0 魔の胎動
薄暗い部屋にかすかな異音を響かせ、唸りを上げるハードディスク。
青白く光るディスプレイには、一見脈絡のないように思える文章や図が延々と示されている。
疲れきった目をした青年、三矢ハイガはベッドにその身を投げ出して、親指でまぶたの上から眼球を押す。とてつもない徒労感と、それでも尽きない憧憬の二律背反からため息が漏れる。
それに押し出されたようにハイガの意識を睡魔が覆う。ハイガは眠気に逆らわず、電池が切れるように眠った。
魔術。
三矢ハイガの求めるもの。
というよりも、もはやそれはハイガにとっての存在理由と称してさほどの違いはない。
三矢ハイガという人間は、『特別』に憧れた。
なぜならば彼は、これまで生きてきて十七年間の間に自らに並外れた何かがあるなどと、一度も感じたことがなかったのだから。
確かに、多少出来の良い頭を持っている。例えば、その辺の大学レベルの授業を小学生の時点で苦労なく理解できる程度には。少なくとも、自分が周囲と隔絶していると確信できる程度には、ハイガは聡明だった。
また、運動神経も優れている。どんなスポーツであろうと、ハイガがそれに取り組めばそれなりの結果というものがついてきた。初心者のハイガが経験者を簡単に負かすということはこれまでに何度もある。僅かな努力で膨大な経験値を覆すその能力を、才能と言わずしてなんと言えばいいのだろう?
けれども、とハイガは思う。それは、凄いことだろうか?
いくら優れていると賞賛されようと、結局のところは何十人とか何百人とか何千人に一人、もしかしたら何万人に一人。その程度の才能でしかない。
人間が数十億と存在する以上、何千人に一人の才能は単純に考えて、何百万人と存在する。
何百万人のうちの名もなき一人の、いったいどこが特別だろうか?
だからハイガには、己の才能に溺れることなど不可能だった。
才能に溺れるには聡明すぎた。
その他大勢。
ハイガはその優れた才能にも関わらず──或いはその才能ゆえに、己がそこに位置する存在だと理解できていた。
元から持っていた才能などというものは、本質的には個人の価値を決定するものになりえない。
ならば。
いったいなにが、本当に自分の価値を高めるものとなるのか?
ハイガは『特別』……というよりも『唯一』だろうか。その存在に憧れた。
与えられた価値ではなく、己で生み出した価値により自分の存在を証明したかった。
……その解答が、魔術だった。
最初の一歩は、単なる思いつきに過ぎない。
世界には魔術の伝承が無数に存在する。ヨーロッパの魔女などというのはまさにその典型だし、どこの神話を紐解いてみても魔術師、あるいはそれに類する力を持つ人間が存在する。
その形態も幅広く、いわゆる精霊信仰から占術、呪術、果てには錬金術など、様々に呼び称される。西欧のみならず、アジア、アメリカ大陸、アフリカ大陸、オーストラリアとあらゆる大陸において、呼び方こそ違えど超常の力を行使する人間の伝承には事欠かない。
このシンクロ二ティをいかに考えるか。
過去の人間が迷信深かったからだろうか?
ならば、何故過去の人間は迷信深かったのだろうか?
この疑問について、ハイガは一つの仮説を立てた。
──かつて魔術が本当に存在したからこそ、その残り香が世界各地の伝承に痕跡として見られるのではないか?
随分と昔の時代のことに何をと考えてしまうかもしれないが、人類の歴史で考えるならば二千年というのはごくごく最近だ。人間という種が誕生したのは百万年以上の古代に遡ろうというのだから。
そもそもが最古の記録という表現も言い方を変えれば、その頃の人類が記録を残せるほどに発達した知能を有していたという証明なのである。
それほどの知能を有しながら、世界の誰も彼もがありもしないものを観測し、記録したということの不自然さは語るまでもない。
ならば。
ならば、絶対に魔術が存在しないなどというのはあまりに狭量な考えではないだろうか。
確かに現在、魔術は失伝し、存在しないのかもしれない。
しかし過去には?
