表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

3/20

職業安心紹介課

ほい、到着。ここはニッポンポン帝国が誇る帝都、その第45区にある区役所



 ここまで来たのだ、もう腹を括ろう。別に明日死ぬわけじゃなし、働かなくともひと月は生活できるしなるようになるのだろう。キビキビ行くぜ目指すは職業安心紹介課、通称職安だ。


「ジョブボードをご利用の方、職業紹介ご希望の方は番号札を取ってエントリーシートをご記入しながらお待ちくださいだとよ」


さらさらさらっと。


「072番の番号札でお待ちのお客様こちらへどうぞー」


 お?俺だな、22歳ぐらいと思われる美人のお姉さんにお呼ばれした。そんなに美人さんなら高給取りの旦那捕まえて専業主婦やればいいのに、人気の区役所職員採用枠を俺の為に空けてくれ。


「帝都民カードか国民カードはお持ちですか?」


「はい」


「ではエントリーシートと一緒にお預かりいたします」


「はい」


「えーと、イング・マスベーションさん。ジョブボードと職業紹介のご希望ですね」


「はい」


「マスベーションさんは……スキルなしと。では先にジョブボードでジョブスキルを得てからの職業紹介と致しましょうジョブボードルームにご案内しますこちらへどうぞ」


「はい」


 お姉さんに案内されて個室へ入る、部屋奥の隅には警備員がひとり立っていて部屋の中央には机の高さほどある真っ白なキューブがありそれを挟むように向かい合わせに二対の椅子が配置されている。この白いキューブがジョブボード。なぜジョブキューブではないのか謎だ。


 このジョブボード、かつては教会が製造法や使用を独占していて高額のお布施をしなければ使用出来なかったのだが件の勇者様方が教会で独占している正当性を挫き製造法もろもろ教会からぶん取って広く国民が利用できるように改革したそうな。


 ジョブボードは神が教会に授けし神器であり、教会はその運用を全任されていると主張していたがイタコの勇者ジョブを持つひとりが勇者スキルである口寄せによって直接神に問うた所

 ボードは人類に授けたのであって教会にではない、教会とかどうでもいい勇者が良きに計らえとの事、これによって教会は大きく力を失った。



「手前の椅子にお掛け下さい」


「はい」


 お姉さんは奥側の椅子に腰掛ける。


「では、ボードの上面にある窪みに触れてください」


「はい」


 俺が触れたのを確認するとお姉さんは奥側側面にある何らかを操作しているようだった。するとボード上面がうっすらと発光して上面上部に文字が浮かび上がる。


「はい、結構ですよ。マスベーションさんの選択可能ジョブは無職、物乞い、商人の3つですね」


 おや、商人ですと?商人なんで?


「スキルなしで商人とは……これは遺伝による選択肢ですね滅多に無い幸運ですよ」


「遺伝ですか……家族に商人は居ないのですが」


「ご両親や祖父母が就いていないジョブでも何世代か前に遡ってジョブが遺伝する事もあるんです」


 へー、そういうのもあるのか。錬金術士じゃなかったのは少し惜しいが商人もそこそこの良いジョブだったはずださすが俺、やるじゃないか根拠無き自信が湧いてくる。


「さて、3つのジョブですが断然商人をおすすめします。得られるジョブスキルはランダム抽選で数も3~5つとなります、【収納袋】や【話術】などの有用なスキルを得られる可能性があるんです」


「あ、はい。じゃあそれで」


「では商人の文字をタップしてください」


 ほいよっと、文字に触れると商人の文字が輝きを増した


「もう一度お願いします」


 はいはい、ほいっと。すると更に輝く


「最後にもう一度お願いします」


 ほいほいほいっとな、三回認証とか随分と慎重なシステムだな……一生に関わる選択で間違える訳にはいかないのだからこの慎重さはありがたがっておこう。


 今度は目を開けられないほど強く輝き一瞬視界を失う、光が収まり視力が除々に回復する。ボードの表面にはさきほどまであった選択肢3つが消え新たにこう書き記されている。


商人に決定しますか? はい/いいえ


「はいをタップしてください」


本当に商人に決定しますか? はい/いいえ


「次もはいをタップしてください」


本当は商人にはなりたくない はい/いいえ


「次はいいえをタップしてください」


なるほど?もう暫く掛かりそうだった、慎重すぎやしませんかね?






「はい、以上でジョブ獲得作業は終了です。ジョブボードをスキルボードモードに切り替えますので続けてスキル確認をしましょう」


 そう言ってお姉さんはまた何やら操作している


「ではどうぞ、また窪みに触れてくださいね」


 ジョブボードでスキルチェックも出来るらしい。持ち運びできる程度のサイズでスキルチェック専用のスキルボードという物もある。そっちは国民学校にも配置されていて何度も使ったが卒業後にスキルチェックするのは初めてだな




名前:イング・マスベーション

年齢:15

種族:ヒューマン族

所属:ニッポンポン帝国

ジョブ:商人


ジョブスキル

ネットショップ(アダルトグッズ限定)LV1

アダルトグッズボックスLV1

チンポイント精製LV1

チンポイント変換LV1


スキル




 うーん?ネットショップやらアダルトグッズやらチンポイントってなんだろ、こんなスキル聞いたことないぞ?


「あの、このスキルってどんなやつです?」


「え…… ネットショップってまさか!!」


 

 お姉さんは急に立ち上がると部屋の隅にあった本棚へと向かい本を引っ張りだして何やら調べ始めたのだった。




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