魔女の狂愛
短篇です。
いいのかどうかは別にして魔女が喋っているだけなのは恋する魔女が盲目的かつ精神的にヤバ目な感じを出してみたかったからです。
「あら? 目が覚めたのね」
「どう?その体は?」
「素敵でしょ。え? 元に戻して?」
「嫌よ。せっかく可愛らしい服を着せてあげたのに」
「私は今のあなたを愛しているのよ」
「ええ。最初は貴女のことを死んでほしいと思うほどに嫌いだったわ。でもね、魔女であることを隠していた得体のしれない私と正々堂々とどっちがあの人の心を捕えるか競ってくれたじゃない。そんな貴女だから私は貴女の事が嫌いから好きになったの。憎さ余って可愛さ100倍とはこの事ね」
「何言ってるのか分からない? それはそうよ。私が勝手に作った言葉だもの」
「あの人のこと? 怪我をした私を手当てして無言で立ち去っていく姿がとてつもなくかっこよかったの。それに、私は心が読めるのだけど、下心とか一切なかったの‼ その後、私も村に住みついたわ。知ってるでしょ? 村にいたときでもさりげなく気づかいがうまい人だけど不器用でいつも……」
「知ってるって? ええ。もちろんあなたもそんなところに魅かれたのよね。そして、あなたはあの人のことを心の底から愛していることも知っているわ。近いうちに婚約しようと約束し合っていたこともね。嫉妬しちゃうわ」
「それなら元に戻して? 嫌に決まっているじゃない。私は貴女のことも好きになっちゃたんだから」
「私は女よ? 知っているわよ。でもそんなの関係ないわ‼ だから考えたの。どうしたら、いいのかなって」
「もうそろそろしたらあの人がやってくるわ。そしたら、貴女とあの人と私で永遠の時を過ごすの」
「ええ。年も取らず。誰にも知られず。永遠に愛し合うの‼」
「嫌? 安心してあの人も来たら3人で夢の中に行くのよ。そこでは、平穏でとにかく幸せだけがいっぱいなの。そこで3人で結婚式を挙げるのよ。私を中心とした……ね」
「ほら、あの人が来たわ。慌てているみたい。あなたのことを心配しているみたいね。貴女がここでお人形として眠っていると知ったらあの人は何を思うのかしら?」
「憎しみ? 悲しみ? 怒り? それとも裏切られたと思うのかしら?」
「どれでもいいわ。私を見てくれるのだもの。いつも以上に情熱的に、熱烈に、激越的に、熱心に、一途に、ひたむきに、熱心に、懸命に、生真面目に、真剣に、一筋に、真面目に、直向に、一心不乱に、本気で、じっと、睨みつけるように、悲しさが混ざる様に、偏執的に、どんな思いをぶつければいいのか分からない感じに、懇願するように、嘘だと言ってくれと言う風に」
「私を見てくれるのだもの。楽しみで仕方がないわ。それに私をしっかり見てくれないと私たちが幸せになるための夢が見れないの」
「だから、入って来たら貴女がここにいることを言うつもり」
「あの人が来たようね。ふふふ。これからが楽しみね」
「さぁ‼ 私たち3人が幸せになるための準備を始めましょう」