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夢狩り  作者: renzi
第二章「微睡」
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天狗の面3


毎度毎度寺から出れない。



安曇(あずみ)

 



「避けろ阿呆」


 燈はいきなり蓮二に蹴られ五メートルほどさきの垣根に突っ込む。


 燈はわけがわからなかった。

 桜庭が黒玉を割り、黒夢に引き摺り込まれ、そして入って一秒もせずに蹴られる。


「ぼ、僕の面を作ってもらうんじゃなかったんで………へ?」


 燈が立ち上がりながら二人がいた場所を見たが、そこには誰もいなかった。


 見えるのは微かにぶれる風景と、舞い上がる砂埃。

 そして時折聞こえる拳が体を捉える音はそこに何者かがいることはわかる。


 しかし、燈にはそれが限界だった。


 燈は自分がついさっきまでいた場所に大きな爪痕のような跡を見つける。


「れ、蓮二さん………?」


 二人がいるであろう方向に動き出そうと一歩踏み出そうと足を上げた瞬間に再び蹴られた。


「そこから動くな。死ぬぞ」


 蓮二の声は反響してどこにいるのかわからない。


 燈はしばらく注意して見ていると影をだんだん捉えられるようになってきた。


 一際大きな音が聞こえる。

 蓮二が建徳寺の壁に叩きつけられた音だった。


「クソッ」


 バラバラと音をたてながら壁が崩れる。

 蓮二は両腕を交差して蹴りを受け止めたようだがそれでもダメージがみえる。


「ふぅ。烏は体術だけじゃあ僕に勝てないよ。今はね。それに余所見ができるなんて随分余裕なんだね」


 燈は神德寺こそ最強の寺だと思っていた。

 その中の一位である蓮二の上にまだいると思うと気が遠くなった。


「まだまだこれからですよ」


 蓮二は紺色の夢玉を取り出し右手に押し付ける。

 掌から広がる紺色の複雑な模様。

 肩口までを紺の強い光が包むと刺青を刻み光が収まる。


「紺なんて使ってたっけ?」

「いえ、以前はあまり」

「何か訳ありだね?」

「自分から種明かしをする手品師はいませんよ」


 蓮二は軽く右手を握る。

 するとそこには初めからあったかのように漆黒の鞘に入った小太刀が現れる。


「それは………」


 桜庭の対応は迅速だった。

 茶色の夢玉を潰すと完全に刺青が入る前に両手を地面につける。


 同時に蓮二は十メートルほど離れているにもかかわらず小口を切り、刃を走らせた。


 鞘から抜けた刀身は桜庭に届くはずがなかった。

 しかし、桜庭の作った分厚い土の壁は横にずれ落ちる。


「どこでそんなものみつけたのかな?」

「内緒です」


 蓮二の小太刀は伸びたのだった。

 燈にはそう見えていた。


「銘は?」

「『無銘の小太刀』といいます」

「ほーう。なかなかの代物のようだね」


 蓮二は小太刀を構え直す。


 しかし、それを抜くことはなかった。


「もう五分経ってますよー。今日は終わりにしてくださいー」


 二人の間に入ったのは桜庭の弟子の安曇だった。







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