空
目が覚めた。
いつもの布団。いつもの窓。いつもの壁。いつもの.....
つまりいつもの部屋だ。
嗚呼、憂鬱だ。
特にする気力も湧かない。
仕方ない、僕は立ち上がって窓を開けた。
そして、空気に体を預けた。
僕は、堕ちた。
落ちた堕ちた墜ちた。落ちた堕ちた墜ちた。落ちた堕ちた落ちた堕ちた落ちた堕ちた落ちた堕ちた落ちた堕ちた落ちた堕ちた落ちた堕ちた落ちた堕ちた落ちた堕ちた落ちた堕ちた落ちた堕ちた落ちた堕ちた落ちた堕ちた落ちた堕ちた落ちた堕ちた落ちた
落ちてた。
「ぐしゃ」
自分の体が消えていく感覚がする。
空気と混ざりあい、地面に沈み、体が崩れる。
こんなに可笑しい事が起きているのに誰も笑わない。
何故ならば、いつも起きているからだ。
目の焦点が合わない。思考がはっきりしない。
空気と別れ、地面から浮き、体が戻る。
「大丈夫ですか?」
え?話かけられた?話しかけるのも話かけられたのも久しぶりだった。
どう返せば、良いのだろうか?
考えが纏まらないどうすれば....
「あのーーー大丈夫ですかーーーー?」
向こうからきた。しかも五月蝿い。
「大丈夫。」
この程度しか、ひねり出せなかった。
「よかったぁ~でも何でいきなり落ちてきたんですか?」
好奇心が強い子だ。
なかなか中性的に整った顔立ちをしている。
と言うより中性的過ぎてどちらかよくわからない。
声もどちらとも言える高さだ。
まじまじと相手の顔を見てると
「あの、どうしたんですか?」
失礼だった。
「何でもない。」
やはりこの程度しか、返せなかった。
「質問は、答えてくれないのですか?」
そういえば質問されてたな。
そんな顔で見ないでくれ。
「目覚ましだ。」
そんな顔で見ないでくれ。
「え...?あれが目覚まし....?」
そんな顔しないでくれ。
それにしても、この子は騒がない。
こんな可笑しい出来事を見たら普通の人間は、泣き叫ぶか逃げるはずなのにな。
ネジが抜けてるか肝が座ってるかのどちらかだな。わからない。
それにしても自分も普通の人間ではないな悪い意味で。
そう、わかりきっていた事だが自覚しなおしたら、乾いた笑いが出てきた。
「ハハハハハハ(棒)」
虚しい
「笑わないで下さい!何が可笑しいのですか!普通のあんな事があったら普通は驚きますよ!」
ウン、それが正しい反応だ。
それにしても彼?彼女?に興味が湧いてきた。
名前を聞いて見たくなった。
「ねぇ君の名前は」
さて、どちらなのだろうか。
「何でいきなり名前を聞くんですか!まぁいいでしょう。僕の名前はユウと申します。」
中性的だ。名前までも中性的なのか。ユウ君の性別はモウワケガワカラナイ。
もう、ユウ君の性別は男として扱うとしようか。
第一印象は僕だから。
さっきの質問には、答えたくない。話題をそらさないと。
そういえば学校はどうしたのだろうか?ユウ君見た目若いし。
「学校に行かないのか。」
少しユウ君はとまどってから、へへっと小さく笑みをこぼした。
「訳あって不登校なんですよ。僕は」
ダメな事を聞いてしまった。でも当のユウ君は、話を続ける。
「あなたは、どうなんですか?見た目はなかなかいいお年頃じゃないですかね。」
いたずらっ子ぽくユウ君は、問いかけてきた。
「まだ、アルバイトまで時間があるから。」
わざとらしくユウ君は、驚いた後
「ぇぇぇ、仕事とは行かないまでもアルバイトしてるんですかぁ!」
殺意が、湧いた。
「一応している。生活の為に」
ユウ君は、真顔で
「普通ですね。」
うん。そうだな。
当たり障りのない話をユウ君と続けていると、見た目もそうだが中身もよくわからない人だ。ますます興味が湧いてきた。
「そろそろバイトだから帰れ。」
ユウ君は、時計を見た。
「もうそんな時間なんですね。90分も外で立ち話ですよ。道理で体が冷えきっているはずですね。では、また明日。」
ユウ君はどこかに行ってしまった。
それにしてもさっきまた明日っていってなかったけ?
明日も来るんだ。
明日は、部屋に入れてやるとするか。
バイトに行かなきゃ。