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異☆世界転生~愛すべきバカ共の戯れ!!~  作者: 高辺 ヒロ
第二部 異世界で暮らしま章      【魔王SUMMAR:夏】  
98/224

第玖拾伍閑 暑くなくてもイカれてる(全員)

 それからはとりあえずキュウリをかじりながら、黙ってせっせと収穫作業をした。

 そして作業が一段落ついたところで、エメラダが『……アスタロウおすわり』と言うので、つまり休憩しようと言うので、芝生の上にに二人で腰を下ろした。


「ふぅ~あっついな~」

 キュウリを食べたからといって、涼しくなるほど体温が下がるわけもなく、相変わらず暑い。


「アスタロウ……キュウリ、ほんのり冷たい?」

 エメラダはそれが気に入ったのか、グリグリと俺の頬にキュウリを押し付けてくる。


「あ、あのですねエメラダさん、それはもう忘れて――」

「キュウリ、冷たい?」

「ハイ! アスタロウ! キュウリ冷たいです!」

 ああ、何であんな勘違いをしてしまったのか……。


「ですがまおーさまのキュウリはあっつあつですの」

 ホント、穴があったら入りたい。


「まあまおーさま穴に入れたいだなんて、白昼堂々大胆ですのね」

「うるさいと思ったらお前かネネネ!」

 誰がキュウリだ! それに誰が入れたいと言った!


「あら、(いじ)りたいでしたの?」

 それも違う!

 まったくもうまったくもう。


「ネネネ、お前は本当に神出鬼没だな」

「きぼつ……ポッ」

 どうしてそこで赤くなる!? 鬼没に何を見出した!?


「きぼつしたキュウリを穴に入れたいだなんて……まおーさま、もうまおーさまの好きになさってぇ」

「い! み! が! わ! か! ら! な! い!」

 俺そんなこと言ってないよね!? 一言も言ってないよね!?


「あぁんまおーさまの(ぼう)があんなにたくさん。さあまおーさま、そのボーボーに生えた棒でネネネの――」

「おいネネネ、大丈夫か?」

 暑さで頭がどうにかなったとしか思えない。

 冷やすためにキュウリを顔に押し当ててやろうかと思ったけど、余計に調子に乗らせるだけのような気がするから、ような気しかしないから、止めておこう。

 と言うかそんなことを考えてしまった時点で、もう遅いのか……。


 案の定ネネネは

「キュウリを顔に押し付けるだなんてぇ~」

 とか何とか言っている。


「お前本当に大丈夫かよ……」

「ええまおーさま、大丈夫ですの。通常運転ですのよ」

 まあ考えてみれば、それもそうか。


「で、ネネネ、何か用か?」

 ルージュとクゥはどうしたと聞こうと思ったけど、遠くでドンドンドカドカ聞こえるから、きっと二人で暴れてるんだろう……地形が変わらないといいけど。


「ええ、愛ちゃんから伝言ですの」

 ラヴから?


「何だって?」

「それは……それは……それは、確か……ええと、うんと……その……」

 う~ん、とうなるネネネ。

 まさか伝言の内容を忘れたわけじゃ――

「忘れましたの」

 そのまさかだった。


「ならお前は一体何をしに来たんだ」

「おほほのほ。まあ別にいいですの、ネネネはこうやってまおーさまとお喋り出来ればそれで」

 まあそう言ってくれるのは凄く嬉しいんだけどね、ラヴにとっては全然よくないからね!?

 と言うか後で怒られるの多分俺だからね!?


