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ギフト~学生異能捜査官~  作者: 雅楽なぎさ
第1章
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第00話

雅楽なぎさと申します。

初投稿故に至らぬところも多々あるとは思いますが、少しでも楽しんで頂ければ幸いです。

どうぞよろしくお願い致します。

 4月初旬、都内某所。

閑静な住宅街からほど近い公園の砂場に4人の男女が集まっていた。

時刻は14:20。公園には彼ら以外に人の姿はない。

では、元々人が少ない公園なのかと言われるとそういうわけでもない。

周囲に植えられた桜は既に花を散らしかけてはいるものの、美しくしっかりと手入れされているし、設置されている遊具は年季が入って少し錆びてはいるものの安全に使える。勿論、これまでに遊具による事故も起きていない。

更には住宅街から徒歩で来れる距離にある。これで人が集まらないわけがない。

2日前までこの時間帯は親子連れが多数集まる賑やかな公園であったのだ。

2日前に、砂場で遺体が発見されるまでは……。






 砂場の上には白いロープで人の形に囲いがしてあった。

その直ぐ側に3人の少女と一人の中年の男が佇んでいる。

一人は喪服を思わせる黒いワンピースに黒いレースの手袋をした少女。

その隣には服装こそ似ているが、幼いと言っても過言ではない年齢の少女。

少し離れた場所に、地味な暗い色合いのラフな格好のメガネを掛けた少女。

更にその隣に草臥れた背広を着た中年の男。

街中であっても異彩を放つこの集団は、公園という場所にあるとどこか異様な雰囲気を醸し出していた。


「それで?急だったから私も美央もほとんど報告書を読む暇がなかったのだけれど……。最初からお願いできるかしら?」

しゃがみ込んで周囲を観察していた少女がそう話すと、その隣りにいた美央と呼ばれた少女がコクコクと首を縦に振った。


「あぁ、そりゃそうか。スマンな。それじゃ最初から説明するとするか……」

一度そこで言葉を切った男は背広の内ポケットからこれまたボロボロの手帳を取り出して続きを話始めた。


「事件の発覚は2日前の金曜日、午前8:55頃。直ぐそこの住宅地に住んでる主婦が子供を公園で遊ばせに来たところ砂場で遺体を発見し、警察に通報。普段から9:00頃に別の主婦達と子供を遊ばせに来るついでに集まっていた様だ。所謂ママ友だな。おかげで警察が到着する頃には数組の親子連れが居て大騒ぎだったよ……」

疲れた表情でため息を吐く男に、無言で続きを促す喪服の少女。


「で、死亡したのは30台の男性。まだ身元は分かってない。司法解剖の結果、死因は頭部を鈍器のような物で殴られたことによる脳挫傷。死亡推定時刻は胃の内容物から見て、22時間前前後。木曜の午前ってことらしいな。ここまでならただの殺人事件で捜査するんだが……」

「また例の傷があったってことですね」

「その通りだ、綾乃ちゃん」

男の隣に立つ綾乃と呼ばれた少女が報告書に目を通しながら口を挟んだ。

「これによると、遺体は衣服を身に着けておらず全裸の状態で遺棄されていて、胸に大きな十字の傷があった、と」

「ああ。十字の傷は内蔵に達するほど深かったようだが出血の量から見て、死亡した後つけられたものに間違いないらしい。現場に血痕が殆ど無かったことから考えて別の場所で殺害されてここに遺棄されている。これも今までと同じだ」

「これで4件目ですか……。早くうちに依頼すれば良かったのに」

綾乃がどこか呆れた様子でそう呟く。

「まあ、神宮寺さんに言っても仕方ないでしょう。どうせまたお偉方が揉めたんでしょう?」

それを聞いた男は苦笑して肩を竦める。

「さて、事件の概要は分かったから愚痴はこの程度にして始めましょうか」

神宮寺のそれを無言の肯定と受け取った喪服の少女はそう言うと、今では白いロープだけになっている遺体が遺棄されていた場所に改めてしゃがみ込んだ。


「それじゃあ……始めるわ」

喪服の少女は静かにそう呟くと右手の黒いレースの手袋を外して目を瞑り、そっと地面に手を触れた。


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