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異☆世界転生~愛すべきバカ共の戯れ!!~  作者: 高辺 ヒロ
第一部 異世界で遊びま章
57/224

第伍拾肆閑 第四回魔王城食事の間自己紹介 前

「自己紹介をしよう」

「またやるの? それ好きねアンタ」

 そう、またやるんです、好きなんです。


「と言っても、毎回名前と種族だけだから、今回は他のものも入れようと思うんだけど……」

 何がいいかな……年齢は女性ばかりだから、聞かない方がいいのかな。

 じゃあスリーサイズ、ひぃっ!! ラ、ラヴの殺気が……。

 よし、じゃあ当たり障りのない……。


「好きな食べ物にしよう」

 と、いうことで始まりますよ『第四回魔王城食事の間自己紹介』

 司会は俺がやらせていただきましょう。

 トップバッターはもちろんこの人。


 金髪碧眼、胸は岸壁、彼女にかかれば胸も、無ね! ポニーテールのラヴだ。

「私は、ラヴ・リ・ブレイブリア。勇者よ」

 さらっと応えるラヴ、彼女もこなれてきたもんだ。


「ラブっ」

 と、確認をするように、ラヴを指さし名前を呼ぶクゥ。


「違うラヴよ、ブじゃなくてヴ」

 ラヴは下唇を噛み、大げさに“ブ”と“ヴ”の違いを説明する。

 なんかいたな、こういう英語の先生。

 唇を噛めだとか、下を上顎につけろだとか何とか……。


「ラブなのだ!」

 しかしラヴの指導は意味がなかった。


「……まぁいいわ。好きな食べ物は、そうね……食べれるものなら何でも好き」

「食べられない物まで食べてたくせに」

 九十度茸とか、九十度茸とか、九十度茸とか。

「何か言った!?」

「いいえ、何でもございません」



 二番バッターはこの人、人と言うかこの悪魔。

 桜色のウェーブがかかったセミロング、涙ボクロは落とし穴、年がら年中発情期、ネネネだ。


「私はネイドリーム・ネル・ネリッサ、妖精ですの」

 またすぐにバレるような嘘を……。


「何の妖精なのだ?」

「まおーさまに、エッチなサービスをする妖精ですの」

 それを聞いて、首を傾げるクゥ。

 ほらやっぱりバレた――


「よく分からないけど、分かったのだ。妖精さんなのだ!」

 騙せた!?


「そうでの、妖精ですの。おほほほ。好きな食べ物は、まおーさまのまおーさま。ちなみに趣味はまおーさまのまおーさまを、まおーさますること。将来の夢はまおーさまのまおーさまに、まおーさますることですのよ」

 おいおいおいおい、どうなちゃってんだよ!

 ツッコミどころ多すぎだろ!?

 どこからツッコめばいいか分からないよ!?


「やっぱり何だかよく分からないけど、凄いのだ!」

 何が!? 一体何が凄いの!?


「おほほのほ。もう一つちなみに言うと、ネネネはまおーさまの妻ですので、まおーさまには手出しなさらぬよう」

「奥さんなのだ?」

「そうですの」

「凄いのだ!」

 だから何が!?


「おほほほほ、あなたとは気が合いそうですの」

「うん、毛がありそうなのだ!」

 毛がありそうじゃないよ、気が合いそうだよ……。

 それに、ありそう、じゃなくて、毛はあるんだよ。


「あらあらまおーさま」

「何だよ」

「ネネネ、下の毛はありませんのよ?」

「やめろっ!!」

 まったくもう、まったくもう。

 さあ次だ次。



 三番バッターはこの人、人というよりこの幼女。

 幼女だって人だけど、この幼女はひと味違う。

 深紅のロングヘアーにまっ赤な瞳。

 乳はちちちち、ちっちちちー、ルージュだ。


「ワシはやらんぞ」

 ルージュは目を瞑り、プイッとそっぽを向いてしまう。

 やれやれ仕方ない、ならばこうだ……。


「ルージュちゃ~ん、自己紹介してくださ~い」

 まるで保育園児をあやすかのように、甘ったるい延びきった声で優しく。

 どうだ!?

 一パーセントの勇気と、九十九パーセントのノリで生きている彼女なら、乗ってこられずにはいられまい!

 案の定彼女は、うっすらと片目を開く。

 でもおちない、もう一押しだ。


「あれれぇ~おかしいなぁ~」

 薬で体が小さくなちゃった、名探偵のように白々しく……。


「ルージュちゃ~ん、自己紹介してくださ~い」

「……」

「……」

「は~い!」

 片手を挙げ、笑顔で元気よく返事をし、椅子に立ち上がるルージュ。

 さすが……ノリノリだ。


「お名前は?」

「ブラッドレッド・ボルドー・ルージュじゃ」

「種族は?」

「ロリ吸血鬼じゃ」

 ロリは必要だったのか? そこにどんなこだわりが?


「好きな食べ物は?」

「もちろん血じゃな」

 腕を組み、胸を反らすルージュ。

 先生、血は食べ物ですか? 血はおやつに入りますか!?


「ちなみにスリーサイズは?」

「上から、B-5、W-7、H-9、じゃ」

 へこんでやがる! ボンキュッボンならぬキュッキュッキュだよ。

 いや、ベコンッベコンッベコンッか?

 むしろ違う場所が出ちゃってるよ!?


「好きなものは?」

「アスタじゃ」

「じゃあ嫌いなものは?」

「年増とケルベロスじゃ」

 グループに嫌いな子が二人も……これが女子の恐ろしさだ。


「どうしてボクが嫌いなのだ?」

「きっと嫌いなのではなくて、怖いだけですのよ。おほほほほ」

「そうなのか?」

「そうですのよワンちゃん」

 いつの間にか、すっかり意気投合した様子の、ネネネとクゥ。


「な、ばっバカなことを言うでない! 怖くなどないわい! あまり調子に乗っておったら、おぬしらの血を全部吸い出してしまうでのう!」

 二人を指さし、脅すようにそう宣言するルージュ。


「何なのだ? 楽しそうなのだ!」

 しかし、そんな脅しは逆効果だったらしい……。


「ひいっ……!?」

 ルージュは信じられんと言った様子で、踏み台にしていた椅子にへたり込んだ。

 まあ、この子達は追々どうにかしよう。

 というか、ほっといてもそのうちどうにかなるだろう。



 ではでは四番バッターはこの子。

 短かめの銀髪は寝癖のような癖毛、緑の瞳のマイペース。

 声は平坦だけど、胸は凹凸大、でも物静かな雰囲気と同じで、隠れてる。

 そんな彼女、エメラダだ。


「私はエスメラルダ・エバー・グリーン。……エルフ」

「エルフなのか?」

「……そう言ったはず、これも躾けないとダメ?」

 いや……それはどうだろう、聞き返したのはただの確認だったんじゃないのかな?


「ちゃんと三回言えたら、これあげる」

 エメラダは、自分の肉をフォークで突き刺しクゥの前に持っていく。

 もちろん『待て』も忘れずに言う。


「エルフ」

「エルフなのだ」

「エルフ」

「エルフなのだ」

「エルフ」

「エルフなのだ」

 三回言い終わると、エメラダは『よし』とクゥに合図を送り、クゥは肉にかぶりつく。

 そしていい子いい子。

 実に熟練した調教師だ……。


「好きな食べ物は、嫌いな食べ物以外」

 何だよその遠まわしな言い方……。


「嫌いな食べ物は何なのだ?」

「ない」

 つまり、何でも好きということですね。

 まあ自然と共に生きるエルフだ、命を粗末にするようなことはないんだろう。

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