第1話
「あーついなぁ、また、乾燥機壊れちゃったのかな」
あ、おはようございます、七海です。最近また乾燥機の調子が悪いんです。何度もパシオしてるんですけど、波長が合わないからってたらいまわし。おかげで、毎日90%湿度で暮らしてます。
今日は久々のお仕事で、これから出かけるので乾燥服は温存。いくつも持ってる人がうらやましい。
勝手に自分のことばかりしゃべりそうなので、ちょっと状況説明しておきますね。今は2077年。昔言われてたように温暖化が進行して、皆さんの時代から2度ぐらい上昇しました。
大変なことになったのは、その対策のために人間がやったことなんですよ。石油の使用量を減らすためにバイオエタノールを得るために地表を全部畑に変えてしまったのです。
さらに二酸化炭素を吸着させるために、道路からビルの壁面から何から何まで、苔やら蔦やらで緑化が義務図けられて、外気の湿度が異常に高まってしまったのです。
それでも、石油は尽きてしまったし、実際に気温は上昇してるので、生き残りと称して緑化をやめることは出来ません。
湿度の高い状態では、カビや細菌の繁殖が旺盛となるため、家の中は常時乾燥機が廻っています。そして、外出時には乾燥服という昔のバイクのスーツのようなつなぎ服を着て生活をしています。
これも電気で乾燥させるので、高価な電気を大切に使わないといけないのです。
おっと、陸からパシオです。
「こら七海、早くこいよ、また遅刻かよ」
「えー、あと30分もあるじゃん。これから出ま〜す。」
という事で、仕事に行ってきます。
そうそう、パシオっていうのは、簡易テレパシー電話のことで、頭の中でしゃべれば、相手に伝わる便利モノです。手のひらサイズの装置を体のどこかに接してれば使えます。
私はこれでもフォトジャーナリストなんです。雑誌社の睦と組んで、この地球で起こっている謎を解くために、あちこち取材を続けてます。
続く
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