三つ巴
蓮二と燈は少し休憩です。
時系列的には平行にもう一つの方の話を進めます。
瑞樹、蒼介、仁華は揃ってため息をついていた。
三人がいるのは鎌倉駅から少ししたところにある静かな喫茶店だった。
「もう一週間経ってるのに尻尾さえ掴めないって相当じゃない?」
「だから依頼したんだよ」
「それにしても気味が悪いっすよ」
蓮二を除いて三人は正体不明の集団を探していた。
日中は犯罪歴のある者(当然『中』で、ということだが)の身辺調査。
これはしてもしなくてもほぼ同じだろう。
本番は丑三が開いている深夜。
アジトにしていそうな場所をしらみつぶしに探していた。
「もう昼間はやるのやめない?」
「俺も賛成っす。疲れましたよ蒼介さん………」
瑞樹と仁華はぐったりとしていた。
「だいたい警察怠慢すぎるでしょ。なんであんなに喧嘩ふっかけられなきゃいけないのよ」
「それのせいで三割り増しぐらい嫌になったっす」
蒼介は煙草に火をつけながら二人を労う。
「いやいや二人とも本当に感謝してるよ。夢安も人手不足でチンピラ程度には対応できないんだよ。ごめんね」
身辺調査中に度々黒玉を割られる。
蒼介の顔が知られているからだった。
しかし、どんなに人数がいようと喧嘩を売ってしまった相手を同情しなければならない状況になっていた。
神德の二位から四位。
チンピラ風情が一矢報いることさえ不可能なほどの実力差があった。
「喧嘩の度に頭の中覗いてたらきりないっすよ。ほんと」
蒼介は毎回無力化した後、手がかりがないかと頭の中、つまり記憶を漁っていた。
「というかそれ犯罪じゃない?」
「しっかり記憶消してるからセーフだよ」
夢安の主任がいっていいセリフではなかった。
「さっきのやつの中に面白いのあったよ」
「新しいシンジケートとかはよしてね」
「そうじゃないと思うけど、なんか最近急速に力を付けているグループがいるらしい」
蒼介によればそのグループの構成員は不明、しかしチンピラ集団を次々と傘下に収めているらしい。
なんでもトップの二人が強く、規模を大きくしているようで………
「まぁ、チンピラにしてみれば強いってぐらいでしょ」
「やっぱそう思うよねぇ………」
再び喫茶店にため息が広がる。
どんよりとした空気を切ったのは仁華だった。
「あ、そう言えば蓮二さんとこはどうなったすかね。ほら、柴崎ホールディングスの」
「そろそろ着く頃じゃないかな」
「蓮二が護衛なんてやるの?」
瑞樹が頬杖をつきながら紅茶を飲む。
「大丈夫だよ。柴崎さんって、ほら、お金持ちだから」
瑞樹と仁華はそれだけで納得した。




