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異☆世界転生~愛すべきバカ共の戯れ!!~  作者: 高辺 ヒロ
第二部 異世界で暮らしま章      【魔王INTER:冬】
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第佰肆拾閑 奴隷佳麗

「ワンちゃん、ババアは?」

「ルージュねーさんはまだ見つけてないのだ」

「そうですの、では次はネネネが鬼ですのね」

「そうですのなのだー!」

 ふむ、ルージュさんの次はルージュねーさんか。

 やっぱりどこからどう見ても、身的にはクゥの方がお姉さんなんだけどな。

 心的にはどうか知らないけど……。


「おはようクゥ」

「おはようなのだっ」

 言って、クゥは軽々しくも驚異的な跳躍力を見せ、俺の隣に着地し、その場にしゃがんだ。


「お前は寒いのに元気だな」

 雪が降ったら犬は喜び庭を駆け回るという例の歌は、どうやら本当だったらしい。


暢気のんきなのだ」

「そうか、暢気なのか」

 確かに暢気で陽気で能天気な感じだ。

 肌だけじゃなくて、頭の中まで小麦色に染まっているんじゃないだろうか。

 と言うか。


「何だかお前自身が、太陽って感じだな」

「太陽?」

「そう、おてんとうさま」

 ルージュがクゥのことを苦手なのは、それも原因だったり。

 と思ってみたり。


「お転倒さま? ボクは転んでも泣かないのだ」

「そ、そう、えらいね」

 そのなりで転んで泣かれると、さすがに困るよ。


「エロいのだ?」

「エロくはない」

 転んでも泣かないに、エロスはない。


「転んでも泣かないより、寝転(ころ)んでく方がエロいですわよね、まおーさま」

「そうだね。ってネネネ、君は少し静かにしてようね」

 クゥの教育によろしくない。

 この純粋な太陽に、雲を掛けるな。

 

「そうだクゥ、かくれんぼしてるんだって?」

「そうなのだ! かくぅれんぼなのだ!」

「楽しいか?」

「寂しいのだ」

「寂しいの?」

「そうなのだ。一人で探したり、一人で隠れたりするのは寂しいのだ」

 相変わらず、寂しがり屋さんだな。

 まあでも、俺も小さい頃かくれんぼをしてて、なかなか見つけられなかったり、なかなか見つけてもらえなかったりすると、凄く不安で寂しい気持ちになったりもしたっけ。


「アシュタも一緒にかくれんぼするのだ? たくさんの方が、寂しくないのだ」

「いや、俺は遠慮しとくよ」

「どうしてなのだ!? ボクがアシュタのカレーになったら、遊んでくれるって約束したのだ!」

「カレーじゃなくて、奴隷ね」

 分かった俺も、凄くないだろうか。


「ドレイなのだ? カレーなのだ? ドレイカレーなのだ?」

「ドレイだ」

 ドレイカレーって……何だかドライカレーみたいになってるよ。

 確かに肌茶色いけど、別にそれはカレーの魔物だからとかではないだろう?

 もしそうならお前の名前は“クゥ”じゃなくて“ルゥ”だよ。

 まあ佳麗かれいなら、間違いではないけど。

 奴隷佳麗なら、間違いではないけど。

 

 と、それは置いておいてだ。

 そう言えば、奴隷になってもらう代わりに遊んであげると、そんな約束を交わしたっけ。


「遊んでくれないと、ボクはアシュタの奴隷をやめるのだ」

「奴隷をやめたら、クゥはどうなるんだ?」

「アシュタに遊んでもらえなくなるのだ」

 いや、別にクゥのことを奴隷だとは思ってないし。

 だから奴隷をやめると言われたところで、遊んであげるけども。


「…………それは嫌なのだぁ」

 自分で言って、自分で涙目になる彼女。


「うっ……」

 何だこの可愛い生き物は……反則だろう。


「分かった分かった、一緒にかくれんぼしよう」

「本当なのだ?」

 銀色の瞳を太陽のように輝かせるクゥ。


「本当だ」

「やったのだ!」

 彼女は豪快にしっぽを振り回しながら、俺の首に飛びつく。

 三角お耳がほっぺに当たって、もふもふだ~。


「けど参加するのは、次のゲームからだぞ?」

「どうしてなのだ?」

「だってまだルージュを見つけてないんだろ?」

「そうなのだ! 早くルージュねーさんを見つけないとなのだ!」


「ん、ガンバるんだぞ」

「カンガルーなのだ!」

 そう言って、カレールーではなくカンガルーよろしく、再びぴょーんと跳び上がり、食事の間の扉の前に立ったクゥ。


「ネネねーちゃんも一緒に行くのだ」

「ハイハイ分かりましたの」

 ネネネも立ち上がり、出入り口へと向かう。


「ではまおーさま、イッて参りますの」

「行ってきますなのだ」

「おう」

 そうしてネネネとクゥは、夢魔サキュバスケルベロスは、食事の間を後にした。

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