そして未来には?
一体誰が、魔術など存在しないと言い切れるだろうか?
この考えに至った時の小学四年生・三矢ハイガははっきりと興奮を覚えた。
──もし、魔術が現実に存在すれば。
──もし、自分が魔術を作り出せたら。
その考えはどこまでもハイガの欲望を刺激してならない、素敵な考えだった。
そして七年間。ハイガはその思いを行動にまで移し、一心に魔術を研究した。
とはいえ最初の二年間はハイガにとっても準備期間に過ぎなかった。小学生に何ができよう。所詮、図書館で歴史書やその手のオカルト本を読み漁ったり、父親に頼んで世界各地の魔術関係の情報を収集してもらう程度だった。
とはいえこれも、馬鹿にできたものではない。魔術が存在する、もしくはしたのだという見地に立ってみれば、曲解・誤解されていたとてなんらかの形で、歴史や今日のオカルトの中に魔術が痕跡を残していることは明白だ。
またその一方で、ハイガはありとあらゆる学問に手を出し、高いレベルでそれを修めていった。
ハイガの望む魔術は、万人に受け入れられる魔術である。
科学・学問とは、遠い過去にはごく限られた条件下でのみ奇跡的に発生していた現象を、分析と考察により一般化し、普遍的な事実に落とし込んだものであり、それはまさにハイガが辿るべき道筋である。
万人に受け入れられる魔術を創り出そうというのなら、間違いなく高いレベルでの科学的思考・見地は必要不可欠なものだったのだ。
無論、ハイガには普通の小学生のように遊び呆ける暇はなかった。
毎日を魔術の探究の基礎となる知識を得ることに費やすので、自由になる時間などない。もしあったところで研究に費やしている。
ハイガ個人の意見としてはそもそも小学校になど通っている暇などなかったのだがさすがにそれは許されず、歯ぎしりしながらもハイガは小学生時代を地道な基礎研究と、基本的なコミュニケーション能力の向上に費やした。
そして中学時代の三年間、ハイガは徹底した現地見聞に勤めた。
小学校の卒業と共に両親の制止を振り切って家を飛び出し、そのままありとあらゆる手段を用いて日本からすらも脱出し、魔術の探究の旅に出たのである。
魔術が関係すると思われる場所に実際に出向き、その場所の地理的特性や風土、そして魔術の痕跡を己の五感で確かめる。それは一見地味なようで、確実にハイガの魔術創造の血肉となっていった。
これには、ハイガの父親が冒険家などという職業についていたことも関係しよう。当初こそ猛反対していた彼だったが、ハイガが初の旅から三か月ほどで帰還したときに息子の手綱を握るのを諦め、むしろ己と同じようにハイガもまた冒険を求めているのだと勝手に解釈し、その旅を黙認し、時には支援した。
この父親の協力がなければ、三年間で五十ヶ国に足を踏み入れるなどという馬鹿げた強行軍は不可能だっただろう。
当然、ハイガは中学校になど通っていない。そんな暇はない。
その対象が何であるかはともかく、ロマンを追い求めるという点で確かにこの親子は似通っていた。
この世界各国を旅する過程で、ハイガはおよそ少年に似つかわしくないバイタリティーを身につけた。言葉が通じないことなど日常茶飯事。そんな環境下で、ハイガは何度も身の危険にあったが、その度切り抜けた。
ある国では人買いにさらわれそうになり、ある国ではギャングの裏取引を目撃して追われ、ある国では一人密林に置き去りになり、ある時は国際的テロ組織の暗闘に巻き込まれた。
そこから毎回生還するのだから、もはや機転とかそういうレベルではなく、ある意味でハイガは天運というものを有していた。
……そもそも、普通はそんなにホイホイと危機に巻き込まれるものではないものだが。
激動の中学時代をなんとか生きぬき、ハイガは日本に戻って高校生となった。もはや、見るべきものは見終えているという奇妙な確信がハイガにはあった。ハイガはこの高校生活で、出席日数の最低限度だけを出席し、ギリギリで高卒の資格の取得を目指した。
出席日数はともかく、成績はトップクラス。教員たちはこの難儀な生徒の扱いに苦慮したが、放置した。それが双方に益であると、なんとなく悟ったのかもしれない。
ハイガは悠々と高校生活を満喫……するわけがなかった。そもそも高校生になったのだって、大学に入るためだった。一部の魔術に関係すると思われるものには、秘蔵文書もある、というかそれが多い。
