三つ巴2
普通の名前にすると浮いてしまって困ります。
西城大吾
花菱
三人はその気になる情報を頼りにもう一度調べることにした。
それ以外にやりようがなかったからだ。
「確か由比ヶ浜の方って言ってたな。とりあえず行ってみますか」
蒼介たちは喫茶店を後にする。
小町通りを歩きながら瑞樹は試食に手を出していた。
「そんなに食べてたら太るよ」
「うっさいなー、太って困るような男いないし」
蒼介と瑞樹は呑気に歩いているが、仁華は細い目をさらに細くしていた。
「なんかあった?」
蒼介が尋ねる。
「いや、たいしたことではないんすけど………なんか怖いお兄さんたちが近づいてきているような」
蒼介と瑞樹も仁華が見ている方へ視線を向ける。
「あー、多分俺に用事があるんじゃないかな」
その二人組の男の片割れは蒼介の前に立つと口を開く。
「大吾さんから伝言を預かってる」
「なんで西城なんかが俺に用があるんだよ。普通逆だろ」
「詳しいことは聞いてない。確かに渡したからな」
そう言いながら赤の夢玉を押し付けて引き返して行った。
「なんだったんすか?」
仁華が興味深そうに蒼介の持つ夢玉をみる。
「まぁこれの中を見ろってことだよね。正直あいつらから渡された物なんてみたくもないんだけど」
西城大吾。
鎌倉を根城にしていると犯罪組織の一つ、「花菱」のトップだった。
素性は割れているのに捕まえることはできていない。夢の中の悪事は現行犯逮捕でのみでしか法律が適用されないためで、夢安を悩ませていた。
「ったく。今度みつけたら絶対しょっぴいてやる」
「中見てきてよ」
瑞樹が試食を食べながら言う。
「え?みんなで見るんじゃないの?」
「やだよ。花菱が何か細工してたら面倒だもん」
「俺もパスっす」
仕方なく蒼介は一人で中身を確認するために人気のない路地で黒玉を割った。
一瞬の酩酊感。
蒼介は夢玉を割り、中に入ってる情報を確認する。
特殊な夢玉には情報を閉じ込めておける物があった。
自分の体験したことや伝えたいことを中に入れて持ち運ぶことができる優れもので、警察である蒼介は重宝していた。
「タイミングがよすぎるなぁ………」
中を確認した蒼介はそうつぶやき黒夢から出た。




