明かされる真実。そして
暗い話しにするつもりは無かったの。
本当よ。信じて!
「ギルティ」
そんな・・・馬鹿な!人間が絶滅仕掛かっている・・・だと!?
男は余りの衝撃に目眩を覚え、堪らず水晶の置かれている机に手を着く。
人間は弱いく脆弱な生き物だ。
だが、他の生き物にはない知恵がある。
だから人間は強く、これまで生きて来た。
繁栄してきた。
なのに何故・・・
男の思考がグルグルと巡り廻る。
「聞かなければ・・・」
男は直ぐ様、行動を開始した。
水晶に表示された一番近い人間の場所へ行く為に。
だが、男は更なる衝撃を受ける。
「種族 人間種 数 21」
減っているだと!?
この短時間で9人の人間が息絶えたと言うのか!!
急がねば!
男は水晶を掴み、疾風の如く駆ける。
城の城壁を壊し、外へと飛び出す。
その速度は音速へと到達し、男が走り去った後から来る衝撃、突風。それらに当てられ建物は軒並み崩れ去った。
「糞が!此処もか!」
男が最初に訪れた森の中には確かに人間が居た。
しかし、既に息は無く。
数にして四人。
皆、抱き合いながら息を引き取っていた。
身体はまだ若干温かく、ほんの少し前は生きていたのだ。
見た所、四人全員に外傷は無く。
本当に突然死に絶えたのだろう。
男は悔しさで唇を噛み、水晶の表示を見た。
「数 8」
次だ!場所は・・・近い!
距離にして五キロ。5秒も有れば辿り着く!
先程よりも速く移動を開始した男は、約500年振りに焦っていた。
男がたどり着いた先には、一件の掘っ立て小屋。
その小屋の前に座り、ただ。
虚空を眺める人間の男性の姿。
間に合った!
喜びにも似た感情が男に芽生える。
直ぐ様速度を落とし、人間の元へ歩み寄る。
人間は突如として現れた男に視線を向け、目を見開いた。
「・・・あぁ、ついにザミエルが俺を迎に来たか。速いとこやってくれ。俺はもぉ・・・疲れちまった・・・」
弱々しく呟く人間に男は酷く苛立ったが、人間の表情を見ると。
苛立ちが収まり、逆に慈しみの心が沸き上がる。
「何が有ったのだ・・・どうして、皆死んで行く?何が原因で?」
「・・・あんた。何も知らないのか。・・・そうか」
人間はうつむき、思い出す様に話し出した。
「あれは、そう。
始まりは20年も前だ。突然、世界中で人々が弱り出した。最初は伝染病かと思われて居たんだ。だが違った。次々と皆が死んでった。回復魔法を掛けても意味なく、薬を飲んでも効果なく。
ただ、死を待つだけ、そんな時。ある猟師が現れた。世界中の皆が弱々しく成っていく中、その猟師だけは。比較的元気だったんだ」
人間はそこで一旦、言葉を区切り。
はぁ。と息を吐く。
「各国の研究者が総力を結集し、原因を突き止めた。その間にも、ドンドン死んでった。
結果は世界の、生命力の欠乏だ。
何十年も前に、化物退治に使った聖剣の攻撃で世界の生命力、その大半を使っちまったんだとよ。その反動で世界が使われて失った生命力を補填しようと、生き物総てから生命力を吸収してんだとよ・・・これが俺の知る全てだ。
あぁ、猟師が元気だったのは。森に住んでたからさ。世界が吸収する生命力が森からも吸われてるからな。少量で済んでたらしい。
最も、その猟師も森から出たせいか。あっさり死んじまったがな」
人間は最後に。
ははは、と。軽く笑い。
そのまま動かなくなった。
男は人間を見詰めたまま。暫くその場で動かなかった。
水晶には。「種族 人間 数 0」の文字が虚しく表示されるのみ。
分かりにくいので。簡単に説明。
デカイタンクの中身をいっぱい使ったから、機械が量を元に戻そうと色んな所から急激に吸い上げた。