信ずる気持ち
やっとこさ更新、一度手直ししてました。
そして物語はようやく進みそう
世界の崩壊は進む。
そのスピードは加速し、見慣れた周囲の地形は今や影も形もない物になっていた。
男は静かに元居た椅子に座り直し、ふっと。
息を吐き出した。
これで終わりか・・・まさか、こんな終り型をするとは・・・
自分を殺すのは人間だと思っていた。
自分を殺害せしめる存在は人間だと思っていた。
自分を終わらしてくれるのは人間だと信じていた。
だが、人間では無かった。
世界が、世界の意志が自分を殺す・・・
その事だけが、男の気持ちを想いを信念を落ち込ませる。
倒して欲しかった。
殺して欲しかった。
圧倒せしめて欲しかった。
自分を・・・納得させて欲しかった。
男が何故、ここまで人間に固執する理由は。
彼の幼少期にまで遡る。
当時、彼が数えて8つの時。
好きな絵本があった。
「勇者物語」と言うタイトルの絵本だ。
その絵本には、人間の勇者が伝説のドラゴンや魔王といった悪者を悪魔を倒して世界を守る。
在り来たりな内容であったが。
幼い彼にとっては強い憧れを抱かせるには充分であった。
この絵本にある、一文がラストに書いてある。
「勇者は実はただの人間で、人は少しの勇気さえ在れば。どんなドラゴンにも、魔王にも勝てる可能性が秘められている。人間の可能性は無限に広がっているんだ」
彼は目を輝かせて思った。
人間とは何と素晴らしいのか!
彼は人間は素晴らしいと言う事を妄信的に信じていた。
が、彼が大人になり。
人間の浅ましい面、汚い面、残酷な面を見ることになる。
違う、人間は素晴らしいんだ。
何故、皆はそんな酷い事を平気な顔で行うのか!?
お前たちは人間では無いのか?
彼は人間の薄汚れた所を見て、感じて、体感して。
酷く落胆したと同時に、期待していた。
きっと居るはずだ、あの絵本の様な。
あの絵本みたいな勇気ある人間が現れる事を。
素晴らしい人間が居る事を。
そして、彼は歳を取り。
事件が起きた。
彼は人を捨てとなり、人間を殺戮する化物となった。
彼は殺した、何人何十人何百人、何千何万何千万と。
だが、彼は信じていた。
いつか必ずや現れると。
あの絵本の様な勇者が、自分が信ずる勇気ある人間が自分を殺しに来ると。
彼は信じて、今も信じている。
進みませんでした、すみません。
許せん!