「さあまおーさま、ネネネとキュウリのお話でもしましょう?」

「いやそれはエメラダとしたらどうかな」

「まったく……」

 と突然上の方からラヴの声がする。

 声のする方を見上げてみると、ラヴが、開かれた窓から顔を出していた。


「こんなことだろうと思ったわよ」

 そう思ったのなら、なぜネネネに伝言なんて頼んだんだ。


「あらあら愛ちゃん、伝言忘れてしまいましたの」

 何でした? とネネネ。


「はぁ……ネリッサ、私三回も言ったわよね?」

「まさか、ネネネは女性とヤル趣味はありませんの」

「なっ……そういうことを言ってるんじゃなくって!」

 ラヴは顔を赤くして、窓の縁を叩く。


「あーあーもう、やめろやめろ。ラヴ、ネネネには本気になるだけ無駄だ」

「そうですのよ愛ちゃん。ね、まおーさま」

 ね、じゃない、お前が言うな、自分で言うな。


「い、言われなくても分かってるわよ」

「で、用件は何だ?」

「アンタ、い――」

「まおーさままおーさま」

 ネネネがラヴの言葉を遮る。


「何だネネネ、悪いけど俺は今ラヴと喋ってるんだ。キュウリでも食べて少し待っててくれ」

 ネネネは、ハイですの、と返事をしたかと思うと、俺の下半身に手を伸ばした。


「何してんだ!」

「だってまおーさまがキュウリでも食べて待ってろと」

「それはキュウリじゃない、俺のはそんなに青くない!」

「まあまおーさま、キュウリにそんなに青筋立てて、どうしたんですの!?」

 はあ……。


「俺が悪かった、俺の言い方が悪かった」

 反省反省大反省、大反省の猛反省、猛反省の超反省。

 言い直そう。


「ネネネ、少し黙って、おとなしくしておいてくれ」

「ハーイですの」

 彼女はそう言って、俺の腕に抱きついた。

 一件落着、次はラヴか。


「で、何だったっけラヴ」

 再び、窓から顔を出すラヴを見上げる。


「アンタ、今暇?」

「暇に見えるのか?」

「見えるわね」

 なん……だと!?

 まあ確かに今は休憩中だし、ネネネともお喋りしてたぐらいだから、端から見たら暇だろうけど。


「暇だったら何なんだ?」

「暇なら川に魚でも釣りに行って欲しいなって」

「魚?」

「そう、魚。今日の晩御飯に使いたいんだけど」

 ふむふむ。


「い、嫌なら別にいいのよ!?」

「なら嫌だ」

 と言った瞬間。


「――――っ!?」

 天から俺の体、股すれすれの足元に、剣が降って来た。

 どうやら今日の天気予報は、晴れところにより剣なようだ。

 にしても剣の降る範囲が、局地的と言うか局所的ではないだろうか。

 これがラヴの雨とムチの、雨なわけだ。

 てか剣は振るものであって、降るものじゃないと思うんだけど……。


「じょ、冗談だよラヴ、嫌じゃないよ」

 ご飯を作って貰うんだから、それくらいはする。したい。


「そ、ならお願いね」

 ラヴはそう言うと、剣を投げてと俺に言う。

 俺は地面に突き刺さっていた剣を引き抜き、ラヴに向かって投げ付けた。

 手を切ってしまうんではないだろうかとヒヤヒヤしたけど、ラヴは平気な顔して片手でパシッと剣の柄を掴み、そして何食わぬ顔で城の中へと入って行く。

 こういうところは、さすが勇者だ。

 いや、俺のパスが良かっただけかもしれない。

 多分そうだ。そうに違いない。なら言うべき言葉はこっち。


「さすがまおーさまですの」

 そのとおり。さすがはネネネ、よく分かってる。


「はーっはっはっはっは」

 これが成長した俺の実力だ!


「おーっほっほっほっほ」

 さってっとっ。


「と言うことなんだけど……」

「ネネネも一緒にイきますの」

「エメラダはどうする?」

 地面に座っているエメラダに視線を落とす。


「……行かない。もう少しだけ収穫する」

「そっか。最後まで手伝えなくてごめんな」

 無言で首を振るエメラダ。


「別にいい、もうほとんど終わった」

 そして彼女は、ありがとう、と言う。

「ん、どういたしまして」


「さぁまおーさま、早くイきましょうですの」

「はいはい、でもまずは準備をしないと。倉庫に道具を取りに行こう」

 てなわけで釣竿や入れ物などなど、釣りに必要な道具を取りに倉庫を目指す。

 そしてその途中で、ルージュとクゥにも、魚釣りに行くけど一緒に行くか? と声をかけ。

 最終的には、俺、ネネネ、ルージュ、クゥの四人で行くことになった。

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