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−第6話 俺とアリスの奇妙なお茶会−

「貴様の欲望はなんだ?

どんな力を望む?」


「私は、世界中の女の子を魅力する力が欲しい!

どんな形でもいい…最終的に私の手中に収まる力を私に!!」


「俺の時よりも、欲望が露骨過ぎる!!」



ただ今、俺の幼なじみの凛々愛がイゼエルと契約しようとしている真っ最中だ。


俺の時とは違い、契約内容をよく確認の上に、ご利用は計画的に契約ができる凛々愛なのだが…



「あ、ついでに妹の友利愛をペロペロしたい!

ペロペロしても嫌われない能力を私に!!」


「欲望が超リアルでキモいわ!!」



俺が完全にツッコミに回るぐらいの暴走っぷりである。


え、いつもの事?

キノセイダヨー。



「良いだろう…

変態であればあるほど、契約で得る力は強大になる。

契約成立だ」


「うっしゃあああぁぁぁぁぁぁッ!!」


「なんて酷い契約内容なんだ!!」



見てよ、凛々愛のガッツポーズを。


光輝きながら、顔を歪めているぞ。



あの人、ヒロイン候補なんだぜ?


酷い欲望と顔してるだろ?



「うーん、契約した実感無いわね。

折角だから、あの天使ちゃんに能力使ってみようかな?」


「…ギクッ!」


「ルノエル逃げてー!

超逃げてー!!」



…ルノエルの霊圧が消えた!?


どうやら、身の危険を感じだルノエルは行ってしまったようだ。

円環の理に導かれて…



「あの天使ちゃん、ルノエルちゃんって言うのね!

ああん、名前も可愛い!!」


「しまった…

余計な事言うんじゃなかった…!

おい、わかってるな!

ルノエルは、お前の幻覚だからな!?」


「ウフフ、良いのよ〜。

幻覚でも、ルノエルちゃんはルノエルちゃんよ!」



俺は、今頃自分の失態に気付く。


凛々愛に対して、ルノエルは幻覚という設定だった。


もし、ルノエルが襲われたら、たまったもんじゃないからな…



「と・に・か・く・だ!

今、能力を使うのは無しだ!

ちゃんと後悔しないように、使う相手考えろ、使う相手を!!」


「じゃあ…ルノエルちゃんか、友利愛!」


「その二人から離れろぉぉぉぉぉぉ!!」


「あ、イゼエル。

私の女の子を魅力する能力名を教えてちょうだい」


「無視すんなゴラァァァァァァァァァァ!!」



この台詞のついでに凛々愛に体当たりしようとしたのが、残念ながら華麗に避けられた。


そして、凛々愛の能力名が明らかになってしまった。



「お前の能力は、『女性限定の色気(ガールズ・セクシネス)』だ。

強力だが、癖がある能力だから気を付けろ」


「うふっ、上等よ!」



凛々愛の満面のドヤ顔。


殴りたい、この笑顔。



「さて、ロリコン帰るわよ!

私は、白扇学園の全女子生徒のお姉様になるわよ!!」


「や、止めろ!

お前だけは地上に帰す訳には…」


「あら、もう『異境を繋ぐ門(コネクト・ゲート)』の中よ?」


「ダニィ!?」



気付くと、景色は神の砦(ゴッド・フォート)ではなく、『異境を繋ぐ門(コネクト・ゲート)』の宇宙空間のような異次元にと変わっていた。


これは…もう、手遅れというだ。



「あ゛あ゛、畜生ッ!

イゼエル、覚えてろぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっっっ!!!」



毎回の如く、俺の叫び声が『異境を繋ぐ門(コネクト・ゲート)』に響いた。


一体いつになったら、叫び声を上げない日が来るのだろうか?







「それにしても妙だな…」



イゼエルは、悠希との戦いに敗れ、光る檻に拘束されている榛原皐月を眺めて言った。


戦いの反動からか、榛原の意識が中々戻らないのだ。



「普通なら、そろそろ意識が戻っても良い頃だと思うのだが…」


「イゼエル様、どうかなさいましたか?」


「ルノエルか…」



何の前触れも無く、ルノエルが現れて会話に入り込んできた。


まあ、イゼエルにとっては、ルノエルが突然現れるのもいつもの事だ。



「ルノエルよ、お前はあの戦いの時にずっと悠希の隣に居たな。

その時、変わった事はなかったか?」


「いえ、特にありません。

強いて言うなら、初めてとは思えない悠希様の戦い方と、あの能力(・・・・)ぐらいです」


「ああ、『個性反転(キャラクター・リバーシブル)』の事か…

確かに、あんな人間が使える能力とは思えないだろうな…」


「そうですよ、何故あの年下ばかり興味津々な人間が…

あんな強力な能力を…」



契約者の能力は、自分の性癖に準ずるものだ。


逆に言えば、契約者は自分に性癖に相応しい能力しか得ることが出来ない筈なのだ。



「ルノエル、お前は少し誤解しているぞ。

悠希は年下の女が好きというだけで、あの能力を得ている訳では無いのだ。

奴には、|その能力を得るに相応しいトラウマ(・・・・・・・・・・・・・・・)がある…」


「えっ、それはどういう…」




バキンッ!!




