ニートの望み
目がさめるとそこには巨乳で美人のお姉さんが……
なんて展開あるわけがない。
「おう。気が付いたかボウズ」
どうやら俺を助けてくれたのはこのスキンヘッドで筋肉隆々で身長は2mはありそうな厳ついおじさんだった。
なぜ倒れていたのか聞かれたのでこれまでの経緯を説明した。
「そうか。そりゃ災難だったな。最近ボウズみたいなわけのわかんないこと言う奴が多くてな。そいつらの共通点はここに来る前に神だと名乗る奴に会っていることらしい。シンジだったか?お前は会ったのか?」
そんな場面はなかった。
光の先にはただの野原が広がっていたのだから。
そう答えると…
「なんだ。お前は違うのか?なんでも全員が転移者だのなんだの言われてるらしいけどな。」
そう言われて窓から見える景色を眺めてみた。
まさにファンタジー世界であった。
鎧を着て腰に剣を差している人もいれば、獣人のような人も見えた。
「おじさん。俺……異世界に来たみたい。」
「おいおい。おじさんじゃねぇよ!俺にはビルって名前があんだよ!」
そういってげんこつを受けた。
そのげんこつを華麗にかわし…
「名前聞いてねぇよ!」
と半笑いで突っ込んだらそうだったかと言わんばかりの顔でとぼけていた。
ただ俺は他の人と違い神にすら見放されてしまったのだ。
なんて事はない。
神にすら見放されたのなら気負うことなくニート生活を満喫できる。
そう考えていると…
「おい!シンジ!タダで泊めてやるわけないだろ!働け!」
そう言われひたすら一日中床掃除をさせられてしまった。
現実の時代からニートだったため約半年ぶりに働いた。
その夜は言うまでもなく死んだように眠った。
「………ろ。……き…ろ。おきろ。」
眠っていた俺を誰かが起こした。
目の前には今度こそ巨乳で美人のお姉さんが………
な訳もなくビルよりもゴツくて大きなおじさんが光り輝いて立っていた。
「私の名はゼウス。この世界の頂点に立つ神だ。この度は君に迷惑をかけて申し訳ない。実は君に転移してもらう予定はなくてね。こちらの手違いで君を転移させてしまったようだ。」
ほらきた。やっぱり俺は見放されていたようだ。
まあその方が都合がいい。と思っていたのもついさっきまでだ。
この世界でもニートなんてさせてもらえないのだ。
「君が望むならなんでもしよう。元の世界に帰るもよし。この世界で悠々自適に暮らしてもよしだ。さて、シンジ君。君はどうしたい。」
もちろんそんなの答えは1つだ。
力を持って勇者になりたい。いや違う。
お金をもらってニートになる。うん、悪くない。
しかしだ。異世界でやりたいことなんて1つしかない。
それは………
「エルフと結婚したい!」