ダンジョン管理業社
翌日、昼過ぎに起きて屋台で適当に飯を食ってから一番近いダンジョンに向かった。45地区内にある中規模ダンジョン『黄昏の咆哮』、その隣に併設されているのはダンジョン管理業社ビリー&ジョン社。黄昏の咆哮を独占しモンスター素材等を採集、販売している業社だ。扉を開けると正面には受付らしきカウンターがあったので話しかけてみる。
「あの~すみません、採集の依頼をお願いしたいのですが。」
「いらっしゃいませ。販売窓口は左手のほうにございます。こちらの番号札をお持ちになってあちらでお掛けになってお待ちください。」
「あ、はい」
番号札を受け取り左側にある販売窓口周辺にあるソファーに腰掛ける。ソファーには先客が1人と窓口で話してる人が1人、俺も含めて客は3人だけのようだ。売り物が素材だからな、取引のある商会や工房へ納品するのが主で個別に購入する人は少ないのだろう。30分ほど待たされて俺の番号が呼ばれた。
「お待たせいたしました。本日はどのようなご注文でしょうか?」
「あ~えっとですねぇ、モンスターのチンポが欲しいんですけど…」
「はい? ちん……え?」
「チンポです。ちんこ、おちんちん、ペニス、男根、魔羅、ご立派様、男性生殖器です。」
「………ああ、なるほど!精力剤に使われるブラッディオットーのペニスですか?あれは『ブラッディビーチ』ダンジョンでしか獲れない特産品でして黄昏の咆哮では採取出来ないので当社では取り扱ってはいないんですよ。」
「ああいえ、ブラッディオットーじゃなくていいんです。モンスターのチンポであれば、なんでも」
「なんでも、ですか?」
「チンポならなんでもいいです!!」
「ええぇ……」
あ、ちょっと言い方が不味かったかな?受付のお姉さんドン引きしとる。
「えっと、当社では通常商品として取り扱っているペニス素材は無いのでどうしてもと仰るのであれば特殊素材採集のご依頼という形になるのですが。」
「はい、取り敢えず見積もりをお願いしたいんですけど……」
「特殊採集のご依頼でしたら右手の突き当たりを左に曲がってさらに突き当たりまで進んで頂くとそちらに専用窓口が御座いますのでそちらでお願いします。」
「あっはい、ありがとうございました。」
言われた通りに奥へと進んでみると人気が少ない。通路の端にまで箱が積み上げられていてココら辺の一帯は半分倉庫のようなフロアになっていた。突き当たりには小さいがカウンターらしき物がある。しかし見える範囲に人はおらずカウンターの中にも箱が積み上げられていて奥が見渡せない。だが箱の向こう側には誰かが居るような気配を伺えた。
「すみませ~ん。特殊採集依頼をしたいんですけどー誰か居ませんかー」
「あいよーちょっと待ってくれー」
カウンターの奥から野太い声が響いた。
「お客さんすいませんね、ちょっと在庫品整理をしてたもんで。」
そう言いながら奥から現れたのは顔中傷だらけで角刈りの筋肉もりもりマッチョな、いかついおっさんだった。こんな受付けが居てたまるか、このおっさんはハンターだな。
「ん?おまえはポーション屋の次男坊じゃねーか?」
「え、俺のこと知ってるんですか?」
「なに言ってんだうちの会社はおまえの店の大口顧客じゃねーか。」
「あーそういえばそうだったかな?」
「おいおい、しっかりしろよ。俺は偶にお前んちにポーションの受け取りで出入りしてるがおまえ店でもボーっとしてるよな」
「あははは……」
「今日はどうしたよ、特殊素材の依頼だってか?うちのダンジョン産の特殊素材にポーションの材料なんてあったっけか?」
「いえ、ポーションは関係なく個人的に欲しい物がありまして。」
「ほう?まぁ座れや次男坊、話を聞いてやろう。」
「あれ?えーっと、貴方が受付してくれるんですか?」
「おう、俺がここの受付担当だぞ。元ハンターだったんだが、膝にバリスタの矢を受けてしまってなぁ現場は引退して今はこの窓際部署の部長様だ、部下は1人もいないけどな!」
「えぇ、、、膝にバリスタて、なぜにバリスタ?あとよく足が残ってますね……」
「大型モンスターを狩る時にはダンジョンにバリスタを持ち込んだりするんだよ、それで流れ矢に当たってしまってなぁ。俺は鍛え方が違うからな、足が千切れるってことは無かったがさすがにもう以前のようには動けないんでな、ハンターは引退だよ。」
「バリスタの矢ってぶっといですよね?動けるだけでも普通じゃないですよ……」
「それで何が欲しいんだ?言っとくが特殊依頼は高けぇぞ、ガキの小遣いじゃまず無理なんだが。」
「えっとですね、モンスターのチンポが欲しいんです。種類は何でもいいんです、Fランクで一番弱くて一番採取しやすいやつでいいんです。とにかくチンポであれば。」
「お、おう。そうか、おめぇまだ若いってのにそんな性癖を拗らせちまってるとはなぁ……」
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