ルノエルがそう言いかけた時、檻の中の榛原に異変が起こった。


突然、榛原を拘束している鎖が弾け飛んだのだ。



「な、なんで!?

邪神契約者は、この鎖から逃れる事は出来ないのに!?」


「はあ、なるほどな…

アルギスめ、やってくれたな…」


「イゼエル様、一体何が…!?」


「コイツを見ていれば、すぐに分かるぞ」



イゼエルは、榛原を指差してそう言った。


当の榛原は意識が戻ったらしく、起き上がるなり辺りを見渡して呟いた。



「あれ…

僕はなんでこんな所にいるんだろう?」


「おい、そこの人間。

貴様は邪神契約者だな?

お前が知っている事を洗いざらい吐いてもらおうか」


「ええっ、誰!?

い、一体なんですか!?

僕、何か悪い事しました!?」


「したぞ、貴様はナイフで人を傷付けた」


「ば、馬鹿な事を言わないで下さい!!

僕はナイフなんて悍ましい物を見ただけで吐き気がするんです!

それを使って人を傷付けるなんて…」


「もう十分だ、地上に帰れ(・・)



イゼエルは『異境を繋ぐ門(コネクト・ゲート)』を発動し、悠希達と同じように地上へと送り返した。


榛原は何かまだ言おうとしていたが、イゼエルには聞くだけ無意味と解っていた。



「イゼエル様、あの邪神契約者は…」


「そうだ、『個性反転(キャラクター・リバーシブル)』の効力で性癖が反転している上に、邪神契約を解除(・・)されているようだ。

あんな状態では、尋問するだけ時間の無駄だ」


「つまり、邪神から見捨てられた…という訳ですか。

使い捨てのように捨てられるなんて、可哀相です…」


「可哀相…か。

だったら、お前の世話係も中々可哀相な奴(・・・・・・・)だと思うのだがな…」


「それってまさか…

個性反転(キャラクター・リバーシブル)』と何か関係が…?」


「それは言えないな。

知りたかったら、直接奴に聞くが良い。

例えお前でも、話すとは限らないがな…」


「…そうですか」



簡単に話せる程軽い話では無い事を、ルノエルは察した。


普段は重い過去を背負っているようには見えないが…



「私…悠希様の所に行きます。

そして、いつかその真相を話してくれるまで、側にいようと思います。

こんな私なんかで、悠希様の心の傷が癒えるなら」


「相変わらず甘いというか…

変わった奴だな、お前は…

私には、そこまで人間を気遣うお前が到底理解できんな」


「イゼエル様が気にしなさ過ぎるんです。

もう少し、契約者気遣っても良いと思いますよ?」



ルノエルはそう言い残し、『異境を繋ぐ門(コネクト・ゲート)』で地上へと向かった。


再び一人になったイゼエルは、ルノエルに言われた事を繰り返して言っていた。



「契約者を気遣う…か。

偏愛の神である私には、不可能に近いな。

私が愛する人は、あの人(・・・)だけ…

あの人(・・・)だけで十分なのだからな」



イゼエルは、あの人(・・・)の事を思い出し、物思いに耽っていた。


決して忘れる事の出来ない、あの人(・・・)と初めて会った時の事を思い出しながら…







榛原と戦った公園まで戻った俺達だったが、問題が山積みだった。


まず、イゼエルと契約してしまった凛々愛である。



「さて、私の能力を思う存分使わせてもらうわ!」


「馬鹿、止めろ!

お前だけは、必要以上に能力使うな!!」


「何よ、私のハーレム計画を邪魔しようって言うの!?

だったら容赦しないわよ!」


「い、いや…

ハーレムってな…」



もし、本当に凛々愛がハーレムを作ってしまうと、ロクな事がしか起こらなさそうな楽園になるな。


凛々愛の事だから、この白扇学園を女子校にでもする気なのだろう。



そうはさせない、折角私立の中学に受験して入ったのだ。


こんな身勝手な理由で、退学させられてたまるか。



「凛々愛…

お前が何をするかははっきりとは分からないが、俺には大体の予想ができている…」


「そう、だったらさっさと退学しなさい?

