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第91回『交互 三寒四温 ヘアースタイル』

YouTubeで行った

ライブ配信にて三題噺を即興で書きました 第91回『交互 三寒四温 ヘアースタイル』

の完成テキストです。

お題はガチャで決めました。

お題には傍点を振ってあります。

所要時間は約1時間2分でした。

詳しくは動画もご覧いただけたら幸いです。↓

https://www.youtube.com/watch?v=y21dODWtGa0


↓使用させていただいたサイト↓

ランダム単語ガチャ

https://tango-gacha.com/


~・~・~・~・~


日曜日の午前中の喫茶店はとても静かだった。

俺はスマホを気にしながら文庫本を読んでいた。

今日は彼女とのデートだったので、待ち合わせの時間までここで待っているのだ。

個人経営の喫茶店ではコーヒーを挽く音とページをめくる音が()()に聞こえた。

それに時々ドアを開けたときの鐘の音。

するとズボンの中でスマホがぶるぶると震えた。

彼女からのSNSであり、そろそろ駅に到着するとのことだった。

さっとページにしおりをはさみこむと、俺は会計を済ませて喫茶店を出た。

外の空気はコーヒーで温まった俺の体でも冷たかった。

道を行く人もコートを着込みマフラーを巻いて、防寒対策に多くの努力を払っていた。


「寒いねー。」

すでにSNSで朝の挨拶をすませていた彼女の第一声はおはようではなかった。

冬の朝の光で、ニット帽から伸びる彼女の黒い髪が輝いていた。

「それじゃあ行こうか。映画館まで少し歩くけど。」

「いいんじゃない? 体が温まるから。」

俺たちは手をつないで歩き始めた。

最初は冷たかった二人の手もお互いの体温でやがて温かくなってきた。

思えば俺と彼女がデートするときはいつもこうやって手をつないで温め合ってきた。

「でも2,3日前は暖かったよな。俺、会社に着いた瞬間にコート脱いだもん。」

「だね。早朝はすごく寒いのに日が出てくると暖かくなったりするから、着るものに困ったりするよね。」

「面倒。」

しかし彼女は相槌を打ってくれなかった。

「でもまあその分女の子には今日どんな格好で行こうかなという楽しみもあるんだけどね。」

確かに俺はファッションに無頓着な方だったが、着るものを選ぶ楽しみは男にもあるんじゃないかと思った。

含みを持たせているような言い方だったので、これは俺にもっとおしゃれをしろというメッセージなのだろうかと、俺はさりげなく自分の服装を確認した。

うん、ださいな。

というか、普通の、普通過ぎる格好で、あまりデート向きでないところが彼女には不評なのかもしれないなと思った。

しかし彼女は俺の心を読んだかのように、女性のファッションについて語り出した。

「女の子にはね、男の子と違って、服装だけじゃなくていろいろ楽しみがあるんだよ。()()()()()()()とかアクセとか。」

なるほど、と思った。

確かに男はそれほど髪をいじる余地はないし、アクセサリーの類もあまりつけない。

季節や天候を含めれば、その組み合わせは無限だ。

そこに気分や目的などの要素も加わり、女性は毎日鏡の前で複雑な四則計算をしているのかもしれない。

だが前方にポニーテールを揺らしながら歩く女性を見たとき、俺は記憶をたどってみた。

「でもお前、髪はいつもおろしてるだけなじゃない?」

「夏はしばったり上げたりしてるよ?」

彼女はすませた答え方をした。

「そうかもしれないけど、最近。最近はいつもそのままだろ。」

すると彼女はわざとらしくようやくわかったようなそぶりをした。

「あー、それは寒いからね。寒い日はおろしたくなるもんなのよ。」

「いっつもおろしてるじゃん。」

「いっつも寒いからねえ。」

そう言われてみれば俺と彼女のデートの日はいつも寒かったような気がする。

会社勤めの俺と彼女のデートは決まって日曜日だ。

俺の頭に()()()()という言葉がよぎった。

寒い日が3日続くと暖かい日が4日続くことが多い冬の寒暖の周期を表している。

3日間と4日間が()()に繰り返されるのなら、その周期はちょうど1週間だ。

だとしたら俺は日曜日にしか彼女と会っていないから、いつも寒く、髪をおろした彼女しか見ていないのではないだろうか。

髪を上げたり、結んだ彼女も見たいという思いが込み上げてきた。

しかし彼女は黙ったままだった。

俺はなるべくそっけなく聞いた。

「平日にも会える?」

揺れた長い髪に隠れていたが、彼女は確かに笑っていた。

それも少しだけいたずらっぽく。


~・~・~・~・~


~感想~

三寒四温で気温に合わせて交互にヘアースタイルを変える女性という設定はすぐに思いついたのですが、それをどう話として落とし込めばいいかわかりませんでした。

なので大した起伏もなく、最後に彼女の誘導らしきものが突然出てくるだけという話になってしまいました。


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