第佰捌拾伍閑 誰の、どんなパ○ティー?
「それで? パーティーするって言うけど、結局何のパーティーなんだ?」
ネネネとルージュの捕獲も完了し、ラヴと逸花の料理も完成し、全員が食事の間の椅子に腰掛ける。
目の前にはパーティーの名に恥じないほど、豪華な食事が並んでいる。
しかしパーティーと言っても、何のパーティーなんだ。
「そんなの、楽しければ何でもいーんじゃない?」
と逸花は言う。
「何であれ、パーティーが出来て楽しければ、ね?」
「んーまあそっか」
「どーしても何か名目が欲しいって言うなら、適当に決めちゃえばいーんだよ」
「いや、別にどうしてもってわけじゃないんだ、ただ気になっただけであって」
何か一つ決めるにしたって、特にしっくり来るものもないし。
「一つに決めるのが無理なら、もー全部、パーティーと名の付くもの全部をひっくるめたパーティーにすればいーんだよ!」
逸花は名案とばかりにパーティーの種類を挙げ始める。
「バースデーパーティーでしょ。クリスマスパーティーでしょ。ハロウィンパーティーでしょ。ひな祭りとか端午の節句とか七夕とか、その類も入れていいのかな? 後は……ああ、あれ、コープ○パーティー!」
おい、さりげなく閲覧注意な単語を放り込むな。
と言うか全部ひっくるめたパーティーって、乱雑とし過ぎだろう。
季節感とか入り交じってるし。
「じゃじゃんっ! さてここで問題でーす」
ぴょこんと人差し指を立てる逸花。
「このように、乱れ交ざるパーティーを、何パーティーと言うでしょーか?」
「はい!」
手を上げたのはルージュだった。
「はい、紅ちゃんどーぞ!」
「社交パーティーじゃ」
「ぶっぶー!」
「何じゃと!?」
「惜しかったけどね、ざーんねん」
「はいですのっ!」
次に手を上げたのはネネネ。
「はい、桃ちゃんどーぞ」
「乱交パーティーですの」
「せーかい!」
「おーっほっほっほっほ! どうやらネネネの勝ちのようですのね、ババア」
「むぅ……」
何なんだこれは……。
「と言うことでたっくん、今回のパーティーは乱交パーティーってことでどうかな?」
「却下します」
何を口走ってるんだ。
「大体お前、たとえそんなパーティーを開いたとして、俺が他の奴と関係を持つことを許さないだろ」
「あは、バレちゃった。もしたっくんがするって言ってたら、始まってたのは乱交パーティじゃなくて乱闘パーティーだったよ」
そんなことは分かりきったことだ、何年一緒にいると思っている。
幼馴染なめるな。
「まおーさま、幼馴染を舐めるとはどう言うことですの?」
「え、たっくん私を舐めるの? 別にいーけど、優しくしてね?」
「…………」
さ、て、と。
「でもまあバースデーパーティーっていうのは、悪くないかもな」
ここに来てもう一年以上が経つけど、まだ誰の誕生日も祝ってやれていない。
そんな話、ラヴ達も全然しなかったし。
「誰のなのだ?」
「んーそうだな、四月だから、できれば四月生まれの人がいいな。クゥは何月生まれだ?」
「う~ん……」
「分からないのか? 生まれたとき月が何個出てたとか、聞いてないか?」
「……わ~ん」
何だか唸り声が犬の鳴き声みたいになってきてる……。
「確か、ワン個だったような気がするのだ」
だから、どうしてそう犬と間違われるような発言をしてしまうのか。
「一個か。じゃあ一月ってこと――」
「あー違うのだ、思い出したのだ! テン個なのだ!」
「十個、つまり十月と。四月からはちょっと遠いな」
「でも半年しか変らないのだ! ハン! ハン!」
「半年も、だ。えーっと誰かこの中で四月生まれのやついないの?」
逸花は八月生まれだし。
と、そこで、俯きプルプルと震えながら手を上げているやつが一名。
ラヴだった。
「わ、私は四月生まれなんかじゃ、な、ないんだからね」
何のツンだそれは。
「そっかラヴちゃんは四月生まれか、なら丁度いいな。じゃあ今日はラヴの誕生日パーテ――」
「だから四月生まれじゃないって言ってるでしょ!?」
「なぜそこまで必死に拒否をする!」
「だ、だって……」
急にモジモジし始める彼女。
「誕生日を皆に祝って貰うなんて、う、嬉しいけど、恥ずかしいし……それに私だけ祝って貰うなんて何だか悪いし」
「ちょっと待てラヴ、まだお前だけを祝うと決まったわけじゃない。まだこの中に四月生まれがいるかもしれないだろ? ほら、他にはいないか」
まあ正直、そんなことあるわけが――
「ハイですの!」
「……はい」
あった!?
手を上げたのはネネネとエメラダ。
まさか七人中三人も四月生まれとは。
「ネネネは五月生まれですの」
「じゃあどうして手を上げた! 俺が今聞いてるのは四月生まれの人だ!」
紛らわしい!
「いいじゃありませんのまおーさま、五月まで後ちょっとですもの。ネネネも祝ってくださいな」
「んー……まあそうだな。分かったそうしよう」
「……アスタロウ、私は三月」
エメラダさんも四月じゃなかったんですね……。
「三月も終わってちょっとしか経ってないしな、一緒に祝おう」
「……」
コクコクと頷くエメラダ。
「ラヴも、三人ならいいだろ?」
「た、たんじょーびを……祝って、祝って、もら、もら、貰える」
もはやラヴは上の空で、俺の声など届いていない。
が、まあいいだろう。
今日も読んでくださり、ありがとうございました。