私の学園には、男子なんて必要ないからね」


「いや、考えろ凛々愛…

俺が退学というのは置いておいて、他の男子生徒はどうなる?

男性教員はどうなる!?

お前はこの学校の男性陣の人生を、お前一人の欲望で狂わせてもいいのかよ!?」


「…!」



フフフ…

動揺しているな、凛々愛よ。


これぞ、俺が親に散々使われ苦戦した厄介な心理的戦法…

名付けて、『正論を突き付けてだまらせよう作戦』だ!


どうだ、それでもお前は欲望を貫き通すのか!?



「愚問よ、悠希…

白扇女子学園中等部を作るのには、多少なりとも犠牲は必要なのよ。

だから、私は貴方達を切り捨てるわ!」


「うわっ、酷ッ!!

鬼だ、コイツ!!

鬼畜レズ独裁者だ!!」


「何とでも言いなさい、ロリコン変質者。

嫌なら、力付くで止めてみなさい?」



凛々愛は、強気だった。


常に俺を否定し、自分が正しいと信じて疑わないいつもの凛々愛だ。



いつもの俺なら、止めに入る所だが…


だが…今の俺は、いつもとは違う。



「なら、止めはしないよ。

お前に逆らってロクな事は無かったからな」


「あら、随分と物分かりがいいのね?

やって、私に盾突く事が無駄と想い知ったのかしら?」


「まあ、こっちにも考えがあるんでね…

やるだけやってみれば良いんじゃないか?」



まあ、考えと言っても…

別に凛々愛の暴力が怖いとか、そういう事ではない。


いつもは正面から凛々愛に突っ込んで敗北ばかりしていたが、今の俺にはそこそこの頭脳がある。


今更、ごり押しなんて戦法は流行らない。



「ふぅん…

まあ、良いわ。

それに免じて、貴方は退学させないであげる。

感謝なさい?」


「ありがとうよ、凛々愛。

まあ、せいぜいこの学園の生徒会(・・・)をなんとかできたら…の話だけどな」


「…どういう事よ?」


「おいおい…

凛々愛、知らないのか?

白扇学園生徒会の恐ろしさを?

通称・正義の代行者(ジャスティス・レリーフ)と呼ばれているあの生徒会をか!?」


「な、何よ…それ?

生徒会がなんだって言うのよ?」


「お前…このまま学園を乗っ取ろうとしてみろ。

奴らに潰されるぞ?」


「ハッ…

そんな役員がいるわけ…」


「…居るんだよね、実際に。

それにお前、一年の時一度そいつらの世話になっただろ?」


「えっ、世話?

そ、それってまさか…」


「そう、お前を助けたあいつら(・・・・)だよ…」



俺は内心、勝ったと思った。


そのせいか、俺は無意識に口元はニヤリと歪んでいた。



流石の凛々愛でも、自分が以前助けられた相手(・・・・・・・)ともなれば、少しは引け目を感じるだろう。


()してや、相手はあの生徒会だ。


いくら無知な生徒でも、その恐ろしい噂の一つを聞いた事があるだろう。



まあ、凛々愛は全然知らない様子だったが。


本当に、女子にしか関心が無いというか、何と言うか…


で、凛々愛が助けてもらったっていうのは…



「私を付けていたストーカー男子を撃退した…

あの威圧感がヤバい集団の事!?」


「そうだよ、あの時名乗ってたじゃねぇか…」



一年生の頃の凛々愛は、まだその歪んだ性格が周知では無かった為、クラスの男性陣からそこそこの人気を誇っていた。


そんな凛々愛に、何人かの物好きな正体不明なストーカー男子が付き纏うようになった時期があったのだ。



大体の犯人の目星は付いて居たのだが、決定的な証拠は出なかった。


その理由は…

クラスの男子は謎の団結力を発揮し、誰もがその件に関してお互いを(かば)い合い、誰も真犯人を白状しなかったのだ。


残念な事に、男子というのはそういう事ばかりをしてしまうのだ。



で、とてもじゃないが犯人が見付かるような状態ではなかったのだ。


だが、そのストーカー達は何人かはたったの三日間で見付かり、残りは現行犯で特別指導の餌食となった。



それを突き止め、凛々愛を救い出した集団こそ…


先程から言う、通称・正義の代行者(ジャスティス・レリーフ)…白扇学園生徒会役員の方々なのである。



「お前はその恩を、わざわざ仇で返すのか?

あの時のお前は、あの物好きストーカー男子達に、相当頭を抱えていたじゃないか」


「くっ、なんて事!

