前世?
何となく書き始めた小説です。
中西有斗
有斗はどこにでもいる日本のサラリーマンの一人である。二年前に大学を卒業した有斗は幾つかの就職試験を受けて大手飲食店の一つに就職した。この大手飲食店は海外より国内に目を向けて発展させていくことをスローガンにしている会社だったので自国から出たくない有斗からすると、最高の職場だった。そう、最高の職場だったのだ。事態が急変したは去年の四月だった。
「今日から前社長に代わってこの会社は私、牛若が社長をすることになった。前社長の意思を引き継いで頑張っていこうと思う。皆、これからも宜しく頼む。」
その日、社長が変わった。彼は以前この会社で副社長をしていたので、前社長が退職すると同時に社長になった。有斗は副社長が社長に変わろうと自分は余り関係が無いと思っていた。会社の方針も以前は副社長をしていた人が急に変えるとことは無いだろうし、会社の一職員に対して何か起こることは無いと思っていたのだ。だが、その読みは甘いと言わざるをえなかった。新しく社長になった牛若は今の時代は海外に目を向けないと生きていくことは出来ないと言って、一部の社員に英語を学んで一年後に海外研修に行くように言った。有斗はその中の一人だった。日本で働きたいと思ってこの会社に入ったのに海外に行かされることに思う所はあったが、一社員である有斗が決まったことに逆らうことは出来ず渋々外国語を学んだ。
それから一年後、有斗は海外研修を行った。有斗達が行った国は日本とは違って治安がそこまで良くは無かったが、会社の周囲だけで行動をしていれば比較的安全だと言われた。有斗は一年間必死に英語を学んだが、相手の会話を全て聞き取ることが出来るほどの能力が無かったので大人しく過ごしていた。
そして、帰国まで残り後三日と言った日に研修先の友人マイケルが有斗を飲みに誘ってきた。普段なら断っていた有斗だが、その日は何故か誘いに乗ってしまった。それから数々の大人の店を見に行った。初めは余りお酒を飲まなかったが、綺麗なお姉さんが近づいてくれた後から有斗は爆発してしまったのだろう。断定できないのは有斗の最後の記憶がお姉さんの後ろ姿だからだ。と、有斗が長々と自分の過去を思い返していたのには理由がある。
「バード様がお目覚めになりました。奥様に連絡を」
俺の名前はバード・カラアゲ。有斗としての記憶を所持しているカラアゲ国の第三王子である。