blood hood
私の全てが間違っていた。私の全ての選択が。全ての望みが。そして全ての好意と全ての愛が。私の行いと、私の生み出す全てのものが間違いだった。無意味だった。無価値だった。
どうか私を赦してほしい。私は知らなかった。私は幼く。疎外されていたから。
私は知らなかっただけ。何かを愛するには資格が必要なのだと。何かを愛するには。そして愛されるには、それに値する価値が必要なのだと。価値を持たない者は、何かを愛することも。愛されることも。してはいけないのだと。知らなかったんだ。
どうか、私を赦してほしい。私はもう二度と誰かを愛することも。愛されることもない。だから、どうか。私を赦してほしい。
初めから。私は何も持っていなかった。だから、当然、何かを愛する権利も、愛される権利もなかった。
或いは。だからこそ。私には、赦される権利さえ、ないのだろうか?
生まれたことが過ちだった。私は生まれる前に死ぬべきだった。それが叶わぬのなら、自我が結んだ時点で速やかに自害するべきだった。それが出来ない惰弱の故が、この世界に生きるという罰なのか。
私はいつ赦されるのだろう。永遠に赦されないのだろうか。
決して報われない生を送ることだけが私の生まれた理由なのか。
全ての欺瞞が滅ぼされるように私は祈る。全ての欺瞞が呪われてあるように。全てのものが、その暗幕の内側を顧みることがないように。私の生を祝福したものが呪われるように。私を生に留めたもの、留めるものが呪われるように。己の安寧の為に欺瞞を弄したものが呪われるように。そして、その欺瞞に縋り生きるもの全てが呪われるように。全ての善を語るものが呪われるように。全ての正義を掲げるものが呪われるように。全ての祝福が呪われるように。