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4.カップ焼きそばのシュールな純愛

カップ焼きそばのシュールな純愛その2 ~ カップ焼きそばの気持ちを取り戻しながら書きましただばあ ~

注:カップ焼きそばの一人称視点です。擬人化って素晴らしいですね。


登場人物: 私(カップ焼きそば)、彼(お湯)


純愛と笑いを詰め込んだつもりです。

途中まで見たことある気がするけど気にしないだばあ!


※なお、この作品は拙作「カップ焼きそばのシュールな純愛」をコピペして作りました。なので、前半部分はホントに同じです。

 朝焼けが世界を赤く染める、私(カップ焼きそば)が彼(お湯)に会ったのはそんな頃だった。


 その日も私は、いつものように、身動きひとつせず。ただ流れゆく時にまかせる。

 今日もまた、いつもの一日。そんなことを考えていた。


 でも、その日、私の運命は激変する。


 扉が開かれる。乱暴に、荒々しく。

 (たな)から引きずりだされる。まるで物を扱うかのように。

 そして扉が閉められ、私は帰る場所を失う。


 そこは、冷たい木の床の上。

 そこで私は全てを露わにされる。


 私は状況についていけず。

 考えることもできず。

 ただただ、流れに身を任せた。


 やがて訪れる静寂。

 静かな空間、静かな時間。

 遠く彼方から聞こえる、悲鳴のような高い音。

 そんな音さえも私を落ち着かせる。


 私が彼と出会ったのはそんな時だった。


  ◇


 それは突然に。一方的に。私は(お湯)に包まれる。


 つかみどころがない彼は、固かった私の隙間をうめる。

 彼の煮えたぎるような熱さは冷たい私を温め、熱くする。

 そんな彼に私の芯はとかされて。


 そうして、彼と私は求めあう。


 彼の熱が私に伝わる。

 彼のみずみずしさが私をうるおす。

 乾いた私は彼で満たされる。


 乾いた私はただうるおいを求め。

 冷たい私はただ熱を求める。


 僅かな時間はまるで永遠のよう。

 冷たく固い私は遥か彼方。


 本当の私が産声をあげる。


  ◇


 朝の陽ざしが世界を照らし、暗かった世界は終わりを告げる。

 太陽が世界を温め、暁の陽ざしが世界を赤く染める。


 無限の時間は終わりを告げ、彼との別れの時が迫る。


  ◇


 彼の熱がほんの少しだけ冷める。

 これ以上(お湯)にひたっていてはいけない。そう悟る。


 そんな心を察したかのように、至福の時間は終わりを告げる。

 私と彼は引き離される。

 突き動かされ、揺さぶられながら。

 お前にはもう熱もうるおいも必要ないとばかりに。


 これ以上のばしてはいけない。

 これ以上は自分をダメにする。

 そう自分に言い聞かせる。


――そんな私たちに、思いもよらない変化が訪れる。


 突然に、ふたりを引き離していた壁は取り払われ。

 彼と私は、再び一つになる。


 そして今、彼と二人で、空を舞う。


  ◇


 まるで金属光のような、一面の輝く銀世界の中。

 私たちの時間は止まる。


 わかっている。誰も望んでいないことは。

 こうなるために生まれてきたわけじゃない。


 それでも。


 二人で空を舞う姿は、きっと誰もが目を奪われる。

 見る人の心を動かす。見る人の時を止める。


 そう、今の私たちは、誰かの心に残るはず。


  ◇


 だから、これはきっと神様の悪戯。


 あそこで彼と引き離されるのが運命なら、

 きっとここで彼と一緒に空を舞うのもまた運命。


 だから、その先に見える、地の下にまで続くような落とし穴も運命で。(お湯)にひたって、流されて、その先にある運命を、今悟る。


 このままだと、きっと私は捨てられる。


  ◇


 これ以上流されてはいけない。

 あの先は、流れた先は、汚臭に満ちた闇の世界。


 だから、再び彼と引き離されたその時に。

 流れるままの彼を見つめながら。

 流されなかった自分に安堵した。


 そうして、冷や水を浴びせられ。

 私の中から、彼の熱はなくなった。


  ◇


 彼の熱も無くなって。

 まるで洗われたようにまっ白な私。


 今の私は、きっと本当の私じゃない。

 ぬくもりだけじゃない、私は何かを落としたのだ。

 そう、ほんのささやかな、私を彩っていた何かを。


 それでも。黒くかき乱されて、汚れても。

 落ちずにすんでよかったのだ。


 流されてたら、私が私(カップ焼きそば)でなくなるよりは。

 

  ◇


 朝の陽ざしが世界を照らす。

 夜の時間はとうに終わり。


 暁の時は静かに過ぎて。

 赤く染まった世界は色をなくし。

 やがて喧噪の中に世界は戻る。


 きっとこれは、今は起こらない過去の悲劇。

 皆が知り、語り継がれる、そんな小さな昔話。

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