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夢狩り  作者: renzi
第二章「微睡」
28/30

侵入者


私事で投稿が遅くなりました。

申し訳ございません。

 



 葉巻の残り香を消すように蓮二は軒先で紫煙を吐いていた。


「蓮二さーん。ちょっと吸いすぎですよー」


 燈の声にも反応せずになにやらぼんやりと考え事をしているようだ。


 柴崎の依頼は単純で身辺警護とその組織を掴むこと。珍しいことでは無かったが、蓮二には何か引っかかるものがあったようだ。


 日はすっかり落ち、虫の声が響く深夜零時前。


 夢への干渉は対象の位置の把握と、その近くに自分の目印になるような物を置いておくことで可能となるので、二人は柴崎に特注の夢玉を渡しておいた。


 柴崎を襲う者たちも蓮二たちと同じ方法で柴崎の中に入ると思われるので、柴崎の寝床付近には必ず目印となる物があるはずであり、蓮二は柴崎に伝えてあるが、あったという報告がない。


「なぁ、燈」


 蓮二が唐突に話しかける。


「誰が探してると思う?」

「な、なにをですか?」


 燈は販売用の夢玉ではなく自分用の夢玉を整理しながら、蓮二の問いに問いを重ねる。


「マーカーだよ。柴崎さんの寝室付近だからやっぱり本人が探すのかなぁ」

「どうですかねぇ。秘書の方かもしれませんね、社長ですし」

「秘書ねぇ………」


 蓮二は大きく息を吐く。


「もっと前にボディーガードの連中がさ、探してるもんじゃない?なのになんで襲撃されるの?黒夢はしょうがないとしてさ」

「毎回探した後に置いてるとか………ですかね」


 蓮二の引っかかりはその部分のようだった。

 辺りにマーカーがないと丑三から個人の夢へ入り込むことはできない。個人の夢と丑三を結びつける役割がマーカーだった。

 そのマーカーが何故柴崎の寝室にあるのか、そしてそれが何故見つからないのか、蓮二は考えていた。


「考えてもしょうがないですよ。ほら、十二時になりますよー。柴崎さんは早寝って言ってたんで案外すぐ来るかもしれませんね」


 二人が渡したマーカーは、個人の夢に他人が入り込んだ時、二人を引き込むという優れものだった。

 そうすることで柴崎の護衛を蓮池に居てもすることができ、重宝していた。


「って、蓮二さん持って行くの一つですか?」

「問題でも?」


 蓮二は人差し指と中指の間に緑と紺の二つの夢玉を挟んでいた。緑の夢玉は柴崎に渡した夢玉の言わば鍵のような物でそれそのものに攻撃力があるわけではない。実質蓮二は一つの夢玉しか持っていかないようだ。


「相手がどんなのかもわからないのに、それは不用心すぎませんか?」


 燈は手の中で深紅、青、黄、朱の四色の夢玉を遊ばせていた。


「燈がそんだけ持ってれば大丈夫でしょ」


 蓮二は煙草の火を消すと空を見上げた。


 時計の針は十二時を回る。


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