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異☆世界転生~愛すべきバカ共の戯れ!!~  作者: 高辺 ヒロ
第二部 異世界で暮らしま章      【魔王TUMN:秋】
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第佰拾陸閑 迅雷の到来

「魔王SUMMER! HI(ハイ)! HI()! さ! SHI()! ぶ! RI()!」

 突然食事の間へ入ってきた謎の男。

 いや、謎にしておきたかったけど、謎じゃない。行動は謎だけど、正体はわかっている。

 コイツは元・四天王、ゲイル・サンダークラップ。

 現・農民、ゲイル・サンダーラップだ。

 四天農と言っても、差し支えはない。

 

「ようゲイル、久しぶりだな。ただ言っておくけど、今はSUMMER、夏じゃなくて、AUTUMN、秋だぞ?」

「魔オータム!!」


「なっ……!? なかなかやるな。だが、冬になったらどうする!?」

「魔オウィンター!!」


「くっ……何!? じ、じゃあ春は!? さすがに無理だろう!」

「魔OUSPRING!!」


「なん……だと……」

「YES! 魔オールシーズンコンプリート! YAAAAHAAAA!!」


「ぐはっ……」

 意味が分からなかった。


「おいゲイル。ちょっと失礼が過ぎるんじゃないか?」

 散々乗った後に言うのもなんだけど。


「過失ですね」

「ああ、過失だ」

「少々加速をし過ぎました」

「そうだな、いったん落ち着け、いきなりエンジンを全開にしすぎだ」

 そうなると俺が乗ったのは、車だったりするのだろうか。

 では失礼して、とゲイルが木の丸椅子へと腰をかける。

 今更椅子に座ることぐらい、何が失礼だというのか……。


「えーごほん。では、改めまして、改まりまして、皆様おはようございます……、まぁ皆様と言っても、メンバーの半分はいないようですが……」

 そうだ、今ここには、食事の間には魔王城メンバーの半分がいない。

 ネネネとルージュとクゥはいない。

 いるのは、俺とラヴとエメラダ。

 それプラスゲイル。


「しかし魔王様、魔王城にいる魔王様以外の者が、勇者とエルフとは……」

 確かに……魔王城なのに、俺以外が、三分の二が全然“魔”って感じじゃないな。


「して魔王様」

 と、俺に近づき、耳元で小さくささやくゲイル。


「何だよ」

「もう遊者とは、おヤリになられましたので?」

「ヤッてない、やってないし遊者でもない」

 ラヴは遊び人ではない。


「そうですか、ではあちらのエロフとは?」

「ヤッてないって! それにエロフ言うな!」

 エメラダはエロくはない。いや、エロいのか?

 まぁそれは置いといて、まったくゲスイ奴だ。ゲイルじゃなくて、ゲスイルだ


「お前全然あらたまってないじゃないかよ」

「ええ、むしろあたたまって来ました」

 エンジンがか……!?

 まったくもうまったくもう。


「で、何の用だよゲイル。まさかそんなことを言いに、わざわざここまで来たわけじゃないだろう?」

 こいつがここに来る理由。それは一つしかない。

 村の情報の、状況の報告。

 最初は村と城との情報伝達担当のつもりだったんだけど、こっちから何かお願いすることがないから、最近は村の情報を発信する広報担当みたいなものになってしまっている。


「ええ、もちろんです」

「ならさっさと先に行ってくれ、先を言ってくれ」

 道を逸れ過ぎだ。話を正しい方向に、報告に進めて欲しい。


「かしこまりました、魔オータム」

「魔オータム言うな」

 何だか『魔王たま』みたいに、可愛く聞こえるじゃないか。

 ネネネなら『まおーたまのまおーたま』何て言って、喜びそうだけど。


「失礼しました、魔(たま)たま」

 ……もういい、好きにしろ。


「では、町の近況を報告させていただきます。えー町の方は――」

「ちょい待ちゲイル。町って何だ?」

「はて、“町”ではなく“街”の方がよかったですか?」

「いや、そこはどうでもいいんだけど……。町って言うけどお前、この城の下にあるのは村だろ? 間違えるなよ」

 ネネネがム~ラ村と名付けた、ガラケー村長のいる。それとウメコも。


「間違えているのは魔玉様の方です」

 と、魔玉様発言意外は、いたって真剣なゲイル。


「お忘れですか魔王様。以前、確か、木が欲しいと端材を集めに、村にいらしたことがありましたね?」

「あー、ああ……うん」

 そんなこともあったな。

 ヴァイオレット、文字どおり紫色の髪の毛をした、小さな小さな小人ちゃんの家を作るために。


「あの時、人口が増加したと、私、報告しませんでしたか?」

「あ、あぁ! あぁあぁ、そうだ、そうだったな」

 そういえば、人口増加に伴って、汚かった道路や家をきれいにして、更にレンガを敷いたり、新たに建物を建てたりしてたじゃないか。


「思い出されましたか?」

「うん。それ見て、自分でも、村と言うよりは町みたいだなって思ってたんだよ」

「そうです! ム~ラ村は、町に変わったのです!」

 で、とゲイルは続ける。


「話を戻しますが、その町の方が、何だかんだで大方完成いたしました」

 へぇ……とうとう、魔王城にも、城下町ができたと言うことか。


「あの時工事中だった、道の舗装も建物の建設も少し前に終了しました。そしてですね、外の町やら何やらとの繋がりもでき、物資やら何やらも手に入りやすくなったので、衣やら食やら住やらの店だけではなく、趣味やら娯楽やらの店などもでき、その他何やらかんやらとあったりなかったり。まぁ、そんなこんなで町は大変賑わってきています」

 何だか物凄くアバウトな報告のような気が、しないでもないんだけど……。

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