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結局、黒い葉牡丹、いや、三日月花はヴィクト様が持ち帰って王家で研究することになり、我が家では家族会議が開かれた。話題は、誰が三日月花を咲かせたのか、ということだ。
「デュー、お前は、何かしたか?才能が開花するような、何かを」
まず、影のメリウェザー家現当主であり私たちの父である、マイク・メリウェザーがデューに質問する。デューがゆっくりと首を振ると、今度は私に顔を向ける。
「ルディは?」
「ありませんわ。私は今日、ミルと庭で走り回ってお兄様方のお友達と親しくしただけです」
私はただ事実を述べる。髪飾りを落としたところまでは言わないでおこう。口は災いの元、とはよく言ったものだ。実は、髪飾りの宝石に小さなひびが入っていたのだ。お父様に言ったら絶対に怒られる。魔法を学んだら直せるかも。つらつらと考えているうちに、お父様が本棚から建国聖史の記された本を持ってきた。
「建国聖史。英雄は王子から、聖女は平民から、裏の者はメリウェザーの三騎士の家から生まれる。その中でも裏の者はあえて悪役を演じる。そして、国外追放されることが多い。できれば自分の子にはそんな仕打ちをされてほしくない。だから、お前たちを早くから魔法学園に通わせようと思う。早いうちから学園に通い、良い印象を持たれれば、悪役など演じなくて良いはず。一般的な入学は15歳からだが、ルディーシャが12歳になってから同時に入学だ」
ため息混じりに言うお父様。嘘でしょ?ゲームにはそんな設定なかったわ。
「それは、僕は10歳で入学せよ、ということでしょうか?」
デューがめちゃくちゃ丁寧な言葉で質問する。4歳なのに、言葉遣いが丁寧過ぎることに気付かないのかしら、この子。
「そういうことだ。お前、もう少し幼い口調にならないのか?」
ついでみたいに仰っていますが、ついに言ってしまいましたね、お父様。この丁寧さはお母様が『末っ子たるもの年上を敬おう勉強令』を発布した時の第一令として制定なさったのです。後でお母様にボッコボコにされて魂抜けしてから成仏なさってください。私は心の中でお父様を拝む。
「ルディは何をしてるんだ?女神でも拝むような」
あら、私、合掌してしまっていたわ。迂闊ね。
「いえいえ、何もございませんわ、お父様」
私はにこりと笑みを浮かべる。お父様は「そうか?」と返事をすると、再び真剣な顔に戻る。
「話が少し脱線したが、早く入学することはほとんど決定事項だ。二人とも、それで良いな?」
「「はい、問題ありません」わ」
お父様の言葉に、私たち二人の声が続く。空気と化していたお母様やお兄様たちの方からほうっと安堵の息が聞こえた。
○○○
「ルディ、もっと腰を入れろ!アレク、勢いが足りない!フェル!もっと体幹を鍛えろ!」
早朝、邸の中庭に私たちの気合の声と、レオンお兄様の厳しい声が響く。お兄様、剣の稽古で飽きたらしごくって言ってたくせして、飽きなくってもしごいてくるじゃない!これまだ初日よ!?でも、そんな弱音吐いてられない。だって私は、最高の悪女になるんだもの!
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