そういったものは、案外と大学などといった、それなりの立場がなければ立ち入れない場所で死蔵されていたりするのだった。
ハイガは時々登校し、それ以外はひたすら家にこもってハードディスクに蓄積した情報を整理・系統化・考察する作業に没頭した。
小学校時代に得たありとあらゆる知識と、旅を通して得た各地域特有の魔術的現象から、ハイガは魔術の概形とも呼べるものを、朧げにではあるが見出していた。
そして、その輪郭の内側、中身を埋めることのできる可能性のあるもの。
それは、ハイガの魔術にかける情熱と努力に他ならなかった。
……が、これが難航した。
何せ、ハイガの有する知識と世界のほぼすべての大陸からかき集めた情報は、とてつもなく莫大だ。
さらに言えば、ハイガの研究はそれら二つが複雑怪奇に混合されることにより、もはや科学ともオカルトとも取れぬ領域に踏み込んでおり、まともな人間にとっては理解すら難しい有様だった。
とてもではないが一人で処理できる領域ではなく、できることならばハイガも強力な味方を得て、よりよい環境で魔術を研究したかった。しかしながら、他人に任せるわけにもいかない。魔術の影すら踏まないその辺の人間に、ハイガの要求する基準が満たせるわけもない。
自然、ハイガはほとんどを家に引きこもって過ごした。当然、そんな生活はハイガを蝕んだ。その素晴らしい肉体的健康は損なわれなかったが、しかし精神的には追い詰められていた。手詰まりと言っていい。大学への入学待ちとはいえ、既に情報そのものはほとんど揃っているはず。
──芯だ。何か一本の芯が、越えるべき境界が存在するのだ。
それさえ見つければ、己の中に蓄えた魔術知識の全てがある方向をとって芽吹く。その確信がハイガにはあったが、しかしその一線がいつまでも見つからなかった。
ハイガは一線を越える希望と、一線に到達しない不安に苛まれながら、今日も魔術を一心に研究する。
目を覚ますと、夜中二時。
「……ぁ」
喉の渇きのおかげでまともに欠伸もできなかった。その辺のペットボトルを引っつかんで水をがぶ飲みする。急に水分に触れた喉は、ハイガに引き攣れるような痛みをもたらした。
「…………」
が、ハイガは何も表情に表さない。
魔術。魔術。魔術だ。魔術を。魔術よ。
魔術への渇望だけがハイガを突き動かし、モニターの前へと導いた。
ハイガは隈の残る目でモニターを噛みつきそうに睨みながら、コンソールを動かし、思考を進める。
目の前に存在するものはハイガがハイガのためにハイガの基準で作り出した魔術書だ。
間違いなく魔術的要因であると考えられる膨大な情報の中から、その共通項という点でハイガの抜き出した、虎の子の情報群だった。
そこには何かがある。羅列された情報を繋ぐミッシング・リンクが。ハイガは総ざらい的に思考を進めた。
西洋的魔術観と東洋的魔術観に共通するこの三十六の要素からさらに篩にかけ、魔術の特質たる要素をさらにを抽出できないだろうか。
………………不可。
このマントラとこの聖句はともに魔術の起動キーを成すことはわかっている。ならば、暗号理論からこれらの傾向からそれに続く文句を導けないだろうか。
………………不可。
この六芒星魔術陣を数理研究的な立場から解釈してその要部から新たな形に組みなおし、なんらかの反応を引き出せないだろうか。
………………不可。
数限りなく、際限のない失敗。それこそがハイガの魔術創造の結局の総括だ。
──このやり方で合っているのだろうか。
──本当に、魔術は存在するのだろうか。
魔術を研究し始めた当初から常に心の隅に存在した弱気がハイガを叩く。
しかし、ハイガは魔術創造を諦めない。
それはつまらない意地からではない。これまでが無駄になってしまうなんて、そんなしみったれた考えの発露でもない。
魔術に存在していて欲しいのだ。
魔術が存在するのかもしれないなら、ハイガはそれを求めずにはいられなかったのだ。
ハイガはいつしか魔術の発見のもたらす名声ではなく、魔術そのものに魅せられていた。
──そしてその空気で岩を砕こうとするかのような試みはこの日、奇跡を生み出した。
「…………ん?」
何故、それがハイガの眼を惹いたのかはわからない。ある魔術体系式の中で用いられている変数が、ハイガの琴線に引っかかったのだ。
(なんだ……? これ……なんか……ッ……!)
