってなんで存在してるのか、存じてないようだな。教えてやろうか?」
「わたしはその会場で議長から別次元調査の件を受けたのだぞ。その存在だと? まさか、貴様は施設の建造や議長をセルヴェナ様に仕立てたのか?」
「ご名答!! そうさ、お前の言う通り、魔法計画は、そもそも俺の発案。セルヴェナ老師は見事に首を縦に振って喜んでくれた。しかし、俺のやり口が合わなかった事で抗ったからな。老師は……」
「まっ、まさか……手に掛けたのか、セルヴェナ様を〜」
「抵抗すりゃそれしかないだろ? 手間をかけさせやがってあの爺め」
「おいっ!! 貴様だけは許さない。わたしと決着を着けるぞっ」
「って、おいおい……こんな四角く狭苦しい空間で魔法戦するのか? 冗談よせよな。では、ここを戦場にするには段取り良くしようじゃないか。猶予は明後日までだ。魔法戦やるか俺と蹂躪の手伝いのどれかを選ぶのだな。その間、俺は睡眠による魔力増強タイムに入る。良いな、よく考えろよ」
言うなりラッペスは、その身を視聴覚室の隅へと姿を隠し、しばしの睡眠に入っていった。
里依邏は緊張を解しピリピリした感覚を緩めた。
「やっと、奴を大人しくできたか。しかし、あたしに与えられた選択肢、どうすれば良いのだ、ハァ〜」
魔法水脈が悟られたからにはもう後には引けない。そう思うと、里依邏はラッペスとの戦争を受けようと決意表明したという。