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夢狩り  作者: renzi
第二章「微睡」
26/30

三つ巴6


三人編はそろそろ終幕です。

 



 蒼介が夢玉を使い始めてからは戦闘と呼べるようなものは無かった。

 赤黒い夢玉から生み出されたほのかに赤みを帯びる刀、「八咫烏」は次々と男たちの腕や足を切り裂き、その傷口は焼き焦げ、流血も許さない。


 瑞樹が作り出した空き地に赤松以外の男たちの肉が転がる中、蒼介は赤松の喉に八咫烏を突き立てながら口を開く。


「お前らの目的は?」

「答えられない」


 蒼介は躊躇なく左腕を切り落とした。


「目的は?」

「わ、わかった。言う、言うから勘弁してくれ」


 赤松は焼け焦げた傷口を抑えながら話し始める。


「俺たちは峯に言われて、ここで夢安を追い払うように言われてたんだ」

「峯?」

「俺たちのリーダーだ」


 どうやら赤松は下っ端らしい。


「どうして?」

「いや、それは………言う!言うからもう斬るな!この家の二階を夢安から隠すためなんだよ」

「ふーん。その玉は?」


 蒼介は首から下がる夢玉を刀で揺らした。


「これは上にいるやつの力が少し入ってるんだ。そのおかげで能力が増強されてる」

「上にいるのは人なのか。まぁ今はそんぐらいで許してやるよ。後は署で詳しく聞いてやる」


 そう言うと蒼介は一振りで赤松の首を刎ねた。

 夢の中での致死性のダメージは現実世界に戻っても体の自由を一定時間奪う。

 蒼介はまだ息のあるものに止めを刺し、瑞樹と仁華の方をみて、ため息を漏らした。


「はぁ、お前らやりすぎでしょ」


 住宅街だったはずの一帯は、まるで空襲にあったかのようなひどい有り様だった。二人の影は蒼介から一キロほど離れているが、時折見える炎やら雷やらはその距離感を狂わせていた。


 瑞樹は天狗の名が嫌いだった。

 その名で呼ばれるのは例え神德の中でも堪え難いようで一気に沸点に達し、見境なく暴走してしまう。故意に。


 昔、蒼介と蓮二で瑞樹を怒らせてしまったことがあった。その時は神德寺は跡形もなく破壊され、神德寺が位置する源氏山でさえ半分以上が抉られるほどの大惨事になった。


 その時はまだ蓮二と蒼介の方が瑞樹より強かったためその程度で済んだのだが、もう三人とも成長し、力の差はほぼなくなったといっていい。それゆえに一対一で止めることは難しくなっていた。


「仁華もすげーな。俺なら反撃なしであそこまで耐えられねーや」


 蒼介はのんきに煙草を吸って二人の戦いを見守ることにした。


 時折発生する爆発の大半は瑞樹の大太刀、「鬼丸国綱」によるもので、わずかに深い青に色づく刀身と、瑞樹の身長に迫る大きさは見るものを圧倒する。


 実際重いのだが、瑞樹は鬼丸国綱の正統後継者であり、一子相伝の技があるとかないとか。蓮二と蒼介で振り回しても瑞樹のように振れることは無かった。


「おーい、そろそろ黒玉割れるぞー」


 吸い殻が二つ三つ溜まると蒼介は二人に声を掛ける。

 といっても二人の攻防(仁華は防御だけだが)はその激しさを増し、蒼介からの距離が一キロではきかなくなっていた。


「まぁいっか。カウントー、さーん、にーい、いーち、ぜろ」


 世界の切り替わる音とともに瑞樹の発する爆音も聞こえなくなった。





刀などの名前は有名どこからお借りすることがありますが、その外見、伝承などは同じにしたりしなかったりとまちまちです。


今回登場した鬼丸国綱は由緒正しい刀ですが、そんなに大きな大太刀かと言われれば、そう言うことはありません。

また、八咫烏(やたがらす)にいたっては私が名前をつけたので、そのような刀があるのかどうかはわかりません。


あしからず。

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