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異☆世界転生~愛すべきバカ共の戯れ!!~  作者: 高辺 ヒロ
第一部 異世界で遊びま章
58/224

第伍拾伍閑 第四回魔王城食事の間自己紹介 後

 さてさて、紹介が遅れました、ここら辺で司会者である俺の紹介をさせていただきましょう!

 待ってましたー! どんぱふ~どんどんぱふ~。

 え? 誰も待ってないって?

 まぁまぁそんなこと言わないで、待っててくださいよ、未来ででも。

 すぐ行きますから、走っていきますから。


「俺はアスタ、魔王だ」

「アスタなのだ!」

 そうだよ~アスタだよ~。

 なんだろうこの子、本当に犬のように愛くるしい。

 ネネネの愛は苦しいけど、クゥのこの雰囲気は癒されるなぁ。


「アスタはボクのご主人様なのだ」

「あ、ちょっクゥ、ここでそれを言っちゃ――」

「ど・う・い・う・こ・と・で・す・の・?」

 ニッコリとネネネ。

 遅かった……。


「ボクはアスタの奴隷になったのだ!」

 あちゃ~……。


「まおーさま、どういうことか説明してくださいます?」

「ご、誤解だよ!? 奴隷として売られてたクゥを買ってきたのは確かだけど、だからって奴隷として扱おうってわけじゃ――」

「もう五回もなさったんですの……?」

「ネネネ、それわざと言ってるだろ?」

「技でイッてる!? どんなプレイをなさったんですの!?」

 君の耳こそ、どんな技をかけられればそんな風になるんだ。


「クゥが遊んでくれるなら俺の奴隷になるって言ったんだよ。で、奴隷にするつもりはなかったけど、遊んではあげるってことでOKして、今に至るわけだ」

「そうやってネネネでも弄ぶんですのね」

 話にならない……。


「離さないで欲しいですの」

「もう話さないで!」

 まったくもう、まだ俺の自己紹介の途中だっていうのに……。



「俺の好きな食べ物は……」

「は?」

 首を傾げるクゥ。


「は……?」

 それに釣られて、俺も一緒に首を傾げる。

 好きな食べ物か、なんだろう、よくよく考えてみるとこれと言って思い浮かばないな。

 嫌いな食べ物が特にない代わりに、好きな食べ物も特にない。

 強いて言えば……。

「ラヴの作った料理?」

 かな、おいしいし。

「な、何言ってんのよバカ魔王。褒めても何もでないわよ!?」

「そうだね、褒めても胸は出なひぃっ! ご、ごめんな謝意!」

 な、なんて殺気だ、いやもうこれは殺気と言うより冷気だ、寒気を感じるよ……。

 ガクガクブルブルだ。


「アスタロウ……私のは?」

「あ、ああ、もちろんエメラダの料理も好きだよ」

「そう」

 そう、おいしいからね。


「まおーさま、ネネネは?」

 『ネネネは?』ってなんだよ、言うとしたら『ネネネのは?』だろ。

 『の』が抜けてるよ、『の』が。

 それとももしかして、ネネネのことが好きかどうかの質問なのか?

 大体……。

「ネネネは料理作らないだろ?」

「ええ、でもネネネは子供をつくりますの」

「はいはいそうですか……」

 その上誤解まで生みやがって、本当に迷惑極まりない。

 さぁ、司会者の紹介はここら辺で終わりにしまして。

 ……というか、ほとんど関係ない奴が喋ってたような気がしないでもないけど。

 まあいいや。



 満を持して登場、ラストバッターはこの仔。

 真っ黒黒の短髪に、ひょっこり生えた三角お耳、フサフサ尻尾の褐色肌。

 服が透ければ見えるけど胸については不透明、あることだけは確かです。

 ケモ耳少女のクゥだ。


「ボクはクゥニャ・サー・ベラス! ケルベロスなのだ」

「ケルベロスじゃない……犬」

「犬じゃない、ケルベロスなのだ」

 椅子から立ち上がり、エメラダに反論するクゥ。

 でもエメラダに

「お座り」

 と、言われると、素直に席に着いた。

 完璧だ……。


「好きな食べ物は、遊ぶことなのだ!」

 先生、遊ぶことって食べ物ですか? 遊ぶことはおやつに入りますか!?

 そんなことをどこぞの小坊主……名前は何だったかな、確か一体さんだったか二体さんだったか、アイツならこう言うに違いない。

 『ならまずその遊ぶことっていうモノを持ってきてくださいよ』って。

 それから、見定めてあげるたらどうたらこうたらと。

 それでどうしようもなく困り果てた将軍様ならぬ、魔王様の顔を見て喜ぶに違いない。


「ワンちゃん、そんなに遊ぶことが好きですの?」

「大好きなのだ」

 ワンちゃんについては、反論しないんだね。


「でしたら……」

 ネネネがすっごい悪い目をしてる、目が悪いわけじゃない、何かよからぬことを考えているって感じの目だ。


「あそこにいる、ロリババアが遊んでくれるそうですのよ」

 ネネネが指さしたのは、もちろんルージュ。


「本当なのか?」

「ええ、本当ですの」

 それを聞いてクゥの顔はみるみる明るくなっていく。

 それに対しルージュの顔はみるみる暗くなっていく。


「やったのだ!」

 席から立ち上がり、ボールに飛びつく犬のように、ルージュの方へ走って行くクゥ。


「や、やめい、来るでない!」

 ルージュも慌てて椅子から飛び降りると、クゥから逃げるように距離をとる。


「遊ぶのだ~!」

「嫌じゃ~遊ばんわ~い」

 二人してテーブルの周りをグルグルグルグルと、追いかけっこ。

 いつものネネネとルージュみたいだ。

 まぁ嫌がってるのは、ルージュの方だけど。


「覚えておれよこの年増が!」

 ルージュは涙目で、ネネネに悪態をつく。


「おーほっほっほっほ、いい気味ですの」

「あはははは! 待て待てなのだ~」

「うわ~ん、あすたぁ~」

 ルージュは助けを求めるように、俺によじ登り肩の上に立つ。


「こら二人とも、食べ物の周りで暴れっ――」

「ボクも登るのだ!」

「っ!?」

 気付いたときにはもう遅かった。

 クゥは床を蹴り、四足獣並みの脚力と跳躍力で、両手を伸ばし俺に飛びつきにかかる。

 頭の中で、この状況を切り抜けられるか式を立ててみた。

 椅子に座っている+頭の上にはルージュがいる≠勢いを殺せる。

 クゥの大きさがルージュ程度なら、まだ何とかなったかもしれない。

 でも彼女はそんなに小さくない、式を使ったから学校で言うと、高校生くらいはある。

 そうつまりこの式の解は揺らぐことなく、勢いは殺せない、だ。


「うぎゃっ………………いてぇぇぇぇ!」

 クゥの勢いにルージュと自分の体重も合わさり、床に打ち付けた頭にはとてつもない衝撃が走る。

 死んじゃいそうなんですけど! 一瞬気を失ってた気がするんですけど!! ドラゴンよりもよっぽどこいつらの方が、脅威なんですけど!!!


「楽しいのだ~」

「楽しくなんかないわい!」

「お~ほっほっほっほっほ」

 食べるときですら、静かに出来ない魔王城の愉快な仲間たちだった。

 愛すべきバカもここまでくると愛しきれないな……。

 愛は軽いけど、バカが重過ぎるんだよ!! 

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