ハイガを天啓が打つ。
掌の皮膚が急にじっとりと汗をかく。
血流は逆流し、目の前のものは全て現実味をなくした。
(もし……仮にこの体系式が魔術の虚構認識体系の中核、そのものだとすれば……?)
それは論理的思考ではなかった。
無数に存在する可能性の中から、ただ一つを正しいと決めつけて論考を進めるような、そんな愚行。
しかしそれは人類史に残る偉大な発見の影に、往々にして存在した。
ある者はそれを『ひらめき』と呼び、ある者は『エウレカ』と叫び、ある者は『神よりの天啓』と祈った。
ハイガを襲ったのは間違いなく、そういった種の奇跡であった。
ハイガは呼吸をするのももどかしく、過呼吸になりかけながらその手を動かした。
走るペン先。対照的に震える体。
そして得られた答えは……
(合致……バラバラだった情報が、一つの方向を向く……!)
ハイガは震えた。歓喜した。
それこそは、ハイガが初めて手にした本物の魔術の一端だった。
五日間、ハイガは情報の統括にその全ての体力と精神力を費やした。目の前に、全てを賭して求め続けた魔術への扉がある。ハイガは疲労を自覚しても、もはや止まれなかった。
そしてハイガの前に現出したのは、魔術の設計図。それは絵であり式であり図であり文章であり祈りであり、その全てを内包していた。
そこに現出したそれこそが『魔術の起源』。
あらゆる魔術の始原たるものだった。
ハイガはそれを理解しきる。決して無くさぬよう、その全てを脳内に刻みつけた。
ハイガは深呼吸をした。
これが答えなのだとすれば。これが魔術なのだとすれば。
これより、自分は歴史の創造者となる。
不安はなかった。
これまでするりと手の中を逃げ続けていた大魚を、今度こそその手に掴んだ。その確信があった。
魔術式を頭の中で展開する。自分に観測しうる全てを魔術式に組み込む。
手にティッシュペーパーを摘む。目の前にあるそれをしっかりと見つめる。
起術キーを、はっきりと発音した。
「【火よ】」
ぼう、と微かに空間に光が灯った。
その灯りは数秒揺らめき、すぐに消えた。
燃えた。
確かに、魔術は発動したのだ。
瞬間、ハイガは大笑した。
見ろ!これが、今、目の前に生まれたこれが、魔術だ!
俺がこの世に産み落とした、魔術だ!
大笑に震えるハイガの頰には、涙が流れていた。
報われたのだ。
無数に存在したであろう、この七年間の可能性。青春時代という、人生でもっともと言い切ってもいいほどに実りある時間を全て、魔術につぎこんだ。
その、己の執念が。そして意志が。
ついに、報われたのだ。
しかしハイガは、ある瞬間を以って床に倒れ伏した。
(なんだ……なんだ、これは……!?)
