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夢狩り  作者: renzi
第一章「転寝」
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長い一日の始まり2

 



 ハァ………ハァ………


 荒い息遣いが聞こえる。

 おぼつかない足取りで、時折後ろを振り返りながら何かから逃げているようだ。


 必死に逃げる。目的はわからない。それでも逃げ続ける。

 ただ真っ暗な空間の中、まっすぐ伸びる道だけが存在した。

 一定間隔に配置された街灯の光は心細く、さらに不安を煽った。


 終わらない恐怖。何から逃げているのかもわからない。

 もう何分走っているのだろうか。数時間経っている気もする。


 ただ走る。走る。

 既に後ろを振り返る余裕も無い。


 もう振り切っただろうか。

 そう思い男は足を緩めたその瞬間、何かに足を掴まれ、引きずり倒された。

 必死に抵抗するも、足を掴むその何かは、まるで万力のように足を締め上げて離さない。


 そのまま徐々に引きずられて行く。

 黒い何かに近づくにつれ、恐怖心は猛烈に膨れ上がり………


「やめてくれ!!!」


 そこはベッドの上だった。

 寝間着は汗でびっしょりと濡れて肌に張り付き、不快感を増していた。


「またこの夢か………一体何度目だよ」


 そう言いながら寝室から台所へと向かい、冷蔵庫から缶ビールを取り出して一気に半分ほど煽る。

 時計の針は午前二時を回っていた。


 細くてどこまでも続いていそうな一本道、黒い何か、そしてそれから全力で逃げる自分。

 ここ一ヶ月、ほぼ毎日この夢をみている気がする。

 そして目覚めるのはいつも引きずられて行くところだ。


「朝早いのにやめてくれよなほんと」


 男は缶ビールの残りを煽って空き缶を流しに置き、風呂場へ向かった。




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