第弐拾肆閑 装備:アスタの剣
「おはようですのまおーさま」
そう言ってベッドから起き上がるネネネ。
「ん、おはよう」
「うぅ、おはようじゃアスタ」
そう言ってベッドの影からニュッと這い出すルージュ。
「おはよう」
今日も今日とて、いつもどおりの朝。
窓からは朝日が差し込み。
草木が風に揺れ、海は輝き、空では翼竜の親子が仲良く遠吠え。
まあ海は俺の勝手な想像だけどね、だってここから見えないし。
「っておい! お前たちはどうして当たり前のように俺の部屋から起床するんだ!」
「まおーさま昨晩は激しゅうございました」
「誤解を招くような発言はよせ」
激しかったのはお前の寝言だ。
「五回も招いていただいて」
「一回たりともお前を招いた記憶はない!」
まったく、油断も隙もあったもんじゃない。
「ん、アスタ……リボンくくって」
目をコシコシと擦りながら黒いリボンを俺に手渡すルージュ。
「はいはい、その前に髪梳こうな」
「うい」
俺がそう言うとコクコクと頷く幼女。
「じゃないんだよ! 大体気になってたんだけど、ルージュって吸血鬼だろ? 夜行性じゃないのか?」
普通に夜寝て朝起きるじゃねえか、日に当たって大丈夫なのかよ。
「Night WalkerというよりはKnight Walkerじゃの」
「どこの騎士だよ」
「あっちの岸じゃ」
大体何だよKnight Walkerって、ただの歩兵か?
「まおーさま、昨晩何やらキシキシうるさかったと、城の者から苦情が来てますの」
「来てねえよ」
大体城の者いないし。
「アッ、クッ、クルゥ~アァン」
「黙れ!」
朝からエロいんだよエロ過ぎるんだよ、エロ淫だよマジで。
「まぁまおーさま、そんなこと言って、まおーさまだって洞窟を探検する気満々ではないですの」
「何のことだ!?」
「本当じゃアスタ、そんなところに剣を装備してどこに行く気じゃ?」
「ケン?」
「ケンと言うかチンですの」
「――っ!?」
下半身を見ると、俺はいつの間にか男の剣を装備していた。
「なっ朝だから仕方ないだろ!」
「仕方がわからないんですの?」
「もういいよ!」
「どうもあり――」
「やらないよ?」




