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神綴る封印書庫 ―禁書の欠片と孤児たちの事件録―  作者: 文月沙華
2章:禁書庫の夜

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13話

 窓辺に一羽の鴉がとまる。


 しかし、そちらに視線は向けなかった。用件はわかっている。


「封印は破れそうなのか?」


 鴉が言葉を発する。しわがれた、疲れと衰えを感じさせる声だが、静かな重みも伴っている。


「準備は進んでいます。そう時間はかかりません」


 緊張が滲まないように注意しながら言葉を発した。大丈夫だっただろうか?


「例の手駒は使えそうなのか?」

「問題ありません」


 具体的な進捗まで言わなければダメだろうか……?

 鴉が口を閉ざしたまま、しばらく時間が流れる。


 説明すべきか迷い、やはり説明しなければ納得してもらえないかと口を開きかけたところで、鴉が翼を開いた。


「良い報告を期待している」


 それだけ言い捨て、鴉は窓から飛び去る。

 期待している。


「どうだか」


 安堵と共に、自虐的な言葉が口をついて出た。

 失敗は許されない。必ず禁書庫を破らなければ、自分にはもう居場所がなくなってしまうかもしれない。

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