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二人の少女 2

クリスマスイブですけど特に何もありません。

幕間をまた書こうかとは思っていますけどね。

 服をどうにかするにしても今上がないというのも困るので夜や休憩の合間にでも作っていく事にした。

 とにかく、やることも大体決まり、後はドレスの少女に話を聞くだけなのだが、ドーラの腹の虫が鳴るので朝食にすることになった。


「何かお手伝い」

「大人しくしてろ」

「ソリトさんは料理を邪魔されるの嫌なタイプなのですね」

「ちょっと黙ってろ」

「む、返すくらい良いじゃないですか」


 ムッと眉を潜めて不機嫌な表情でルティアはソリトをジーっと睨む。

 そんな顔も約十分後には、


「美味しいです!」


 満足感溢れる笑みに変わった。

 ただ、ウルフの肉に薄く切り込みを入れてフライパンで焼き、面をひっくり返したら酒を垂らし掛けて臭みを消していき、最後に街で買った塩を振り掛け、肉を切っていく。

 その間に網で軽くパンを焼いてから半分にカットして挟んだだけの贅沢な簡単サンドパンだとソリトは思ってはいるが、二つの【料理人】スキルのせいであることは明白だ。

 だから、食べる者からすると不思議と他とは違うとはっきり分かるのだろう。


「凄く美味しいやよ!」


 モグモグと元の姿に戻ったドーラはウルフ肉のホットサンドを口に頬張る。


「おかわりは無いから味わって食えよ」

「やよー」


 尚もドーラは頬張りながら頷く。味わうの意味を理解しているのか怪しい所だ。

 そんな中一人、ドレスの金髪少女は手をつけることなくじっと大人しく座っている。

 肩とフリルが重ねられたスカート丈にレースのあしらわれた青いドレスがビスクドールのような美しい純白肌の肢体と金色の髪を引き立て、更に気品さを醸し出している。

 そんな少女の左隣にルティアが座り直す。


「食べないんですか?羨ましいくらい美味しいですよ」


 ルティアが横顔を除き見るような位置で話し掛けると、ドレスの金髪少女は右に顔を逸らす。


「この子、ソリトさんの生き別れた妹なのでは?」

「おい、今何で判断した」


 マスターと呼んでくる時点で既に違う。ドレスの少女が何者なのかソリトは見当……いや、〝判っている〟。


「食べないならドーラが貰うやよー」

「これは私の、あげない」

「食べないのに?」

「私には必要ないから」

「それならドーラ欲しいんやよー」

「うるさいトカゲモドキ」

「また言ったー!この言葉凄くムカつくやよー!」


 意味を理解せずに先程トカゲモドキを否定していたらしい。本能的にドラゴンとしてトカゲと一緒にされるのもモドキと言われるのも嫌なのだろう。


「お腹が空いてないということですか?」

「空いてる。けど違う」


 そう言うと、ソリトの方を顔を向けて再び口を開いた。


「マスターのだから」

「なら食べろ。必要はなくても食べることはできるんだろ?」


 何となくそう思ったことをソリトが口にすると、ドレスの少女は数秒サンドパンを見つめて(ついば)むように小さく一口食べる。


「………美味しい」


 無表情だった顔がほんのり頬を赤くなり、僅かに口角が綻んだ。

 それを微笑ましく見るルティア。食欲を孕んだ瞳で見るドーラ。二人の視線に気づきドレスの少女が手を止めると、キュッとすぐに表情は元の無に戻り物静かに食べ始める。


「ドーラ半分やるからこれで終わりにしろ」

「ありがとやんよあるじ様ー!」


 ソリトはナイフで半分にカットしてドーラの葉皿に乗せる。それを一口でドーラは済ませた。


「ごちそうさまやよー」


 食べる分が半分になってしまったが、その分ドーラには飛んで貰うことにすることにしたソリト。「いただきます」と言って食べる。

 ソリトの気のせいではなくしっかりと味覚が戻っていた事を改めて実感した。飯が美味いと感じるだけで心に余裕を与えてくれる。不味い飯は作れないと思いながらソリトは微笑する。


