ニートの風当たり
一輝が世界一周に出て1ヶ月。
俺は相変わらずコンビニの廃棄処分をもらいながら暮らしていた。
今日も何気なく立ち寄り
「彰ー。いつものー。」
そう言うと最近は裏の倉庫の鍵だけ貸してくれるようになった。
借りた鍵を差し込み鍵を回すと、ガチャッと音を立てて鍵が開く。
するとその開いた扉の向こうは白く光っていていつもの倉庫ではなくなっていた。
「ちょっと覗いてみるか。」
俺は好奇心で倉庫の中を覗く。
するとその先には………
「なんだこれは…。ただの草むらじゃないか。」
その光の先は広大な野原が広がっていた。
あまりにも不自然だったが、最近ニートへの風当たりがきつい。
彰もそうとう呆れている。
まだ旅に出た一輝が真っ当だと言われる始末だ。
そんなことを考えていたら足が勝手に光の先まで進んでいた。
周りを見渡すと辺り一面は野原だけだった。
そう。扉も消えてしまった。
「な…無くなったー……。」
と、一人で呟いてしまったが無意識で出た言葉を感じれるほど意外と冷静だった。
ただなにをしていいのか、ここがどこなのかわかるわけもなくとりあえず寝た。
寝てから何時間経ったのだろう。
辺りは暗く、そして冷え込んでいた。
明るいうちは分からなかったが何キロか先に明かりがついている場所が見えた。
「くそっ、どんな田舎だよ。」
と、文句を言いながらもその明かりを目指して歩くことにした。
それから二時間ほど歩きようやく目の前までたどり着いた。
しかし、普段から運動をすることもなく、働くこともしていなかった俺だ。
もうすぐ着くという安心感と、極度の疲労で倒れこみ、そのまま意識を失ってしまった。