それこそは魔の胎動。
ただひたすらに蓄え続けた知識と経験が魔術の発現というきっかけにより開花し、ハイガの頭の中を荒れ狂った。魔術という解答を得たことにより、混沌の集合体としてしか存在していなかったハイガの頭脳の思考の断片が、統合され、整理され、新たな形をとってゆく。
侵食。
己を書き換えられる感覚。脳が作り変えられるような気持ちの悪さ。ハイガはそれに耐え続けた。反吐を撒き散らし、絶叫しながらただその瞬間が過ぎ去るのを待った。
終わりは唐突だった。視界がクリアになり、ハイガは立ち上がった。
もはや、つい先ほどまでのオカルト好きな青年はいなかった。
代わり存在していたのは、新たに生まれた若き魔術師であった。
──理解する。
魔術とは何か。何が魔術を構成するのか。
魔術たるものの深奥に、ハイガは足を踏み入れたのだ。
今のハイガならば、それを成すための要因さえ揃えば、世界を滅ぼすことすらできる。
……そうしたい、という欲望があるわけではなかったが。
今この時より、ハイガは魔術を扱うための存在へと生まれ変わったのである。
(さて……どうするかな……)
ハイガはこれからを考える。
自分という本物がいるのだ。魔術というものの存在を知らしめることはできるだろう。そうすれば、同じく魔術を研究してくれる存在も現れるに違いない。
つまり、さらなる魔術の深淵へと近づけるというわけだ……。
とりあえず部屋を出ようとしたハイガ。
と、その時。形容しがたい声のようなものが、ハイガを打った。
《……『禁忌』の存在を認識》
「な、なんだ……?」
思わず耳を疑うハイガ。どこにもそんな音を発するものはない。しかし、厳然としてそれは聞こえる。
《……この第十一世界における『魔術』は現在、第一級禁忌に指定中。速やかな第十一世界からの脱出、または退出先の世界の選択を推奨する》
「なんだ!? 誰だ……!?」
《……私は『■■■』。警告に従わない場合、規定に従って第十一世界からの強制退出を実行する。その場合、いかなる世界に退出するか選択権は存在しない。仮に希望がある場合、速やかに述べろ》
情感を感じさせない、淡々と呼びかけるかのような声。
ハイガは奇妙な危機感を覚えながら、それに応える。
「ちょ……ちょっと待ってくれ! 何を言ってるのかさっぱりわからない……俺が、なにかしたのか!? この世界から退出とはどういうことだ!?」
《……文字通りだ。第十一世界は第一級禁忌『魔術』を許容できない。『魔術』の存在を容認すれば、第十一世界は遠からず滅亡する。すぐに希望を述べるか、この世界から退出しろ》
「ま、待て……待て!」
ハイガは混乱した。この物憂げな男性のような『■■■』の声には、妙な説得力があった。ハイガには、この音声が真実なのであると、奇妙なことに確信できていたのだ。
が、しかし。
仮にこの言葉を心から信じ込んだとて、いきなりどんな世界に行きたいとか、そんなことが選べるはずもない。
《あと十秒。九、八……》
ハイガは焦った。そして悩んだ。
己にとって最も大切なものとは?
最も失いたくないものは?
答えは簡単に出てきた。
「魔術を! 魔術を使える世界に行かせてくれ!」
《……了解した。魔術を容認し、未だ存在する単一宇宙ベースの平行世界全九十六兆三千五百八十一億五千七百六十五万八千九十一の中から、ランダムで世界を決定する》
「え、ちょ、ま……」
ハイガは光に包まれながら、どこまでも漠然とした不安と後悔に襲われた。
異世界多すぎだろ、もうちょい詳しく指定すればよかった、と。
あと絶対、自分に魔術の先達がいなかったのは、こうしてどっかに放逐されてきたからだろう、と。
光が収まるとそこには、誰も存在していなかった。
初めまして。
初投稿となります、加賀月こんやと申します。
一章が終わるまでは毎日更新です。
若干クセのある話ですが、よろしければどうぞ。