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異☆世界転生~愛すべきバカ共の戯れ!!~  作者: 高辺 ヒロ
第二部 異世界で暮らしま章      【魔王SPRING:春】
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第佰玖拾弐閑 好転? 後転?

「山や~!」

「おいルージュ、玉屋~みたいに言うな」

「谷や~!」

「だから鍵屋~みたいに言うなって」

 両手にラヴと逸花と言う花火を抱えているのだ、縁起が悪い。

 爆発したらどうしてくれる。


「おいアスタ、山の上に何か飛んでおるぞ」

 言って、ルージュは逸花の肩を踏み台にして、俺の肩に飛び移ってきた。


「本当だな」

 山頂付近に、何かが数体飛んでいるのが見える。


「あれは何だ?」

 ドラゴンか? と思ったが、目を凝らしてみると、そこまで大きくはなさそうだ。

 なら鳥か? とも思ったが、鳥にしては大きすぎる。

 あれは、何かこう、鳥みたいな人間みたいな――

 そう思っているとラヴが隣で、あれはハーピーねと呟いた。


「私たちがドラゴンを退治したから、住み着いたんじゃないかしら」

「ふうん」

 いたんだハーピー、初めて見た。


「だってさルージュ、ハーピーらしいぞ?」

法被(はっぴ)じゃと?」

「ハーピーだ。何ださっきから、祭りでもしたいのか?」


「ハッピー?」

「飛んでるのは、誰かの幸せですか!?」


「ラッキー?」

「バッドラック!」


「ロッキー?」

「エイドリアァァァァン!」


「ターキー?」

「いやだからハーピーだって」


「知っとるわい、七面鳥(ターキー)じゃなくて、人面鳥(ハーピー)じゃろう?」

「何だよそれ、もうええわ」


「「どうも、ありがとうございました~」」

 伝説のコンビ、交渉前のおふざけライブだった……。


「っ手羽か! ……間違えた、ってバカ! 何をやらせるんだルージュ」

 静かにしないといけないのに。


「何じゃ、アスタも散々楽しんでおったじゃろう」

「はい、そのとおりです」

 凄く楽しかったです。


「えーっともう一度言っておくけど、皆、交渉の邪魔になるといけないから、おとなしくしておいてくれよ?」

 俺も自重しなければ。反省反省。


「そうですのよババア、いつも邪魔ばかりして、気をつけなさいな」

 またお前(ネネネ)は、ルージュに要らない喧嘩を売って……。


「ふん、種族名が邪魔の奴に言われたくはないのう」

「何ですって!? ネネネは夢魔ですの!」

 妖精なのでは?


「まったくさっきのことと言い、もう許しませんの!」

「ほう、ならば久しぶりにやるかの?」

「やってやりますの!」

 おいおいこいつら、人の話を聞いていたのか?

 今さっきおとなしくしてくれと、お願いしたところのはずなんだけど。

 止めに入るがしかし彼女たちは止まらない。


「よかろう。ならば今日は、競争をするとしよう。あそこに飛んでおるハーピーを先に捕まえた方が勝ちじゃ」

 喧嘩をしている割には、勝負が可愛らしいと言うか何と言うか。

 相変わらず仲が良い。

 ただハーピーを捕まえるのはやめて差し上げろよ……迷惑だろ。


「それでいいのぉ?」

 言うが早いか、ルージュは俺の肩から飛び降りて、岩山に向かって走っていってしまう。


「あ、ちょっと待ちなさいな! フライングですのよ!」

「はっ悔しかったら飛行(フライング)でもして追いついてみよ!」

「キィィィィ!」

 ルージュに次いで、ネネネも走って行く。


「おいこら待つんだお前ら!」

 ん? でも待てよ?

 あいつらがどこかに遊びに行ってくれれば、交渉の場に連れて行かなくてすむわけで。

 そうなれば交渉中に暴れ出す危険性はなくなるわけで。

 むしろこれは願ってもない状況なのでは?


「アシュタアシュタ、ボクも行きたいのだ」

「仕方ないなぁクゥちゃん、今日だけ特別だぞ? 行ってきなさい」

「やったのだ!」

「その代わり迷子にはなるなよ」

 お前は子猫(まいご)ではなくて(おまわりさん)の方なのだから。


「ワンなのだー!」

 こうしてネネネ、ルージュ、クゥがいなくなり。

 危機から一転、俺にとっては幸いで最高の展開になった。

 がしかし、この世界でうまくいっているときというのは、どうにも安心できない。





「これね」

 三人がいなくなって数分ほど歩いたところでラヴが指さしたのは、岩山の(ふもと)にぽっかりと開いた、人間一人が通れるほどの洞窟だった。


「この中にドワーフがいるわ」

 さて、ここからがいよいよ正念場だ。

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