「もう大丈夫なの?」

「……さあな」

「………そう。良かった」


 会話終了。そしてソリトもドレスの少女も食事を再開する。

 直後、ルティアは少女に一つ尋ねる。


「何故今ので会話が成立しているんですか!?」

「…………ずっといたから。それだけ」

「ずっと……でもソリトさんが誰かと行動してる姿は一度も」

「それはそうだ。そいつは()()だからな」


 ソリトのいう聖剣とは王国の城の地下にある部屋に置いていくことになった聖剣の事である。

 ルティアもそれを理解しているからこそ驚愕の表情で少女を見つめる。


「流石マスター、解ってくれてた。でも当然。繋がりはずっとあったから」


 起きた時に驚いたのは確かだ。しかし、その後すぐに内一人が聖剣であることを理解した。

 ただ、正直ソリトも半信半疑だった。聖剣がドーラ同様に十歳前後の美幼女で現れたのだから。

 まさかここまで追ってくるとは想像することすら考えなかったし、何よりそれ以前に人の姿になれるとも思っていなかった。

 唯に最初は聖剣に近い何か関係のある存在だと思っていた。

 それでも聖剣の言う通り繋がりがすぐ側でずっと感じられるのだから否定しようにも認める選択しか残されていなかった。


「マスター会いたかった」

「俺は正直どっちでも良い」


 ソリトがそう返すと、先程まで無表情だった顔がこの世の終わりのような絶望的なものに変化する。

 その表情をしたことのある人物に目を向ける。


「なんですか?」

「いや、何にも」

「それなら何故慰めるような表情で目を背けるんですか!?」

「マスター私は怒ってる」

「置いていったことか」

「寂しかった。半端な覚醒で目覚めた時にはあの暗い部屋。何で置いていったの?」


 そう言われて自然とまたルティアの方に目が行く。だが、それが不味かった。


「そう。その聖女が原因か」


 次の瞬間、聖剣の右手に聖剣が突如顕現し、ルティアに迫り刃を向けた。

 突然のことにルティアは一瞬反応が遅れるも地面に座っている体を後転して回避しその勢いのまま倒立し立ち上がる。

 下を見れば、聖剣の手によって綺麗な一線が描かれている。


「ルティアお姉ちゃんをいじめるなー!」


 そこにドーラが翼で風を巻き起こし、身動きを取れなくさせながら尻尾を振って攻撃する。

 聖剣は攻撃を軽やかに回避し、尻尾を足場に突進してドーラの首に斬りかかる。

 が、それをソリトはドーラと聖剣の間に割り込み紅姫の籠手をはめた右腕で防ぐ。


「悪いが殺させるわけにはいかない。役に立って貰わないといけないからな」

「マスターがそう言うなら仕方ない」


 聖剣は一歩飛び下がりルティアの方に向き直る。


「一体何を」

「私はマスターの剣。何処までも付いていく。でもあなたがいるとマスターの邪魔になる」

「私とソリトさんは今は協力関係です。邪魔になるような事はしないつもりですが」

「今のマスターに仲間はいらない。それでも?」

「それでも、私はソリトさんを一人にしないと助けると誓ったんです。自分の心に」


 その言葉は剣幕としてルティアの表情と声に現れた。それに対して聖剣の口角がほんの一瞬だけ上がったようにソリトは見えた。


「そ、なら証明して見せて」


 何処かで似たような言葉を聞いたことのある気がしたソリトだが、思い出せないしそういう雰囲気でもないので思い出すのをやめた。


「分かりました」


 ルティアは腰から細剣を右手で握り勢い良く抜き放ち中段に構える。と、同時に聖剣がその動きに合わせて中段に構えた事で空切りの音が重なってヒュッと鳴った。

 相手の動きに合わす。流石聖剣というべきなのだろうか。かなり手練れた強者だと分かる。


 それと、自分自身だからか握る柄の蒼い白の長剣も華奢で小柄な体型に見合った細めに刀身の幅が調節されているようだ。

 長く使い見てきたからこそソリトは一目で分かった。

 それがとどのつまり、聖剣がベストコンディションであることを意味することもだ。


「あるじ様」

「ドーラ俺達は離れるぞ」

「やよー。ルティアお姉ちゃんが危ないやよ」


 ルティアが好きなのだろう事が分かる程に心配するドーラ。そこに聖剣から目を離さずにドーラにルティアが話し掛ける。


「ドーラちゃんは見守っていてください」

「なんで?ドーラ助けたいやよ」

「これが聖剣さんと私の問題ですから」

「なんで?ドーラは問題に行っちゃ行けないやよ?」

「トカゲモドキはマスターの言葉に従って離れてろって事」

「うがー!この子に言われるとむかつくやよー!」

「ドーラちゃん、お願いします」

「………分かったやよ」


 ドーラはソリトが竜車に乗り込んですぐに飛んで引き距離を十分に取る。


 数秒後、聖剣は自分自身とも言うべき片手長剣を中段に構えたまま半身の姿勢に移行した。

 それに対してルティアは半身の姿勢は同じだが、細剣を矢を引くように自分の胸辺りの中段の高さで地面を踏みしめ平行に構え直す。

 自然と周囲の空気が変化する。

 小さな戦場。ルティアと聖剣、互いの思想と殺気の混じりあった空間が支配する。

 ドーラも自然と大人しくなる。


 そして、スゥとルティアが息を吸い込み吐き堂々と宣言した瞬間が決闘の合図となった。


「行きます!」

「来い」

どうも翔丸です。

皆さんイブです!


ルティア「お邪魔します。当日より盛り上がってますね」


前日の方が盛り上がってるんです。

私も知りません。


ルティア「確か宗教主の聖誕祭なのですよね」


今では恋人のイチャイチャイベントですけどね。


ルティア「作者さんは恋人いるんですか?」


一生恋人できないようにして欲しいですか?


ルティア「まさかの地雷!?すみません!」


ふふ、冗談です。他の人の幸せな恋の方が興味と応援したくなるので。

なので、カップルを見ると思わずニヤけていたりします。


ルティア「複雑過ぎてどう返せば」


別に返さなくても良いですよ。

でも敢えてあげるなら、ルティアと誰かの百合百合したのがみたいです。


ルティア「お断りします」


クリスマスプレゼントという事で。


ルティア「…………作者さんだけになら」


あらら。まさかの非公開。仕方ないですね。

では、そうします。


ルティア「ホッ……それでは次回は私と聖剣さんが戦います。タイトルは」


血塗られた赤いクリスマスがやってくる。


次回、幼馴染の恋人に裏切られパーティを脱退した勇者のスキルが【反転】する〜何故か偶然出会った聖女が付き纏ってくる(放っておけないだけです)が無視だ(しないでください!)〜


「ルティア死す」デュエルスタンバイ!


ルティア「勝手に殺さないでください!皆さんハッピークリスマス!」

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― 新着の感想 ―
[気になる点] さすがに聖女に手を出したら、ザラド王も黙ってないんじゃ…。でも、バレたら、自分の国の立場も悪くなるから、クロンズのこと擁護するんかな?
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