あの集団が生徒会役員達で、私が学園を乗っ取ろうとするなら絶対に敵対しなければならない…

でも、あんな集団に勝てる気はしないわ…

ぐぬぬぬぬ…」



見よ、これぞ『お前は恩返しもせずに、鶴以下に成り下がるのか!?作戦』だ!


これは、中々の効果があるようだな。



よし、あと一押しと言ったか。


此処で俺は、凛々愛が反応するであろう最強のワードを口にした。



「ほら、彼等の期待を裏切らないようにも大人しくしてろよ。

高等部の美人先輩方(・・・・・・・・・)と仲良くなる為にも、此処で退学なんて嫌だろ?」


「ハッ…!!

そうだった、私には女子高生という最高の年代が控えている…!

此処で退学になるわけにはいけないわ!

よし、さっきの無し!!」


「ノリ軽っ!!」



でも、まあ…

これで白扇学園は救われた訳だ。


ほら、誰か褒めてよ。



「悠希様、ぐっじょぶです!

世界は救われました!」


「どわうあぁっ!?

ル、ルノエル!?

い、いつからそこに居たんだ!?」



突然のルノエルの登場に、正直ビビる俺。


本日、ベスト3に入る驚きだ。


あ、ちなみに一位は弁当箱転送事件のアレね。



「はい、悠希様がそこの変態淑女を論破しようとしている途中から居ましたよ!

何か色々と苦戦なさってましたね」


「はぁ、全くだ…

こいつを説得するのに、毎回えらい大量の体力を使わされるんだよな…」



まあ、幼なじみで付き合い長いし、慣れてはいますが…


いい加減、堅物な性格は直して欲しいな。



「そ、その声は…

ルノエルちゃん!?」


「うわあああ!!

出た、魔王!!」


「もぉう、酷いなぁ。

私はこんなにルノエルちゃんの事を思っているのに。

やっぱり、夢とか幻覚じゃなかった♪」


「な、何で透明化しているのに私の姿が…!?」


「ルノエルちゃんへの愛の力よぉぉぉ!!」


「ぎゃああああああああああ!!

悠希様、この変態を止めてぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」


「スマン、ルノエル…

こういう時の凛々愛は、俺の管轄外だ。

上手く逃げてくれ…」


「えーん、悠希様の不届き者ぉっ!!」



逃げ回るルノエルを、飢えた獣の如く追い掛ける凛々愛…


ルノエルには悪いが、何処か微笑ましく思っている俺が居た。



「プッ…

あーあ、さっきのは何だったんだろうな?

…って、今話を聞いてくれる相手は居ないか。

まあ、良いや!」



盛大な一人事を言い放ち、俺は公園のベンチに勢い良く座った。


やっぱり、公園のベンチはいい固さだ。



「はぁ、神々の戦争か…

いっちょ、勝ち抜いてやりますか!

なんかこういう刺激的な人生も、案外悪くないし!」



今更勝利の味を噛み締めながら、俺はベンチで空を見上げてこう言った。


そう、俺達の戦いは、まだまだこれから…


始まったばかりなのだから!



…なんて、良い話感でまとめて置いたのだが、後々そんな事も言ってられないような出来事に遭遇する事になる。


それこそ、神の戦いを甘く見ている俺に対しての制裁のように…







俺と凛々愛が契約してから、一週間の月日が流れていた。


この時期になると、新しいクラスにも大分慣れてくる。



レーズンおにぎり事件のせいで、俺はよく日下部さんにレーズン系の食べ物を要求されるようになっていた。


そのせいか、俺の財布は思いの外軽くなっていたりいなかったり…



凛々愛の方は、学園で能力を使うのは避け、妹の友利愛ちゃんに能力を使うという最低の行為をしていた。


でも、純粋培養な友利愛ちゃんには、凛々愛の怪しげな誘惑が理解できなかったらしく、まるで効果が無かったそうな。


まあ、効果があったらあったで需要はあるかも…いや、無いな。



で、俺が面倒を見る事になった天使・ルノエルだが…


とりあえず、家の襖に(かくま)っている。


猫型ロボットよろしくのスタイルである。


主に家族では無く、凛々愛から。



ルノエルは、思っていたよりも食い気は無く、一日三食全部駄菓子でも文句の一つも言わない健気な子である事が判明した。


レーズンおにぎり事件の時は、あまりに飢えていた為、目に入った食べ物を片っ端から食べてしまっただけだと言う。



流石に駄菓子ばかり与えるのは可哀相だと思った俺は、隙を見て食卓からおかずを持ち出してルノエルに与えたり、ファーストフードの店でハンバーガー等の小遣いで買える程度の食事をさせてあげた。


