表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/12

−プロローグ−

Complexを和訳すると、多くの部分から成る,入り組んだ,複合体,合成物,コンプレックス,固定観念,感情複合体,強迫観念…などに訳される。


大抵の人間は、それを精神的な言葉…つまり固定観念,強迫観念,コンプレックスなどという意味で捉えるだろう。


という事で…この場でコンプレックスは、精神的な意味でのコンプレックスとして使っている事を理解していただきたい。


その上で、この物語の始まりとしよう…







「いーちっ、にーっ、さーんっ、しーっ…」



今日は日曜日。

心地のよい日差しが辺りを照らす。


そんな天気の中、とある小さな公園に一人の少女の声が響いていた。


幼気(いたいけ)な雰囲気を持つツインテールの少女は木に寄り掛かり、ゆっくりと数を数えていた。



「しーちっ、はーちっ、きゅーうっ、じゅう!」



数を数え終えた少女は、元気良く後ろを振り返る。



「それじゃあ、探すよ〜!」



その少女は、隠れた何かを探すように辺りを駆け巡る。


まあ、先にネタバレしてしまうと…


あの子が探しているのは、何を隠そう滑り台の下に隠れているこの俺である。



とりあえず、ざっくり自己紹介でもしよう。


俺の名前は、立脇悠希(たてわきはるき)


白扇(はくせん)学園中等部に通っている、年下の女の子が好きなごくノーマルな中学二年生だ。


以上、自己紹介終わり。



…ん?


今、俺が何をしているかって?


見て分かるように、小さな女の子とかくれんぼだ。


誰もが一度はやったことがある、子供達の間で定番化した遊びだ。



で、なんで今俺がそんな事をしているかと言うと…



「みぃーつけたっ!」


「あはは、見つかっちゃったね…」


「ハルキお兄ちゃん、よわーい」


「いやー、参ったなー」



こうしている間に、俺は少女に見付かった。


その少女は無邪気に笑った。



とまあ、目的というのは簡単に言うとこれだ。


あえて(・・・)、見付かりやすい場所に隠れて、わざと(・・・)見付かる…


つまり、俺は年下には優しいから、手加減をして遊びに勝たせてあげてさ…


あの子の弾けんばかりの素敵な笑顔が見たいだけのさ!!



あの純粋で素敵な笑顔…


ほら、守りたいとは思わないかい?



さっきから少女、少女と呼んでいる女の子…


そろそろ、ちゃんとした名前で呼ぶとしようか。


この子は俺のちょっとアレな幼なじみの…




ゴンッ!!




「い、痛ってぇぇぇぇぇ!!」



後頭部に、いきなり強い衝撃が走った。


このタイミング、威力といい…


確実に俺がよく知るアイツだ。



「またかよ、凛々愛(りりあ)…」


「フン…

今、失礼な事考えたでしょ?」


「いや、そんな事はないぞ。

別次元の方々に自己紹介をだな…」


「なぁーに、訳の訳わかんないこと言ってんのよ」



呆れ顔でため息を付いているポニーテールの女子は、俺の幼なじみで同級生の弓野凛々愛(ゆみのりりあ)だ。


繰り返すようだが、性癖がアレ…




ゴスッ!!




「いってええええぇぇぇぇぇっ!!」


「あんたに言われたくないわよ、このロリコン野郎!」


「なんで回想が読めるんだよ!?

つーか、顔面殴るな!!」


「自業自得!」


「俺、まだ何もしてないよな!?」


「フン…」



凛々愛は、不機嫌な顔で睨みつけてきた。


凛々愛と俺は、毎日がこんな感じだ。



そんなこんなとやってるうちに、例の少女は口を開いた。



「お姉ちゃん、ハルキお兄ちゃんをいじめちゃダメだよ?」


「良いのよ、ただの幼なじみだから」


「理不尽過ぎだろ!

全国のただの幼なじみ達に謝れ!!」


「ごめんなさい」


「謝りやがった!?」



まさか、あの凛々愛が謝るとは…じゃなくて。


そろそろ例の少女、そのの少女と呼んでいる女の子の紹介でもしよう。



彼女の名前は、弓野友利愛(ゆみのゆりあ)


苗字から分かるように、凛々愛の妹さんだ。


姉とは大違いで、歪んだ性癖も…


あっ、嫌な予感…




ドガッ!!




予想は出来ていた。


だが、気付くのが遅過ぎた。


いや、むしろ気付いていたのに…


凛々愛め、今度は蹴りを使うとは…


いや…と、というか…


今、とても具合が悪い…



「ぐおぉぉぉぉ…

お、お前…

よ、よくも…男にしかない急所を…」


「どうせすぐ治るでしょ?」



ああ、分かってねーな…畜生、男の一物の蘇生には時間がかかんだよ…


せめて、何か仕返しを…


あ、そうだ…



「お前なぁ…

そんな短けぇスカートで暴れていいのか?」


「…な、何が言いたいのよ?」



おっ、動揺したな。


せっかくだから、もう少し攻めてみるか。



「フッ、何故気付かない?

今、お前が穿いているであろうそのエロい布切を…

お前は悠然として、公衆の面前に曝しているも同然のことをしている事にな!!」


「…ッッッ!!?

見たのね、この変態がっ!!」


「ちょっ、まだ見てな…

じゃなくて、やっぱり今日も穿いてんのかよ!?

てっ、止めろ!

回復してないのに、立て続けにするのは止めろ!!

…うわあああああああああああああああああああああ!!」




ドドッ、ガッ!!!




凛々愛が放った綺麗な蹴りは、俺の股間に二回程見事にクリティカルヒットしてしまいましたとさ…


俺の日常は、だいたいこんな感じだ。


そのうち、俺が言う凛々愛の歪んだ性癖も分かると思うが…


と…と、りあえ、ず…


お、俺は…もう限…か、か…いのようデ…ス………



ガクッ…


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