第76回『きりたんぽ 造船所 疾風迅雷』
YouTubeで行った
ライブ配信にて三題噺を即興で書きました 第76回『きりたんぽ 造船所 疾風迅雷』
の完成テキストです。
お題はガチャで決めました。
お題には傍点を振ってあります。
所要時間は約37分でした。
詳しくは動画もご覧いただけたら幸いです。↓
https://www.youtube.com/watch?v=fi4NDDDvQas
↓使用させていただいたサイト↓
ランダム単語ガチャ
https://tango-gacha.com/
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「なんだかお船みたいね。」
囲炉裏の前で腰を丸めていたおじいさんがはてと顔を上げた。
「いえね、そうやってきりたんぽの並んでる姿がお船のマストみたいだなと思って。」
ああ、とおじいさんが納得するとおばあさんはころころと笑った。
こねた白いお米が棒に巻かれて炭火に向かって立てかけられている姿は確かに帆を畳んだマストに似ていた。
おじいさんとおばあさんは二人できりたんぽ作りに励んでいた。
焼きあがったきりたんぽはもう何十本も並べられてあるが、おひつにはお米がまだまだたくさん残っていた。
今夜中にこれをすべてきりたんぽにする予定だった。
「ははは。だとするとここは造船所だな。」
おじいさんはすり鉢でお米をつぶしながら、造船所という響きを気に入っている様子だった。
山間部に生まれ農作業や狩猟をやってきたおじいさんにとって、海に出るなりわいにはある種の畏敬があった。
とりわけ日本海は荒いと聞く。
「疾風迅雷にもまれても、壊れない船を作らにゃならんな。」
炭火がパチパチと燃えながら赤く輝いていた。
明日は地元の小学校で演芸会があり、それが終わった後きりたんぽ鍋がふるまわれる。
おじいさんとおばあさんはおいしそうに食べる子どもたちの笑顔を思い浮かべながら、きりたんぽを作り続けていた。
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~感想~
検索してみて、きりたんぽを作る写真を見たまんまの感想で話を考えました。
申し訳程度に海に出る船だとか燃える炭火に子どもたちの将来を託してみたりはしました。
短くてもいいやという気持ちで書きましたが、他にやりようはないかもう少し考えても良かったのかもしれません。