何だか、隠れて捨て猫でも飼っている気分だった。



そして、現在。

俺の通う白扇学園では、妙な噂が行き交っていた。


その噂というのは、一年二組の生徒が授業中にお茶会をしているというものだった。


保健室で休んでいた別のクラスの一年生が、偶然見掛けたと言うのだ。


噂の真偽を確かめようにも、普通にしていれば授業中に出歩く事は出来ないので、その真相は謎に包まれている。


嘘か真か賛否両論あるだろうが、とにかく白扇学園では今一番の盛り上がりを見せている話題であった。



最初はこんな話題に興味が無かった俺だが、新しい噂の新しい情報を聞いて事情が変わった。


どうやらそのお茶会は、とある女子生徒を中心に行われているらしいのだ。



この噂を聞いた俺が思った事は一つ…


「俺もそのお茶会に混ざりたい!!」…だった。



だって、後輩と楽しくお茶会だぜ?


普通はそんな機会、金持ちのお坊ちゃまとか王子様みたいな奴らしかないだろう。


それなのに、授業中にクラス全員でお茶会だと!?


羨まけしからん、俺も混ぜろ!



で、今の俺の状況に到った訳だ。


今の俺は、腹痛の仮病を使って保健室に向かっている。



「フッフッフッ…

これであのお茶会に参加できるぞ!」


「そう上手くいくとは思えないですよ。

大体、その噂が本当かどうかも分からないのに…」


「なぁに、だったら俺が噂の真偽を証明してやるよ!

いやー、本当にお茶会してたら良いなー!

楽しみだな、アハハハ!!」


「はぁ…

浮かれすぎですよ、悠希様…」



当然ながら、ルノエルは呆れ顔だ。

だが、ジト目のルノエルも悪くないっ!


まあ…心配せずとも、俺のルノエルが本命だからな!



なんだかんだで、一年二組のまでやって来た。


軽く見た感じでは、他の教室と変わった様子は無かった。



「よし、早速…」


「悠希様…

覗き、手慣れてますね」


「待て、誤解を招く発言をしないでくれよ!

これが初めてだよ!!」


「今は覗きと認めるんですね…」



何とか誤解をを避けようとして、墓穴を掘ってしまいました。


チクショーッ!!



それはさておき、教室の様子を確認しよう。


これは性癖とか全然関係無くてだな、噂の真相を確かめる為に仕方なくやっているんだ。


これは合法的な覗き…

臆することは無い!



自分にそう言い聞かせ、俺は一年二組の教室のドアを少しだけ開き、中の様子を覗き込んだ。


そして、その教室の異常さに言葉を失った。



「…!?」


「は、悠希様?

どうかしたんですか?」


「…見れば分かるよ」



俺は一度ドアから離れ、ルノエルに中の様子を確認させた。


ルノエルも教室の中の様子を見て、息を呑むのが分かった。



「悠希様、あの教室の雰囲気は…」


「ああ、明らかにおかしいよな」



一年二組の教室に居た生徒は、魂が抜けたのような目をしていた。


生徒どころか、教卓に立つ教師も同じ目をしていた。



「あんなに生気の無い人間は、初めて見ました…」


「ああ、俺もだ。

なんか見てはいけないものを見てしまった気分だ…」



生気の無い生徒達がフラフラと教室徘徊している様子に、俺達は得体の知れない恐怖を感じた。


そして、もっと恐ろしいのは…

あの状態で、楽しそうに(・・・・・)お茶会をしている事だった。



「こらこら、茶菓子だけ食べていてはいけませんよ?」


「えーっ、だって紅茶淹れたばっかじゃん。

まだ飲めないよ?」


「食べるのは、もう少し控え目にね?

みんなの分が無くなってしまうわ」


「あははは、本当に君は食いしん坊だなぁ」


「ほら、落ち着くんだ。

もうお茶は飲めるからな。

冷めない内に飲みなさい」



正直、気味が悪かった。


無表情な生徒達から放たれる言葉だけは、とても明るくて…


どうして、こんな矛盾が起きてしまっているのか?



この不可解な状況に、俺は呆然としていた。


すると突然、ルノエルが何かに気が付いたように言った。



「あっ、悠希様!

あの教室の窓側の後ろの席に座っている子を見てください!」


「どうしたんだよ、ルノエル?

何をそんなに驚いて…」



ルノエルの指差す方向を見て、俺は呆気に取られた。


そこには、銀髪の美少女が居たのだ。


生気が感じられない生徒達の中で、唯一明るい表示を見せていた。



一年生とは言え、中学生とは思えない幼気(いたいけ)な容姿だった。


とても高いとは言えない身長に、ほんの少しの日差しで焼けてしまいそうな白い肌。



そして、可愛らしいエプロンを身につけ、お揃いのリボンを付けた金髪の女の子の人形を膝の上に乗せている。


まるで、絵本の中の住人のような容貌に、俺は暫し見入っていた。



「ちょっ…悠希様!

