第佰捌拾肆閑 パ○ティーと言って下さい
「おーい!」
俺は両開きの窓を開けそこから身を乗り出し、ネネネとルージュに向かって叫んだ。
俺の声に気付いた彼女たちは、立ち止まり俺を見上げる。
「はーい! なんですのまおーさま」
「パーティーをするから戻ってきて欲しいんだ」
「パンティーで擦るから戻ってきて欲しいんだ? まさか、朝からまおーさまにそんなことで呼び出していただけるだなんて、ネネネ嬉しいですの」
「誰がそんなことを言った。俺が言ったのはパンティーで擦るじゃない、パーティーをするだ」
「パーキングをする? あら、それは一体何の隠語でしょう。パーキング……駐車…………注射? ああっ注射! 分かりましたの! つまりパンティーで擦るだけではなく、本番もするという……ぽっ。パーキングをする、素晴らしい淫語ですこと」
「だから誰がそんなことを言った!」
どうすればそんなことになるんだ!
どうすればそんなとこに着くんだ!
まったくもうまったくもう。
「ネネネちゃん、お前はもういい。俺が悪かった、俺が悪かったんだ」
そう言って、俺はネネネの隣にいるルージュに視線を移した。
「ルージュ、パーティーをするから、ネネネを連れて戻って来てくれ」
「何!? ハンティングをするじゃと!?」
「お前もか! 誰が狩りをすると言った! 俺が言ってるのは狩りじゃなくて会だ! 宴会だ!」
どいつもこいつも……どういう耳をしているんだ……。
「ババア、年のせいで耳が悪くなったんではないですの? 今まおーさまはスパンキングと仰ったんですのよ?」
言ってないよ?
「はあ? 違うわい、アスタはスパンコールと言いよったのじゃ。そう言えばワシも昔は、スパンコールのついたキラキラドレスを身にまとっておったわい」
「違いますの、まおーさまが仰ったのはスパッツですの。そう言えばネネネも昔は、局部だけ布の付いていないスパッツを身にまとってましたの」
俺を蚊帳の外にして言い合いを始める二人。
と言うかちょっと待てネネネ、今の凄い問題発言だからね?
もちろんスパッツの下に何かはいてたんだよね?
「バカが、スパッツではない。アスタは何かを“する”と言っておったじゃろう。多分スパッツじゃなくて、スポーツじゃ」
「バカはアナタですの、スポーツじゃなくて、ソープですのよ」
はぁ……本当に誰がそんなことを言ったんだ。
もしかして俺か? 俺が悪いのか?
あいつらの耳じゃなくて、俺の滑舌が悪いのか?
「で、結局なんでしたっけ? まおーさま」
「で、結局何じゃたかの? アスタ」
二人仲良く同時に、俺に向かってそう問いかけてくる。
「……だから、パーティーだって」
「ほらみなさいなババア、ハンディではないですの。つまり手頃なネネネで、性処理をするとまおーさまは仰ってるんですのよ」
「うむ、確かにハンディじゃった。しかし意味が違う。アスタが言っておるのはハンディキャップのことじゃ。つまりスポーツをする際ハンデをくれと、アスタはそう言っておるのじゃろう」
いや、俺は悪くない、俺はちゃんとパーティーと言った。
「ふぅ……」
やれやれ仕方がない。
「クゥたん」
「はいはい何なのだアシュタン」
「あのどうしようもなくバカワイイ二人、殴ってでもいいから連れて来てくれない?」
「分かったんっ!」
元気よく椅子から飛び降り、食事の間から駆けて出て行くクゥ。
「はいどうぞなのだアシュタ。殴って連れて来たのだ」
しばらくしてクゥは、両脇にネネネとルージュを抱えて戻ってきた。
二人の頭には大きなこぶが、目には大きな涙の粒が。
「クゥちゃん……本当に殴ったのか……」
「そうなのだ」
「クゥ……」
「ん?」
「グッジョブ!」
サムズアップだった。
「クゥジョブなのだ」
文字数少なくてごめんなさい。
今日も読んでくださりありがとうございました。




