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プロローグ
これは彼の世界であり、この世界は今、苦難の最中にある。
海は命令を受けたかのように、沿岸の大部分を飲み込み、今日に至るまでそれは続いている。
人類の文明は海の侵食と共に次第に消え去り、記憶もまたゆっくりと失われていった。
住める場所はますます少なくなり、人類は居住地の移動を余儀なくされた。
これは、この世界が滅亡へと向かう、静寂の時代。
君は言ったね。世界がもたらす災いを憎んでいると。その中には……この世界も含まれているのかい?
私は静かにこの星の沈没を、必死にもがく人々を、ただ眺めている。
この世界の人々は、神が彼らを見捨て、尽きることのない孤独の中に置き去りにしたのだと思っている……
時間よ、過ぎ去るがいい。いずれ誰も君が犯した罪を記憶しなくなるだろう。私を除いては。——この世界の管理者である、私だけは。