何見取れてるんですか!?

あーっ、もう!

しっかりして下さいよ!!」


「ハッ…!!

わ、悪いな、ルノエル…

お前という嫁を持ちながら、俺はあの子に見取れてしまった…」


「よっ、嫁とか言うなです!!

あくまで私は、悠希様の直属の天使です!

恋愛感情を抱いてはいけないのです!」


「なんだよ、つれないなぁ…」


「そんな事よりっ!!

あの子を見て、何か気付きませんか?」


「えー、何かって言われてもな。

かなり可愛い…とか?」




ズコーッ!




あ、ルノエルが珍しく激しくずっこけた。


まさか…あの子に対抗して、ドジっ子属性を狙っているのか?


いや、ルノエルは無垢だからそんな事は考えないか。



「馬鹿ですか、貴方は!

そんな事は今重要じゃありませんよ!」


「まあ、そうだよね…」


「良いですか、表情ですよ!

あの子の表情を見て下さいよ!!」


「怒ってても、ルノエルは可愛いよな」


「わ、私じゃなくて!

あの子ですぅ!!」



ルノエル、顔が真っ赤である。


可哀相だし、これ以上からかうのは止めよう。



「…で、表情がなんだって?

何もおかしい所はないと思うが?」


「分かりませんか?

確かに、あの子自体がおかしいという訳ではありません。

ただ、この教室では別です。

この教室で唯一あの子だけが(・・・・・・)、無表情じゃないんですよ?」


「…!!」



言われてみれば、確かにそうだった。


この異様な光景の中、唯一彼女だけが(・・・・・)平然を装っている。


この状況なら、むしろ異常(・・)な光景だった。



「…どうやら、この異常なお茶会には、あの子が深く関係していると考えるのが自然だな。

それにあの異常な光景…

まさかとは思うが…」


「多分、悠希様が考えるそのまさかだと思いますよ。

彼女は…十中八九契約者(・・・)です」


「やっぱりね…」



ルノエルのような天使には、契約者を見分ける力がある。


前回の榛原の時は油断をしていたから、見分けは付かなかったようだ。


いくらちょっと抜けてるルノエルとは言え、生死に関わる事もあるから、しっかりして欲しいものだ…



「あの子は普通の契約者ですから、命の危険は皆無と言っても過言では無いでしょう。

しかし、油断は禁物ですよ?

相手は一つのクラスの生徒達を操れる能力の持ち主です。

厄介な相手に変わりは無いです」


「待てよ、ルノエル。

まだ敵と決まった訳じゃ無いだろ?

案外話せば分かる子かも知れないぞ」


「いや、ちょっと待って下さい!

確かに、敵じゃないかも知れないですけど…

明らかに危険ですから!

本当に止めましょう!」


「えー、だって美少女だし…」


「悠希様は、美少女だったら誰でもOKなんですか!?

不純です!!

不可解です!!

不愉快です!!」


「なにぉう!?

そんなにあの子を毛嫌いする事はないだろ!?」


「私はっ、悠希様の態度を言ってるんです!!」




ガラッ!




「「あっ…!」」


「あらあら、お客様?

珍しいわ、このお茶会にお客様が来るなんて…」



いきなり一年二組の教室のドアが開き、中から一人の女子生徒が出て来てこう言った。


どうやら、ルノエルとの会話が聞こえてしまったららしい。



これは…非常にマズイ展開としか言えなかった。


今は敵では無いかも知れないが、こうコソコソと様子を伺っていた事がバレてしまっては、敵対されかれない。



俺とルノエルは、相手の問い掛けに答える事も出来ず、ただ口を閉ざしていた。


その様子を見た女子生徒は、無感情な表情のまま笑った。



「クスクス、恥ずかしがり屋さんなのね?

ほら、遠慮なくお入りなさい?

私達のお茶会は、誰だって大歓迎(・・・・・・・)よ!」


「あ、ありがとう…」



予想外の展開に驚きつつ、俺達は一年二組の教室に入った。


俺達が教室に入ると、教室の生徒全員がこちらに向かってグルリと首を向けて来た。



「ひっ…!」



あまりに人間らしからぬ光景に、ルノエルが小さい悲鳴を上げた。


この生徒達の反応は、ホラー映画のワンシーンのようにも思えた。



「怖がる事…無い。

この人達…無害。

だから…安心して?」


「き、君は…!」



怖がるルノエルに声をかけてきたのは、例の女子生徒…


人形を抱いている、銀髪の美少女だった。


言葉が途切れ途切れで、何だか怯えているようにも見えた。



「あなた達…誰?

