神德寺の位5
神德寺から出られない!
次の話から章が変わりお話が進みます
朝霞翔太
三大天狗
「そろそろいいか?」
神狩の声で仁華をからかう声もやっと収まる。
「真、納得したか?」
「はい師匠。桐生さんの強さは私をも凌ぐほどでした」
「おいおい何言ってんだ優等生。それは謙遜じゃなくて皮肉だぞ」
蒼介が笑う。
「光も納得したか?」
「………はい」
光はと言うとやや引っかかるものがあるといった表情で神狩の問いに答える。
「それでは正式に桐生燈を神德寺十位として迎え入れることにする。宝具は後ほど預けよう」
「あ、ありがとうございます!」
燈の元気な声が半壊した本堂に響いた。
「じゃあ次は俺から話があるんだけど………ちょっと壊れすぎてて話せるような感じじゃないね」
「す、すいません………」
破壊した張本人が気まずそうに謝る。
「でも中で話したいんだよねー」
「じゃ僕にお任せっす」
仁華が懐から水色の夢玉を取り出すと、
蓮二、蒼介、瑞樹が仁華の動きを封じた。
「動くなよー仁華ぁー」
「俺はそんなの頼んでないよ?」
「少しでも動いたら殺るからな」
三人の動きを追えた者がこの空間に何人いただろうか。
神德寺の者でさえ追えない速さ、ほぼ瞬間移動だった。
「お前の直すは凍らすの間違いだろうが。ただの氷なのに壊すのに何日かかったか、覚えてないなら思い出させてやろうか?」
「おーい瑞樹ー、口調が戻ってるぞー」
瑞樹の整った顔は見る影もなく、仁華を睨み殺しそうなほどだった。
「そ、そんな眼で見つめないでくださいよ瑞樹さん。あは、あははは………」
仁華は夢玉をしまった。
「それにあれはもう時効っすよ。三大天狗の皆さんがそこまでトラウマに思ってたなんて意外っす」
そう言い残して自分の座布団へ向かう。
「翔太。頼める?」
蒼介が頼んだのは七位、朝霞翔太だった。
翔太は無言で頷くと茶色の夢玉を握り潰し、床に手をついた。
翔太を中心にして放射状に変化が起きる。
焼け落ちた柱や床は真新しい木によって補強され、半壊していた本堂は三十秒ほどで元通りになっていた。
「ありがとう翔太。じゃみんな座ってくれ」
そういって新しく燈が加わった十三人で囲み直す。
「そんじゃ俺、いや警視庁夢安全課主任神田蒼介として神德寺に正式な話をもってきたから聞いて欲しい」
蒼介は静かに話し始めた。
蒼介の依頼は単純明快で、警察では対処しきれなくなった犯罪者集団の摘発に神德寺の力を借りたいというものだった。
「夢安がそんなに切羽詰まってたとは知らなかったな」
「僕がでて来た時はみんな強かったので、それだけその組織が強いということですかねー」
蓮二と燈が蒼介の話終わった後にこぼす。
「………?ちょい待てや。桐生は元夢安なんか?」
「燈でいいですよー。みなさんも燈と呼んでください。弥生さんの言う通り僕の昔の所属は夢安でしたよ」
銀治郎をはじめとして一同驚いた顔をしていた。
「でも蓮二さんについて行きたくてついこの前辞めちゃいました」
「俺は引き止めたんだけどね」
「ごめんなさい神田主任………」
燈はしゅんとしてしまった。
「蓮二について行きたくて辞める………?」
真が首を捻る。
「あーもうこの話止め。めんどくっせーから。ほら話進めろよ蒼介」
蓮二は苦い顔で紫煙を吐き切る。
「そうだね。具体的には蓮二と瑞樹、そして仁華を借りたいんだ。師匠」
蒼介は神狩に言う。
「良いだろう。最近は丑三も安定しておるから問題ない」
神狩も二つ返事で承認する。
「じゃ後で詳しく話すね。他のみんなは少し注意深く丑三を見張って欲しい。夢喰いじゃなくて人間の方を。何かあったら連絡してくれ」
話し終わると蒼介は光を見る。
「用は終わったからもう外に出よう。光」
光は自分の目の前に転がる夢玉に小さな稲妻を当てた。
黒玉にヒビが入り、砕け散る。
微かな意識の覚醒。
そこはもう壊れた跡のない神德寺だった。
大天狗は蓮二、蒼介、瑞樹の通称です。
ここら辺の話も次以降にちらちら紹介して行きますが
微妙です………話が進まないんで小さい設定とかは一つに纏めて紹介したりしてしまうかもしれません。
次の話のために少し書くとすれば
神德寺の十三人は丑三に入る時、それぞれ異なった天狗の面をしています。
それと蒼介は神德寺から正式に警視庁に派遣されている立場です。




