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 「じゅ、従者ですか?」

私の言葉に、デューが困惑した声を出す。そりゃそうよね。実の姉の従者になれとか、おかしいもの。だから、ここは交渉よ!

「無理にとは言わないわ。あなたが良いのであれば、よ。あなたが私が入学した時と同じ歳になったら、従者は辞めてもらって構わないわ。それにこれは、あなたの身を守ることにもなるのよ」

「なぜ、僕の身を守ることになるんですか?」

「だって、まだ幼いあなたが学園の一生徒として出しゃばっていたら、周囲にいらぬ反感を買うかもしれないじゃない。その時は私があなたを守ってあげられるわ」

私はニコォ……ッと圧力強め&読めない笑顔を作る。交渉は交渉でも、これは悪女の交渉だ。空気を作るのも大事。

「ルディ、デューに選択肢をやれ。最初から消すな」

レオンお兄様はそう言うが、一応選択肢は与えている。空気で消しているだけで。

「なにも選択肢を無くしている訳ではございませんわよ」

私はレオンお兄様にも圧力強め&読めない笑顔を向ける。

「お、お前なあ……」

レオンお兄様は引きつった顔になる。引きつったレオンお兄様の顔はレアなので、この隙に堪能しておく。だってこの世界、顔面偏差値高い人ばっかりなんだもん。これくらい許されるよね?

「はい、なんでしょう?言いたいことははっきり言って下さいませ」

私はぐいぐい行く。相手の胃に穴が開くほどぐいぐい行く。相手が対人が苦手になるほどぐいぐい行けるようになることが私の目標。だって、相手にそんなに大きな害をもたらすなんて、悪女の基本でしょ!?それに、そうすることで交渉上手の評価をされたら私はフォーレス王国にとって価値がある物になる。まあ、一応はこの質問に答える必要がないことは分かっている。

「まあ、良いですわ、お兄様。デュー、この話は保留よ。学園に入るときに答えてもらうわ、必ずね。では、デューが本性を現すくらいにご所望の菓子を食べに行きましょうか」

私はそう言ってダイニングルームに向かう。悪女は常に周りを振り回すものなのよ!

「「「「なんだ、あの自由人?」」」」

お兄様たちやデューの言葉に、少しカチンときた。私はただのその辺に転がっている自由人じゃないのよ!悪女なの!……あ、その辺に自由人は転がってないわね。その辺に突っ立っている自由人じゃないのよ!っていうか、私の耳って地獄耳?お兄様たち、かなり小さな声で言っていた気がする。何て言うか、その、声が小さいのは分かるけど、言葉の内容がはっきり聞こえるっていうか。ま、今はどうでも良いわ。とにかくこのギュルギュルうるさい胃を満たすのよ!

そう意気込んでダイニングルームに向かった私を出迎えたのは、山積みになったバタークッキー。メリウェザー家の料理人が腕によりをかけて作ったバタークッキーは、私の大好物だ。もう、太っちゃうの気にしてる場合じゃないじゃない!こんなの出てきた料理人は罪だわ。これだけで私の今日の夕食は終わってしまう気がする。まあ、1日くらいは、こういう日があっても良いわよね。

そう思った私はクッキーに手を伸ばす。1枚口に入れただけで甘みと微かなしょっぱさが広がる。それに感嘆しながらもう一枚、もう一枚……と食べていると、フェルお兄様に腕を掴まれた。

「ルディ、もうそろそろやめような。今日の晩ごはんはポークカレーだぞ」

なんていう朗報なの!?今日は前世も含めて一番最高の日だわ!ポークカレーは大好きよ!それを伝えてくれたフェルお兄様には感謝感激雨あられよ!うーん、クッキーを優先すべきかカレーを優先すべきか。悩ましいところね。でも、悪女とあろうものが、即決できないなんて言語道断だわ。

よし、決めた。ポークカレーを優先するわ!

私はクッキーをもう一枚食べてナプキンで口を拭き、指先を拭く。

ポークカレー、楽しみね!

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