結
三週目。
三番手:独りっ子
ちょっと唐突すぎたかもしれないけど、そしたらエタリそうだったので(無理やり)完結させました。
本日二回目となる気絶を体験した彼を見つめた彼女は思わず、彼の身体を揺れ動かした。
せっかくつかめた愛しの彼の手がかり。失うわけにはいかないのだろう。
幸か不幸か、彼はすでに気絶に対する耐性がついてしまっているようだった。
涙交じりの彼女に揺らされた彼は、目覚めた。
「う……うぅん」
「晃大!?」
かすかに残っている希望を現実にするための確認としてか、彼女は彼の名を呼んだ。
彼は記憶の彼方にあるかもしれない自分の名前に反応したのか、もう一度小さなうめき声を上げた。
「こう――」
彼女はその言葉に、もしかして、という希望の念を持ったのか、彼の手を強く握った。
彼は握られた手に意識を集中させたのか、彼の手がピクリ、と動いた。
「う……あ、あれ。こ、ここは……どこだろう?」
彼は、起きたと思うと、急にそんなことをつぶやいた。そして周囲を見渡した。と、思うと彼女を見つけて驚いた。
「美音……なの?」
その言葉に、彼女は思わず涙を流しそうになってしまった。二度目の気絶を迎えた彼が、ついに記憶を取り戻したのだ。
不思議そうな顔をして告げる彼に、彼女は抱き着いた。
「晃大……晃大っ!!」
大声を上げて泣き叫ぶ彼女を、混乱しながらも慰める彼。彼は、今置かれている状況を理解しようと必死なのだが、それを顔に出さないように努力している。動揺しているのが彼女に知られてしまうと彼女がもっと混乱してしまうかもしれないからだ。
しかし、彼はわかっていることが一つだけある。
僕は愛する人に想いを伝えようと。
――ねえねえ、次で最後になるだろうけど、どこ行く?
**タワーで君に告白を。
――綺麗……だね。
――……はい。
**タワーを出た後僕たちは事故に。
――晃大君! 晃大君!
――晃大、晃大……やだよ……こんなの、嘘だ……
――……最後じゃ、ないからね。
僕は確かに死を迎えた。
――キミは、マタ彼女ニ会いたいかナ?
――サヨナラ。二度と会わないことヲ祈ってル。
僕は不思議な声を聞いた。
――奇跡的に、あなたは少し脳震盪を起こしただけですみました。今のところ、後遺症のようなものは見つかっていません。でもまだ安静に――
病院を飛び出した僕は再び彼女に出会った。
――どこの誰だか知らないけど、私の晃大を諞らないで!!
――誰でもいいでしょ!? 何で私の前に! その顔で! 晃大の顔で! どうして……! どうして……ッ
そして僕は今。
「ああ……そうだった……のか……」
僕はどこか納得したようにつぶやいた。
「晃大……?」
僕に抱き着いたまま、僕を見上げた彼女の不思議そうな顔を見た。
涙がにじんでいる目の端に、軽く指を当てて、悲しみをふき取る。
「ありがとう」
僕はそう告げた。
忘れていた空白の時間に別れを告げて、僕は充実するであろうこれからを見据る。
でもまあ、まずは彼女に謝らないと、ね。
「忘れていてごめんなさい」
コテン、と普段の強気な彼女からは想像もできないようなしぐさをしたのにドキリとした僕は、昂る気持ちを抑えて返答を待った。
「晃大のばーか! 許すわけないでしょ!」
「えっ?」
「許してほしい?」
「えっ? も、もちろん! なんでもするから!」
焦った僕に、彼女は言った。
「じゃ、じゃあ! わ、私と……け、結婚したら……許して……あげるわよ」
小さくなっていく彼女の声を何とか聴きとった僕は思わず笑ってしまった。
最大限に想いが伝わるように。
生涯最大の緊張感に圧迫されながら僕は告げた。
「僕と結婚してください」
僕の言葉に、彼女は素晴らしい笑顔でうなずいてくれた。
「……はいっ!」




