冒険者ギルド2
「ふーん、100ねぇ……」
「如何でしょうか?」
「ダンジョン『ラビットハウス』で毎日あくせく働いてる連中の日収は6000カネー程度だ。此処で湧く唯一のモンスター『兎野郎』を一日中探しまわって大体で20匹ぐらい狩れる。そいつから捕れる小さい魔石のギルド買い取り価格が300カネーで20個売って日収6000カネー。」
「ってことは入場代を差し引くと手取り4000カネー?」
「そうだ。おまえにチンポを100カネーで売れば入場券代が浮いて駆け出し連中は助かるかもな。」
「おお、ではぜひ100ゼニーでお願いします。」
「待て待て、駆け出しの雑魚連中ならもしかしたらって話だぞ。」
「そうそう、俺達ベテランがそんなセコい商売なんてするかよ。」
「俺達は満月の日近辺で起きる繁殖期の数日だけしかダンジョンに入らねぇんだよ。」
「満月時は兎野郎が大繁殖して危険だからな。雑魚どもは潜らねぇ。そいつらは満月を避けて毎日あくせく少ない兎野郎を探しまわっているのさ。」
「大繁殖の時には忙しいからよ。チンポ取ってる暇なんてねぇよ。」
「そういうわけだから他のやつに頼むんだな。ごちそうさん。」
こいつら奢らせるだけ奢らせて最初から依頼を受ける気なかったな。
昼間から酒飲んでるような連中だからそれも当然だったか、人選を間違えた。
まぁでも有益な情報が手に入ったぞ。ベテラン(自称)連中以外なら100マネーで
雇える可能性がありそうだ。そういう奴らは今日もダンジョンに入っているので
今の時間帯に外に居るはずもない。
ジジイに聞いたら15時頃になればチラホラとダンジョンから帰ってくる連中が
居ると言うのでカウンターでココアを飲みながら待った。
「うわー疲れたもーん。きつかったっすね今日は。」
「今日は、すげーきつかったぞ。」
ギルドの裏口からガチムチな3人が入ってきた。
この建物の裏手にダンジョンの入り口があるらしい。
書類仕事をしていた男、ギルマスと呼ばれていたのでおそらくこいつがギルドマスター。
そいつが3人を出迎えて採集物である魔石の買い取りをしている。買い取りが終わり3人が
出口へ向かって歩きだす。声を掛けるなら今だ。
「すいませーん。ちょっとお話を聞いて欲しいんですけど。」
ひとりが立ち止まってくれたが他のふたりは構わず出口へと向かう。
「え、何で話を聞かなくちゃいけないんですか。」
「おい、キームはやくしろよ」
「はやくしろよっ」
「あ、はい」
ふたりに呼ばれて立ち止まった男も俺に背を向けて去ってしまった。
う~ん?タイミングが悪かったのかなぁ
次に裏口から出てきたのは肌の黒い巨漢の大男。おそらく南方の民だな。
無言でギルマスに魔石を差し出し換金を終えていた。
「あの~すみませんお仕事の話があるんですけど~」
「オレ、ニッポンポンゴ。ワカラナイ。」
それだけ言い残して巨漢の男も去っていった。やっぱり外国人だったか。
それならしょうがないな。
次に帰ってきたのは……げっ、同じアパートのバーベキュードキュン、BBQN共だ。
あいつらはいいや。オナホ盗られたのがムカつくし。
ご近所さんとか何となく気まずい。
あいつらは俺に気づくことなく出て行った。
「あの~お仕事のお話が」
「ああ?知るかよシッシッ」
「あの~お仕事のお話が」
「チッ」
「あの~」
「あらぁん?坊や、ナンパかしら?お姉さんとサウナにでも行くぅ?」
「あ、なんでもないですごめんなさい。」
何がお姉さんだよどう見てもオッサンじゃねーか!
ダメだ。尽く相手にしてもらえない。なぜだ。
「のう、小僧。今日は諦めたらどうだ?仕事帰りの冒険者ってのは疲れて気が立っておるからのぉ。あいつらに話を聞くゆとりなんぞないと思うぞ。」
「おいカウンターのジジイ、早くそれを言え。」
「ジジイとはなんじゃ!まぁよい、明日の朝に交渉したほうがええじゃろ。」