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prayer


 貴方は言っていた。如何なる理由があろうとも。他者を害する理由にはならないと。

 貴方はそう言っていた。如何なる理由があろうとも。貴方はそう言って、惨めな生、惨めな環境、苦難と苦痛の末に、己の生から逃れるために、他者を傷付けたものを、加害者と切り捨てた。


 それなのに、貴方は赦すのか。貴方に似た境遇、貴方に似た過去、貴方に似た弱者であるという理由だけで。その復讐を赦すのか。


 貴方は穢れている。貴方の生は穢れている。貴方自身がそう在れかしと望んだゆえに。如何なる理由があろうとも。貴方がそう望んだのだ。


 呪われて在るように。私は祈る。貴方の本質が呪われている在るように。その陰である貴方と貴方の全ての行いが呪われて在るように。貴方の過ちが決して赦されることのないように。救いが遠ざけられるように。砂漠の陽炎、逃げ水のように。貴方の全ての幸福が貴方の前から消え失せるように。


 全てが忘れ去られるように。貴方の行いが如何なる想いをも想起させることがないように。誰もが貴方の生、貴方の行い、貴方の思想を忘却するように。記憶に留められることがないように。


 貴方は他者を赦すことを望まず、貴方は自身の罪を赦したのだから。貴方の罪が永遠であるように。それだけが貴方の本質であるように。私は祈る。永遠の鎖が貴方を縛り、貴方の行いを縛り、貴方の全てを縛るようにと。私は祈る。


 貴方がただ罪人とだけ呼び掛けられるように。貴方の名が失われ、貴方の母、貴方の父、貴方の愛する全てが損なわれるように。


 私は祈る。

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