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異☆世界転生~愛すべきバカ共の戯れ!!~  作者: 高辺 ヒロ
第二部 異世界で暮らしま章      【魔王INTER:冬】
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第佰陸拾弐閑 地響きと地雷に満ち溢れた、空母のような……。

「はぁはぁはぁはぁ」

 ネネネを連れてかまくらの中に戻ってみると、ラヴが変化していた。

 変化。

 そう、つまり、変態と化していた。


「あ、あの、ラヴちゃん? 一体何をなさってるんですか?」

 彼女はなぜか、己の腕の中で眠る幼女ルージュの寝顔を食い入るように見つめ、顔を赤くして息を荒らげている。

 端から見れば、まさに変態。

 これを変態と呼ばずして、何を変態と呼べばいいのか俺には分からない。


「え、いや、ちょ、これは」

 俺の声で我に返ったラヴは、慌てて言い訳をしようとする。


「その、あの、えっと」

 でも焦りすぎて、いまいち言葉が出てこないようだ。


「もしかしてお前、そういう趣味が?」

 ロリコン、的な。


「は、はあ!? ちがっ、趣味とかじゃなくて!」

「まぁまぁ落ち着けってラヴ。俺は別にお前がロリコンだったとしても、別に軽蔑したりしないから」

「ロリコンってだから違うってば! 変な勘違いをしないで! 私はただ、普通に可愛いなって思って見ていただけよ!」

 いや、全然普通ではなかったけどなぁ。


「そう、言うなればあれよ!」

「どれよ」

「ぼ、母性?」

「母性!? 凶暴性の間違いじゃないのか!?」

 今にも取って食ってしまいそうな雰囲気だったけど。


「誰が凶暴よ! 慈悲と慈愛に満ち溢れた聖母のような顔をしてたでしょう!?」

「どちらかと言うと、地響きと地雷って感じだったけど」

「どういう意味よ!」

「危険」

 本当に危険だった、危ない危ない。

 まったくもう、誰もいないからって。

 いや、一応中に、クゥとエメラダはいたんだけど。

 クゥは眠ってるし、エメラダは本を読むのに夢中でこっちを見向きもしない。

 それに聖母って……。

 自分で言うことではないし、しかもお前は聖母と言うより空母だろう。

 あの平らな感じとか、超似てる。


「誰が危け――」

「うぅぅん」

 俺に反論しようとしたラヴだったが、ルージュの小さな唸る声を聞いて、その口をつぐんだ。


「ちょっと黙りなさい魔王、ルージュが起きたらどうするの」

 しー、と人差し指を口に当てる。

 いや、ラヴの方が叫んでたんですけど……。


「はぁ~やっぱり可愛い」

 腕の中で小さく丸くなり、ラヴの胸に、甲板ではなく胸板に、ごそごそと顔をうずめるルージュ。

 そんなルージュを見つめるラヴの瞳には、まあ、確かに慈悲と慈愛が宿っているように思う。

 やっぱり地響きと地雷、危険値の方が高いけど。


「ルージュって、寝てたらこんなに可愛いのねぇ。起きてたら生意気だけど」

 失礼な、起きてても可愛いよ。


「ねえ魔王、アンタいつもこんな可愛いのと一緒に寝ていたわけ?」

 ルージュから、俺に目を移すラヴ。


「まあ」

「ずるい」

「ずるいって」

 そんなこと言ったって、そいつ(ルージュ)が勝手に俺の部屋に来ているだけで。


「私も一緒に寝たい」

「一緒に? それってつまり俺とお前も一緒にてるってことか?」

「な、はぁ!? どうしてそうなるわけ?」

「だってそうだろ?」

 ルージュは俺と寝ていて、そのルージュと一緒に寝たいということなんだから。


「別に私がアンタの部屋に行かなくても、ルージュを私の部屋に連れてこればいいでしょ!」

「ああそうか」

「そうよ」

 誰がアンタみたいな、変態が服を着て歩いているような奴と一緒に寝るもんですか。

 と呟く彼女。


「ちょっと待てラヴ」

「何よ」


「変態は服を着ない」

「そうね」


「俺は服を着ている」

「そうね」


「つまり俺は変態じゃない」

「そ? そうね」


「ということは?」

「一緒に寝ても大丈夫?」


「大正解!」

「黙りなさい大変態! アンタと寝るなんて、死んでも嫌よ!」

「酷い!」

 まあ正直俺も、ラヴと寝るなんて、死ぬから嫌だけど。

 命がいくつあっても足りる気がしない……。

 ラヴと一緒に寝るのは、死んでからにしよう。


「とにかく、今日は私にルージュを貸して。ルージュと寝かして」

「分かったよ、好きに連れてってくれて構わない。構わないけど、そいつ寝相悪いから気を付けろよ?」

「大丈夫よ。夜泣きしたってちゃんとあやしてみせるわ」

 だからルージュは赤ちゃんじゃないんだって……。

 夜泣きなんてしないんだって……。

文字数少なくてごめんなさい。

今日も読んでくださって、ありがとうございました。

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