何を…しに来たの?」


「俺は…二年三組の立脇悠希。

こっちの女の子は、ルノエルって言うんだ。

授業中にお茶会が開かれてるって噂を聞いて…

その真相を確かめに来たんだ!」


「ちょ、悠希様!

何馬鹿正直に話してるんですか!?」


「良いじゃないか、下手な嘘言って話をややこしくするよりは!

それに俺、年下の女の子には嘘が付けない質でね!」


「や、やっぱりこの人…変態紳士だ!」



俺とルノエルが言い争っていると、その様子見た銀髪の美少女は少し笑って言った。



「クスクス…

あなた達…悪い人でなさそう。

一緒にお茶会…する?」


「…!

もちろん、するっ!」



もちろん、即答。


やったぜ、念願の年下の美少女とのお茶会だ!



「はぁ…悠希様…

凄く浮かれ過ぎです…」


「大丈夫、本命はルノエルだから!」


「だっ、大丈夫の意味が分かりません!!」



ルノエルは、また深くため息を付いていた。


ルノエルには悪いが、俺も一人の男子だ。


可愛い女の子を前にすれば、多少なりとも浮かれてしまうのですよ。



「皆…聞いて。

この人達も…お茶会に参加するの。

お客様を入れてあげて…良いよね?」


「「「「「もちろん!」」」」」


「皆…ありがとう。

相変わらず(・・・・・)…優しいね」



相変わらず、無表情な一年二組の生徒達だが…


その言葉は、何故か可愛らしい女性の声…



下手をすれば、銀髪の美少女の声そのもののようだ。


それはまるで、腹話術の人形(・・・・・・)を操っているかにも思えた。


その光景を見ていると、何とも言えぬ嫌な予感がした…



「それじゃあ…改めて。

ようこそ…アリスのお茶会へ…」


「「「「「ようこそ、アリスのお茶会へ!」」」」」


「お、お邪魔しますっ!」


「はぁ…悠希様…」



こうして、俺はこの奇妙なお茶会に参加する事となったのだ。


先程感じた嫌な予感が、的中しないで欲しいと願ながら…







場所は変わって、此処は天界のとある神の砦(ゴッド・フォート)


そこで、一人の神…いや、女神が怪訝(けげん)な表情を浮かべていた。



「おかしい、やはり目的が分からない…

奴の目的は、この創設の聖戦(クリエイティブ・クルセイド)で勝つ事ではないの?」



その女神の名は、テミス。

法と掟を司り、神話に登場する古参の女神だ。



彼女は創設の聖戦(クリエイティブ・クルセイド)を中立的な立場に置いて、神々が道理に反して戦わないように監視・管理する役割が与えられている。


もちろん、邪神の探索と捕獲も行っており、創設の聖戦(クリエイティブ・クルセイド)の邪神撲滅を目指している。


もし仮に、道理に反する神が出現した場合…

神たる立場と力を剥奪、場合に因っては処刑する事もある。



ただ、八百万の神という言葉があるように、神というのは無数に存在する。


彼女がたった一人で管理をするのは骨が折れるので、何人かの神を報酬付きで調査員として雇っている。



さて、話は戻ってテミスが今何をしているかという事だが…


テミスは今、とある邪神について調査をしている。


しかし、情報が極端に少なく、自身で収集した情報も不明瞭なものばかりだった。



「仕方がありませんね…

あまり気が進みませんが、()に調査を依頼しましょう。

シーサス、居るかしら?」


「お呼びですか、テミス様」



テミスが呼び掛けると、全身を白い甲冑で纏った天使が現れた。


シーサスと呼ばれた天使は、天使というよりは騎士という言葉が似合う容姿だった。



「シーサス、私は今からとある調査員(・・・・・・)に依頼したい事があるの。

今から連絡係になってもらえる?」


「はっ、一向に構いません。

お相手はどなたでございますか?」


「…偏愛の神・イゼエルよ」


「イゼエル…!!

イゼエルとは…あの酔狂な神をご指名ですか?」


「ええ、もちろん。

彼は怠惰性格ですが、私の頼みとなれば(・・・・・・・・)、良い仕事をしてくれるでしょう。

用件は………です。

では、お願いしますよ?」


「ぎょ…御意!」



シーサスは戸惑いつつ、神の砦(ゴッド・フォート)から勢い良く飛び出した。


その様子を見ながら、テミスは複雑な表情をしていた。



「さて、この判断が吉とでるか…

それとも凶とでるか…」



テミスは、イゼエルをよく知っていた。


なので、この調査の結果を左右するのは、イゼエルの機嫌次第といっても過言では無いのだ。



「お願いしますよ、イゼエル…

全ては、貴方にかかっているのです…」



テミスは、祈るように呟いた。







「おっ、茶菓子うめぇ」


「だよねー!

