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秋1

そして、月日はいくつも流れた。



秋雨の上がった、昼過ぎのことである。

久しぶりの気配に気づいて、私は目を開けた。


着飾った彼女が、異国の男性と共に橋を渡っていた。彼女も婿を得たのだろう。

私は、前に彼女を見てから幾年たったか、ゆっくりと数えた。


「ミサキ、おなかはだいじょうぶ?」


片言の日本語で、男性が彼女に聞いた。

すでに子を孕んでいるのだろう。

彼女の腹は、少し膨れていた。


「大丈夫よ、ありがとう」


当然の心配をしてくれた彼へ、彼女が感謝を述べる。その返答に彼も微笑む。


「ここが、タヅコブリッジ?」


橋の中腹まできた時、彼が彼女に聞いた。


「そう。龍に子って書いて龍子橋。川の神様がいるんですって」

「Oh! カミさまが、いる橋か!ロマンティックだね!」


彼が、少し大げさに驚き喜ぶ。

そんな彼を見て、彼女が噴き出す。


産気付き、表に出さずとも不安げな彼女を、元気付けようとしたのだろうか。


「…もう。川の神様は、この橋を渡る人が悪いことをしないように、見張っているそうよ」

「じゃあ、そのカミさまに恥じないよう、頑張ろう」


表情を改めて彼が言う。

微笑んで彼女もそれに応じる。


二つの仲の良い足音が、遠ざかっていく。

一抹の寂しさを感じながら、私は再び目を閉じた。


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