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異☆世界転生~愛すべきバカ共の戯れ!!~  作者: 高辺 ヒロ
第一部 異世界で遊びま章
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第肆拾伍閑 0141029

 さぁ、にくにく……念願の肉だ……。

 このドラゴンの肉、これはまさしく二次元に興味のある人間なら誰もが一度は夢を見たであろう、あの漫画肉そのものだ。

 こんがりと焼かれた、でっぷりとした肉の塊。

 真ん中に通った、持ち手に出来るほどの骨。

 これに豪快にかぶりつきたいと、どれだけ夢に見たことか。


 もといた世界でもこの夢を叶えるべく、漫画肉に似せた商品がいくつか発売されたりしたが、そのどれもがいまいちだった。

 それもそのはずだ、これはドラゴンの肉だから出来たに違いない、ドラゴンが生息しない地球ではいつまでたっても再現は出来ないだろう。


「ジュル……」

 無意識のうちに唾液が口の中に溢れ出す。


「イ、イタダキマス」

 ゴクリと唾を飲み込み、慎重に肉にかぶりつく。






「うっめぇぇぇぇ~っ!!」

 何だこれは……!

 香ばしくてサックサクの皮に、プリップリでモチモチの身、そして噛んだ瞬間に噴出すように溢れてくる肉汁。

 何といってもこの甘みと鼻に抜ける香り、肉汁もこってりしてるのにしつこくなく、これは一体何なんだ。

 ……ああもう言葉じゃ表しきれない。

 とにかくおいしい!!

 これが夢にまで見た漫画肉、まさか死ぬまでに食べられるとわ……いや死んだんだっけ?


「本当このお肉のお汁おいしいですの~」

 ネネネは肉汁をジュルジュル音を立てながら啜る。

 そのせいで口の周りは油でテカテカ。


「ん? 何だ?」

 ネネネはまるで口を拭いてくれと言わんばかりに、俺の方へ顔を突き出してくる。

 こいつ……さっき俺がルージュの口を拭いてあげたのを見てたから、わざと口の周りをベタベタにしやがったな。

 仕方ない……。

 俺はテーブルの上の布を取り、ネネネの口を拭いてやる。


「きゃはっ! まおーさまに唇を奪われたですのっ」

 いやいや違うから……。



「お~いし~。やっぱり白亜の飛龍ホワイトドッラゴーンの肉は最高だわ」

 ラヴが目を輝かせながら、肉にかぶりつく。

 あんまり気にしてなかったけど、ラヴは何だかんだで食べるのが好きだよな。


「まぁ愛ちゃん、おっぱいが落ちるくらいにおいしいんですの?」

「ネネネそれ前も言ってたけど、落ちるのはほっぺたじゃないのか?」

 それとも異世界ではそれが正しいのか?


「ですがまおーさま、愛ちゃんの胸小さくなってますもの」

「そんなわけあるかいな…………あ、ホンマやっ!」

「う、うるさいわね! これは前から……くっ……」

 ラブは悔しそうに歯噛みする。

 やれやれまったくだぜ。


「違うだろラヴ、前から小さいんじゃなくて、肉がおいしかったから落ちてそうなっただけだろ?」

「そ、そうよ、よく分かってるじゃない。いつもはもう少しあるわ」

 何て言って、いつもない胸を反らすラヴ。

 鷲掴みにしてやろうか。


 ん?

 ふとエメラダを見てみると、彼女はなにやら小さなビンを取り出し、その中身を肉にふりかけていた。

「何それエメラダ」

「アスタロウもかける?」

 エメラダ差し出した小瓶を受け取る。

 何だろう……中身を見るとそこに入っていたのは、緑の粉末状のもの。


「薬草のふりかけ」

 と、エメラダの説明。

 薬草のふりかけ?

 こ、これはおいしいに違いない。

 俺はそのふりかけを肉にふりかける。

 そして一口……。


「うめぇ~」

 これまたうまい、そのままで食べても十分おいしいドラゴン肉。

 ふりかけをかけることで、味も香りもスパイシーになって余計に食欲をそそる。


「どれどれ? 私にもちょうだい」

「ほい」

 ラヴに小瓶を手渡す。

 彼女もそれをふりかけ一口頬張る。


「本当、何これ!? 師匠これどうやって作るんですか? 私にも教えて!」

 エメラダ師匠に詰め寄るラヴ。

「明日」

「やった! よろしくお願いします!」

 と、がっつポーズ。

 また変なものを食わされるのは、俺のような気がするんだけど……。


「おいアスタ、ワシの焼いた肉も食ってみよ」

 そう言ってルージュは俺の目の前に肉を持ってくる。


「な、何それ……?」

 その肉は真っ黒だった。


「血を塗って焼いた肉じゃ、うまいぞ」

 静かだと思ったらそんなことをしてたんですか。


「こらババア、まおーさまに変なもんを食べさせるんではありませんの」

「あ? 何じゃ年増? おぬしを血まみれにして焼いてやろうか?」

「やれるものならやってみなさいですの!」

「おおやってやる、そして今晩みなで食してやるわい!」

「な、何ですって!? まおーさまに食べられるのならネネネ本望ですの!」


「いやいや、俺は食べないから」

「た・べ・て」

「……っ!?」

 こんな感じで俺達は皆で仲良く、夜中までどんちゃん騒ぎをして楽しんだ。

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