第83回『チョコレート ジェット気流 留まる』
YouTubeで行った
ライブ配信にて三題噺を即興で書きました 第83回『チョコレート ジェット気流 留まる』
の完成テキストです。
お題はガチャで決めました。
お題には傍点を振ってあります。
所要時間は約44分でした。
詳しくは動画もご覧いただけたら幸いです。↓
https://www.youtube.com/watch?v=YTZTFE2goCw
↓使用させていただいたサイト↓
ランダム単語ガチャ
https://tango-gacha.com/
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その紙たちは次々と体にプリントされていきました。
書かれてあることはチョコレートを愛せよ!
毎日チョコレートを食べよう!
チョコレートにかかる税金をなくします!
チョコレートを愛し、チョコレートのために活動するチョコレー党が衆議院選挙のために作ったチラシでした。
紙たちには党首や候補者の顔写真といっしょにチョコレートの素晴らしさとそれを広めるための公約が長々と書かれてありました。
ある紙は掲示板に貼られ、ある紙は有権者に配られました。
しかし国民は大人も子供もみなこのチラシを見るたびにくすくすと笑いました。
政治については語らないで、チョコレートのことしか書いてないから当然です。
紙たちはどんなに笑われても黙って耐えていました。
みんなに見てもらうのが自分たちの役割だからです。
しかしある小学校の通学路の掲示板に貼られた一枚の紙は恥ずかしくて仕方がありませんでした。
毎朝子どもたちがここを通るたびに自分を指して笑うからです。
笑われる毎日にいやになった紙はもうここに留まってはいられないと思い、ある日突然掲示板を飛び出しました。
紙は地面に落ちる間もなく風に吹かれ空へと舞い上がりました。
高く高く舞い上がる紙。
上空へのぼると、紙はジェット気流に乗り、東へ東へと流されました。
やがて紙の目に飛び込んできたのはアメリカでした。
アメリカ!
ここなら日本語を読める人がいないからもうわらわれないで済むぞ、と紙は思いました。
風は勢いを失い、紙の高度はどんどん下がっていきました。
パサリ。
風任せの旅、日本から出発した紙がとうとうたどり着いたのはロサンゼルスの日本人街でした。
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~感想~
難しかったです。
ジェット気流がどうしても理屈くさい使い方ばかりが思いついてしまいました。
なのでいっそのことお題は絵本のような話で使ってしまおうと考えました。
泳げたいやきくんを意識しました。
オチは当初アメリカ人からこんなのが立候補するなんて日本人はクレイジーなやつらだぜと笑われるというのを考えていました。