目覚めの絶望
彼が目を覚ましたのは眠りについてから、約30年後の事だった。
目を覚まし、彼が見た光景は。
更に彼を絶望に陥れる事となる。
「どうゆう事だ!これは!」
彼が住む、城の頂から目にする光景。
それは草木が枯れはて、生き物が朽ち果てる死した大地だった。
これでは・・・人間も・・・
彼は急ぎ城を出立し、眠りにつく前に大陸で一番大きな国へ足を運んだ。
分厚い鋼鉄の城壁。活気ある人間達の話し声。発展した技術力。
あそこなら、あの国なら人間がいる筈だ。
しかし。彼が望む光景はそこには無かった。
崩れ墜ちた城壁。荒れた家々、所々に爆発した様な跡地。
活気処か人間の気配すら、そこには無かった。
何が・・・あった?30年。高々30年でここまで荒廃するなんて・・・
男は原因を突き止める為、国の城を訪れた。
しかし、城も例にも漏れず荒れ果てている。埃の積もり方を見ても、最低で数年。最高で丸々30年近いかもしれない。
城の内部には至る所に人間らしき白骨死体が散らばり、歩む度にパキンッと音を鳴らす。
「・・・む?」
奥に進む度に不審な白骨死体が増えてくる。
砕かれた、または切断。明らかな死因となった傷を負った死体が増える。
戦いの、闘争の形跡。