アリスちゃんの作る茶菓子は最高だよねー!」


「そんな事は…無い。

ちょっと…誉め過ぎ」



俺は、死人のように無表情な女子生徒と、アリスと名乗る銀髪の美少女と会話をしていた。


第三者から見れば、何とも奇妙な光景だろう。



「ん、ルノエル?

どうしたんだ、さっきから黙って何をしてるの?」


「…怪しいとは思わないんですか?

相手は無表情の人達の中心に居る人間…明らかに異常ですよ?」


「まあ、そうだけど…

この前の榛原みたいに襲って来る事も無いし、(むし)ろ歓迎されてるだろ?

悪い奴では無いと思うが…」


「たっ、確かにそうですけど…」



ルノエルは、何処か不満げな様子だった。


あんなに可愛い女の子を疑うなんて…

まあ、ルノエルも可愛いけど。



「まあ、良いです。

私は私で、イゼエル様に頼んで、あの人間を調べてみます」


「ああ、なるほどな。

というか、天使なら契約者の見分けが付くんじゃ…」



確かイゼエルは、「天使なら、契約者を見分ける事ができる」とか言ってた気がする。


さらに、神にある程度認められれば、天使と同じ能力を持てるらしい。


だから、ルノエルも例外ではない筈。



「いえ、私は訳あって能力が制限(・・)されてまして…

だから、仕方なくイゼエル様に直接動いて頂いてるんです」


「…はぁ?

説明するのも面倒臭がってる、あのイゼエルがか?」


「確かに面倒臭いとは思っているかも知れません…

ただ、私のせい(・・・・)でそうせざる得なくなったんです。

全て…私が…」


「…ルノエル?」



俺は思わず、ルノエルの顔を見詰めた。


ルノエルの表情が、一瞬暗くなったような気がしたのだ。



「あっ、気にしないで下さい!

さっきのは昔の事(・・・)ですから、悠希様は気にしないで下さいね?

ほら、今はお茶会を楽しんで下さいよ!」


「え…

ああ、そうだな…」



確かに今はお茶会を楽しみたい所だが…


ルノエルの言葉が、俺の頭の片隅に引っ掛かっていた。



「立脇君、なぁにボーッとしてるんだい?

まだお茶会はまだ、始まったばかりだぞ!」


「ああ、いえ…

少し考えをしていただけですから」


「ははは、それならぁ仕方ないなぁ!

先生も、若い時はよく考え込んだりしていたからなぁ!!」


「は、はぁ…」



いきなり話し掛けて来たのは、この一年二組の担任もしくは、教科担当の先生だろう。


何だか、熱血指導をしてくれそうな雰囲気を放っている。


生徒の模範である筈の先生が、こんな事をしていて良いのか?



「どう…お茶会は?

こんなお茶会でも…楽しい?」


「うわっ!?

ああ、もちろん!」



不意にアリスが話し掛けて来たので、俺は声が裏返ってしまった。


先程まで話していた先生は、いつの間にか別の生徒に声をかけていた。


気配を消して近づくとは、二人とも猫みたいだ。



「ああ…良かった…

最初は…あまり楽しんでくれない人が…殆どだったから」


「いや、そんな事はないよ!

アリスちゃんのお茶会は、とっても楽しいよ!」


「…!!」



アリスは驚いたような表情を浮かべた後、照れ臭そうに目を伏せた。


どうしよう、ルノエルに負けず劣らずの可愛さだよ…



ルノエル、これは浮気じゃ無いんだよ!


ただちょっとアリスに、見取れてただけなんだからね!



「あ、あの…立脇先輩。

その言葉は本当…ですか?」


「ああ、もちろん!」


「じゃあ…私のモノ(・・・・)になってくれますよね?」


「…え?」



次の瞬間、先程までお茶会を楽しんでいた無表情の生徒達が、いきなり悠希の身体を拘束した。


その生徒達の力はとても強く、振りほどく事も出来そうに無かった。



「アリス…?

一体、何を…」


「大丈夫…

すぐに立脇先輩も…仲間に入れる」



そう言って、アリスはふらふらと俺に近付いて来る。


今までとは違う雰囲気のアリスに、俺は寒気を感じた。



「は、悠希様!

やっぱりその子は、邪神に見入られ…きゃあ!?」



悲鳴が聞こえた方に視線を向けると、ルノエルも同じように拘束されていた。



「…ルノエル!?」


「大丈夫…すぐに楽になるから…」



不敵に笑うアリスは、ゆっくりと俺の額にに手を伸ばしてきた…


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